株式会社わくわくスタディワールド

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ITストラテジスト合格体験記:エンバグさん

情報処理技術者試験の論述系区分の場合,何より大切なのは,「その試験の対象者像の考え方」をすることです。
プロジェクトマネージャ試験ならプロジェクトマネージャとして,人をマネジメントする立場で書く必要がありますし,ITストラテジストなら,経営とITを橋渡しする立場で書く必要があります。

そして,その試験区分ごとの考え方を身につければ,論文や記述式解答の書き方などは全区分で共通ですので,連続合格はしやすいと思います。

今日の合格体験記は,見事ITストラテジスト試験に合格されたエンバグさんです。
エンバグさんは,「ネットワークスペシャリスト合格体験記:エンバグさん」「情報セキュリティスペシャリスト合格体験記:エンバグさん」「ITサービスマネージャ合格体験記:エンバグさん」に続き,4区分目の合格体験記になります。

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【基本情報】
氏名:エンバグ
年齢:33歳(受験当時)
本業:ソフトウェア開発(下請)
ST受験回数:1回目(2012秋期)
点数:
 午前1:免除
 午前2:88点
 午後1:71点
 午後2:A
受験時保有資格:
 情報処理技術者試験(IP,FE,AP,NW,SC,SM,PM)
 ベンダー試験(SJC-P,LPIC-1,ITILファンデーション,UMTP-1)


【勉強期間・時間】
2012年4月下旬から10月中旬までの六か月間ですが,平日は通勤電車で1時間,土日(あまり休めていなかったが)は寝る前に布団の中で読書1-2時間といった具合で,合計200時間でした。

【勉強内容】
タイムシーケンス順に羅列します。

■情報収集(4月下旬)
どんな試験かを把握するため,4月のPM試験終了後に,以下の資料を一通り読みました。

1.「ITストラテジスト試験」シラバス,IPA
2.日本ITストラテジスト協会「創立10周年記念冊子」,JISTA
3.「コンサルタント育成ハンドブックVer.2,IPAコンサルタントコミュニティ

書評として,1と3は,一通り目を通すことをお勧めします。

■フィット&ギャップ分析(5月)
自分の現状と試験合格までの距離感を測るため,5月に,完全教本にある午後Ⅰ問題を解きました。

4.ITストラテジスト完全教本2012年版,金子則彦

書評として,入門の一冊としては無難です。ただ,これだけで合格できるかは,人によります。中小企業診断士ホルダーで情報処理技術者試験の論文区分に合格済みの方ならば,この一冊で十分ですが,私のような「経営に明るくない,泥臭い現場にいるSE」の方ならば,「経営知識の詰め込み」と「経営寄りへの意識変革」は必要ではないかと思います。

■インプット:経営知識の詰め込み(6月~7月)
読んでみて最初のうちは「偉そうに高尚そうなことを書きやがって・・・お前らコーディングできないだろう?こんなのITとは関係ねえーだろうが!」と文句だらけでして,痛苦そのものでした。ここであきらめたら書籍代は勿体ないので,我慢して読み切りました。今振り返って考えましたら,これらの書籍はそもそも「IT」前提で書かれていないので,怒っても仕方ないのですね・・・。

5.中小企業診断士 2012年度版 スピードテキスト 1 企業経営理論,TAC
6.ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本 第3版,三好 康之
7.経営者が参画する要求品質の確保
   ~超上流から攻めるIT化の勘どころ~,IPA SEC BOOKS
8.グロービスMBAマネジメント・ブック【改訂3版】,グロービス経営大学院
9.グロービスMBAクリティカル・シンキング【改訂3版】,グロービス経営大学院

書評として,9の内容は,ST試験に求められている考え方のバックボーンに当たると思います,お勧めします。5と8は美月先生もお勧めされているように,知識補強に最適です。6と7は良書ですが,時間とのご相談ですね。

■インプット:経営寄りへの意識変革(8月~10月)
読み切った後なんとなく分かってきましたことは,

「ITシステムなんて,あくまで経営の手段である。それ以上でもそれ以下でもない」
  および
「ITシステムの構築導入,コーディング能力は,目的では絶対にありえない」

の2点でした。「IT末端作業員」である私は「これまでの常識や信念はなんなんだったのか」と,見事に引っ繰り返されました。試験に合格したい観点から見れば,ここまで来られたら,「考えた方」はもう大丈夫であろう。ただ,これは「正しい考え方か」は,別の命題ですね。
追い込みとして,以下も読みました。

10.この1冊ですべてわかるITコンサルティングの基本,克元 亮
11.地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」,細谷 功
12.プロジェクトファシリテーション,白川 克
13.ビジョナリーカンパニー,ジム・コリンズ
14.マネジメント[エッセンシャル版]-基本と原則,ピーター・F・ドラッカー
15.戦略プロフェッショナル-シェア逆転の企業変革ドラマ,三枝 匡
16.経営パワーの危機-会社再建の企業変革ドラマ,三枝 匡
17.V字回復の経営―2年で会社を変えられますか,三枝 匡
18.松下幸之助 夢を育てる―私の履歴書,松下 幸之助

書評として,12はITコンサルタント(∈ITストラテジスト)の日常や実務を把握するために役に立ちます。15~17は「本物の戦略コンサルタント」である三枝氏が事実に基づいて書かれた3部作で,読んで感動しまして,「読め!」をカードに書いて貼り付けて,うちの社長にプレゼントしたいくらいです。13,14,18は,試験とはあまり関係ないかもしれませんが,歴史に残る名作ですね。

■アウトプット:演習(10月)
  本来なら,もっと演習してアウトプットすべきですが,9月~10月の間は,仕事と家庭両方とも激しく忙しかったので,10月に入ってから,以下の演習しかできませんでした。

19.ITストラテジスト午後2最速の論文対策,TAC
20.過去問題午後1と午後2の脳内演習,午前2は試験直前に3年分演習

演習論文は1本を書けましたが,書いただけでした。それ以上に演習時間を取れない状況にありましたので,「もう・・・,えいや!」という感じで,本番に挑みました。


【試験の感想】
午前2は特に問題ありませんでした。
午後1も難なく埋めこめました。
午後2は,「妄想モード」で書きましたので,「こりゃ無理だ・・・」と思いました。しかし結果的に受かりました。合格できた原因は恐らく,

1.「考え方」はOKだから
2.情報処理技術者試験の論文の作法に慣れていますので,問題のリクエストに対して丁寧にレスポンスできたから

という2点ではないかと考えます。情報処理技術者試験の論文全区分に対して言えると思いますが,「何を求める試験か」と「合格者の人材像は何か」は最重要事項であり,言い回しなど些細なことは全く重要ではありません。


【アドバイス】
私と同じような「IT末端作業員」へのアドバイスです。
我々はプログラム言語を利用して,嘘のつかないコンピュータと対話しています。一般的には,絶対的な判断条件を与えられた状況において,演繹的思考に長けています。
しかし,ITストラテジスト試験は「システムやコーディング」を問うものではなく,「もっと儲かるため,ITをどう活用すべきか」を問う「ビジネス寄り」のものだと思います。
そこで,ビジネスの世界では絶対的な判断条件が存在していないと言われているように,演繹的思考はなかなか通用しません。「A社もB社もウェブサイトを立ち上げたら売上アップに繋がった,だから我々も同じことをやれば儲かるはず」という風に,帰納的思考が重要になります。具体的には,「仮説検証アプローチ」や「ピラミッドストラクチャー思考」です。
特に午後Ⅱは,ここを根本的に求めていると思います。

以上です。これから受験される方々にお役に立てれば幸いです。