株式会社わくわくスタディワールド

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ネットワークスペシャリスト合格体験記:ナガトモさん

私が長年,ネットワークスペシャリストの受験生を見ていて,明らかに合格しやすい人の特徴に,「ダンプ解析にはまって,自分でやって楽しむ」ということがあります。
私が行う,もしくは通った講義や勉強会では,最初にダンプ解析を行うことが多いのですが,そこでダンプ解析の魅力にはまって,いろいろと自分でやってみるという人は,ほとんど合格していきます。

それだけではなく,その道のプロとして転職したり,業界で頭角を表して活躍している人も多いです。
ダンプ解析でネットワークプログラミングにはまり,オープンソースOSのプロジェクトに参加て中核メンバーとなったり,ダンプ解析で情報が見えることでハッキング技術にはまり,セキュリティ業界で有名になったり,といろいろです。

単なる試験対策の枠を超えて,技術それ自体を楽しめる人は強いな,と感じています。

今日の合格体験記は,はじめて情報処理技術者試験を受験されて,見事ネットワークスペシャリスト試験に合格されたナガトモさんです。
ちなみに,「基礎からわかるTCP/IP ネットワーク実験プログラミング」は,「マスタリングTCP/IP 入門編」の著者の方が書いた,TCP/IPプロトコルをプログラミングしながら体感するのにおすすめな本です。

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【基本情報】
氏名:ナガトモ
年齢:37歳
ネットワークスペシャリスト受験:1回目
点数:
 午前1 85.00点
 午前2 88.00点 
 午後1 71点 (問1,問3を選択)
 午後2 69点 (問1を選択)

【試験に向けて,勉強した内容】
5月下旬から勉強を始めました。具体的な内容は,以下の通りです。

0.参考書一覧
「徹底攻略 応用情報技術者教科書 平成24年度」(株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月)
「ネットワークスペシャリスト試験 午前 試験問題集 (合格精選500題)」(東京電機大学編)
「2011 応用情報・高度午前1共通 午前問題集」(アイテック情報技術教育研究部)
「基礎からわかるTCP/IP ネットワーク実験プログラミング」(村山 公保)
「高度専門 ネットワーク技術 第2版」(長谷 和幸)
「ネスぺ23 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説と合格のコツ」
「ネスぺ22 β版 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説と合格のコツ」
「ネスぺ21 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説と合格のコツ」
(粕淵 卓, 平田 賀一)
「情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2012年版」(ICTワークショップ)
「2012 ネットワークスペシャリスト予想問題集」(アイテック情報技術教育研究部)

1.午前対策
勉強を開始した時点では,ネットワークスペシャリストが難しければ,応用情報にしようと考えた。そこで,「徹底攻略 応用情報技術者教科書 平成24年度」を1ヶ月で1周した。

2.勉強会(午前問題バトルとダンプ解析)
午前対策の成果を試すため,午前問題バトルに参加した。200問のうち半分も解けないだろうと思った。しかし結果をみると,午前1合格レベルにあることが分かった。この時点で,応用情報ではなく,ネットワークスペシャリストを受験することに決めた。

ダンプ解析は初めてだった。ネットワークの基礎を知らなかったが,バイト列を解析するのは面白くてたまらなかった。家に帰って,「基礎からわかるTCP/IP ネットワーク実験プログラミング」を読んで,プログラミングをした。パケットキャプチャを自作して,毎日パケットをみて遊んだ。

3.知識の習得
「高度専門 ネットワーク技術 第2版」を1ヶ月かけて,ノートにまとめた。この勉強法は,負担が大きかった。初めの1週間は,手書きでまとめた。しかし時間がかかりすぎるので,PCのテキストエディタで教科書の内容をまとめて,メールで自分宛に送信して,いつでもどこでも携帯で読み返せるようにした。これで,ネットワークの専門用語は,ほとんど網羅することができた。しかし,過去問を解こうとしても,全く歯が立たなかった。努力が点数に結びつかなかった。

4.再び午前対策
午前1を落としてはいけないというのは,非常に大きなプレッシャーだった。「2011 応用情報・高度午前1共通 午前問題集」を1周した。しかし,分量が多すぎて,初めのころに解いた問題は忘れてしまった。2周はできずに挫折した。その後,「ネットワークスペシャリスト試験 午前 試験問題集 (合格精選500題)」に取り組んだ。本を裁断してjpg画像にして,携帯で読めるようにした。通勤の時間帯に毎日問題を解いた。分からないところは,「徹底攻略 応用情報技術者教科書 平成24年度」に戻って復習した。

5.過去問演習
「ネスぺ」シリーズを3年分読んだ。とても分かりやすくてよかった。あわせて「情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2012年版」も取り組んだ。理路整然としていて,思考力が鍛えられた。過去問は3年分を繰り返し解いた。試験1ヶ月前になっても,過去問は難しく感じた。

6.模擬試験
ITECの会場模擬試験を受験した。本番のリハーサルとして,朝起きる時間,移動経路,お弁当の準備を考えて試した。結果として,午前は合格,午後1が30点程度で不合格,午後2は65点程度だった。午後1は,不得意な分野の対応ができなかった。

7.予想問題集
試験が近づいてきても,過去問が解けなかった。どうしたらいいか授業の後に先生に聞いてみると,「過去問を繰り返し解く,できるだけ多くの問題を解く」とアドバイスをもらった。しかし過去問を多く解く時間はなかった。そこで,「2012 ネットワークスペシャリスト予想問題集」を過去問と並行することにした。過去問よりも予想問題のほうが易しく感じた。分野別に整理されていたのも良かった。本番までに予想問題(午後1)を18問,2周した。これによって,午後1が合格レベルに引き上げられたと思う。

8.超直前勉強会
試験の直前になって,私は自分の考えが変わって,モチベーションが下がってしまったことがあった。もう受験はやめようかとも思った。しかし,超直前勉強会には申し込んであったので,参加した。すると,午前問題バトルでよい結果が出た。賞品も貰った。子供みたいだが,これがきっかけで,さあ受験するぞ,という気持ちになった。

【当日の試験の感想】
1.午前1
計算問題は後回しにして,解ける問題から解いていった。答えに迷った問題が,3問程度あった。結果として5問不正解だった。一通り解き終わって時間が余り,もう一度全て解きなおして,マークシートの確認をした。これならば,午前1を突破できるだろう,という手ごたえがあった。午前1の勉強から解放される,と思うと嬉しかった。

2.午前2
午前1の勢いで,順調に解答することができた。22問正解することができた。

3.午後1
問1と問3を選択。問1が易しく感じて,油断した。問1が終わった時点で,半分以上の時間が経過していた。あわてて問3に取り掛かった。問3はあまりできなかった。ここで落ちたかもしれない,と思った。午後1の対策が不十分だった,と悔やんだ。

4.午後2
問1を選択。問2の冒頭部分にIPv6が出てきて,十分な対策をしていない分野だったので,仕方なく問1を選んだ。問1は過去問と似ていたものの,難しくなっているように見えて,気持ちが追い込まれた。力が入りすぎて,喧嘩腰で問題に向かった。最後まで粘って,解答欄を埋めた。試験が終了すると,顔に力が入っていたようで,顔が痛くなった。7割以上はできたのではないか,と思った。しかし結果として,記述内容が的外れになり,7割には届かなかった。

5.解答速報
試験終了後,解答速報チームに参加させてもらった。試験中は,問題用紙に全ての解答をメモしておいた。自分の選択しなかった問題の解答を考えようとすると,疲労で頭が回らなかった。あまり役に立たなかったが,少しでも貢献できたのは嬉しかった。打ち上げの時に,「受かっているといいですね」と言われて,自分の合格を願ってくれる人がいるんだと思うと,こみ上げてくるものがあった。

【さいごに】
応用情報技術者試験に合格していない場合は,やはり応用情報の勉強から始めることになります。私はネットワークスペシャリストを受験することに決めてからは,午前1を突破するために,毎日午前問題を解かざるを得ませんでした。毎日2時間近く,午前1と午前2の対策に費やしました。これはつらいものがありますが,短期間で確実に合格したかったので,やむを得ませんでした。

ネットワーク技術に関しては,ダンプ解析が非常に役立ちました。HTTP通信やメール送受信から始めて,DNS問い合わせ,DHCPディスカバー,VoIPのSIPやRTPに至るまで,パケットをキャプチャして解析しました。通信データの流れや,プロトコルのフォーマットに関して,理解が深まります。教科書の知識だけでなく,実機での経験がほしい,と考えている方には,ダンプ解析がおすすめだと思います。

以上です。