株式会社わくわくスタディワールド

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情報処理技術者試験 参考書の選び方

大学入試の頃,私はかなりの参考書マニアでした。
しょっちゅう本屋に出かけて,いい参考書がないかチェックしていたものです。

ただ,高校生で当時父も入院していて,あまりお金がなかったので,いっぱい買うわけではありません。
ただひたすら,「参考書をチェックする」ためだけに通っていたのです。^^;
立ち読みだけで読み切った参考書もありました。「実況中継」系の本は結構楽に読めますし。^^;

ただ,その中から厳選して選んで買った本は,はずれも少なく,しっかり使いました。
受験勉強入門」(今は,「受験は要領 テクニック編」として文庫版で再版)を熟読し,チャート式の赤本などを中心に,ぼろぼろになるまでやりこみました。

そんな感じで,参考書を選ぶ目は,結構磨かれた気がしています。

情報処理技術者試験の場合も,最初は,大学入試の時と似たような感じで,参考書や問題集を買って勉強していました。
でも,「何か違う」という違和感を感じるようになって,特にそれは高度区分を受験するようになって顕著に感じるようになりました。
そして,自分で書くようにもなって,その違いがよくわかってきました。

情報処理技術者試験の参考書は,大学入試の参考書とは,次の3つの大きな違いがあります。

1.参考書の内容が,年度を重ねるごとに,だんだん古くなる。
2.試験に出てくる内容が,必要十分に書かれているとは限らない。
3.ミスや誤り,誤記が多い。解答自体が誤っていることもある。

1について,情報処理技術者試験は,ITの試験なので,時代と共に内容がどんどん新しくなっていきます。それにつれて参考書を改訂していくのですが,中には改訂が間に合ってない参考書も数多くあります。
古すぎる内容が残っていたり,新しい定番の分野が載っていなかったり,ということはよくあります。

このあたりは,大学入試だと,カリキュラムの改訂がない限り変わらないですし,カリキュラムが変わっても基本が同じなので,対応するのが大変なところでもあります。
ただ,結構昔すぎる内容が残っている参考書も多いですので,注意は必要です。
具体的には,ネットワークの分野でHDLCやベーシック手順が詳しく載っていたりしたら要注意です。

2について,情報処理技術者試験の参考書は,その試験に出てくる内容が必要十分に入っていない本も結構あります。
一番多いのが,改訂があまり入っていなくて古すぎる,というタイプの本ですが,それ以外にも,いろいろなパターンがあります。
例えば,「合格するためのポイントを厳選」といいつつ,単に執筆の作業量を減らして,著者が書きやすい分野ばかり書いている本などもあります。
具体的には,データベーススペシャリストの本なのに,設計よりSQLに重点を置いている本などは,ポイントは外していると思います。ストラテジ系,マネジメント系の分野がすごく少ない応用情報技術者の参考書なども要注意です。

3について,これは,自分の本でも反省ポイントなのですが,誤字などのミスは,情報処理技術者試験の本は,大学入試の本に比べて大分多いです。特に,改訂ではなく,最初の年度の参考書はミスは多いと思います。
これは,大学入試の本に比べると部数が大分少ないので,チェックする体制やそのための人員などがどうしても整わないところからきています。
アイテックさんなど,きっちりしたチェック体制を整えているところもありますが,そうするとその分,値段がかなり高くなってしまいます。安い本になると,過去問の問題や解答が間違いだらけ,ということもあります。
個人的には,ミスについては,値段と信頼性はかなり比例しているように感じています。通常は,出版社のサイトで正誤表が公開されていますので,それを確認することが大切です。


これらの違いを意識した後の参考書の選び方は,だいたい大学入試などの,一般的な勉強用の参考書と同じだと思います。
私が参考書を選ぶ時にチェックしているやり方を,いくつか挙げてみます。

A.先に,その分野の過去問(大体午後1)を1問解いていきます。その解説を本屋に行っていくつかの参考書で見比べます。そして,一番わかりやすく頭に入ってくるものを選びます。

B.わからない単語,重要そうな単語を選んで調べてみます。その時,索引を使って,必要なものがすぐに見つけられるかをチェックします。索引は,問題集中心で調べながら勉強する時には,特に大切です。

C.各章の冒頭の部分を読んで,いきなり用語の羅列が行われているか,まずはその分野の全体像などの説明が入っているかを確認します。これは特に,全体像を押さえてから各部分に入りたい人向けです。

D.なるべく大きな本屋で,選ぶ対象の本がしっかり揃っている品揃えの本屋で選びます。小さめの本屋だと,売れ筋の本というより,営業力が強い会社の本が置かれている傾向があるからです。

E.ネットでの評判は,鵜呑みにはしないようにします。参考書は他の本に比べて,ステルスマーケティングや意図的な悪評の書き込みが,結構多いです。


普通の本と違って,参考書は何ヶ月も使うので,結構長いつきあいになります。
じっくり選んで,自分にあったいい本で学習していきましょう。