株式会社わくわくスタディワールド

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ネットワークスペシャリスト合格体験記:barukudbさん

ネットワークスペシャリスト試験の問題は,他の高度区分に比べれば「国語力」の比重は低いと思います。
問題文が素直で,ひっかけ問題などはなく,きちんと読めば解答に辿りつけるからです。他の高度区分は,問題文から素直に読み取ると失敗したり,全体を読まないで一部だけで解答したりすると誤りだったりすることもあり,より高度な読解力が必要だからです。

といっても,ネットワークスペシャリスト試験に国語力がいらないわけではなく,実際にはそれで苦労される方も大勢います。特に,最初の高度区分の受験時には,問題の分量の多さや,書く字数の多さに圧倒されそうになると思います。

そのため,文章を読む練習や書く練習を行って,試験日にしっかり実力が出せる準備をしておくのも大切です。
特に,午後問題で時間が足りないと思われている方には,練習はすごく効果があると思います。

今回の合格体験記は,解答を書くための対策を試験内容の勉強と並行して行い,見事1回でネットワークスペシャリスト試験に合格されたbarukudbさんです。

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【基本情報】
氏名 : barukudb
ネットワークスペシャリスト受験 : 1回目
学習期間 : 2か月
受験当時の取得資格 : 応用情報技術者(H23秋)
職業 : IT系以外
点数 :
 午前1 : 免除
 午前2 : 60点
 午後1 : 76点
 午後2 : 62点

【受験の動機・受験区分の選択】
応用情報技術者試験に合格したものの,自分のテクノロジ系の知識が少ない事に不安を持っていました(応用情報の午後の選択はマネジメント多め)。そこで,テクノロジ系の知識を一度きちんと勉強したいと思い,高度試験の受験を考えました。受験区分をネットワークスペシャリストとする事は,わくすたブログの記事を参考にして決めました。

(参考)秋のおすすめ受験種目 (2012年春の記事)
「ネットワークをしっかり理解しておくと,システム開発やセキュリティなど,いろいろな分野での仕事に役立ちます。ネットワークの専門家でなくても,勉強して役立つ知識が満載です。」


【主に使用した教材】
・マスタリングTCP/IP 入門編(オーム社)
・ネスペ21, ネスペ22, ネスペ23(以下,まとめてネスペ本と略す事もある)
・情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2012(翔泳社)
・2012 徹底解説 ネットワークスペシャリスト 本試験問題 (iTEC)
・2012 ネットワークスペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策 (iTEC)
・情報処理教科書 【秋期】高度試験午前I・II 2012年版(翔泳社)


【勉強】
1.基礎知識の習得(1週間): 8月末
受験を決めた時は,基本情報技術者レベルのネットワークの知識も怪しい状態でした。
そこで,問題演習を取り入れつつ手短に基礎知識の習得を済ませました。
以下が取り組んだ事です。

・マスタリングTCP/IPを繰り返し読む
・応用情報技術者試験の午前やネットワークスペシャリストの午前2の問題を解く
・応用情報技術者試験の午後のネットワークの問題を5回分程度解く

余談ですが,「マスタリングTCP/IP」は応用情報を受ける前に読んでおけばよかったと思いました。

2.午後1の過去問演習(1か月) : 9月
3年分を3回繰り返しました。
マス目と字数カウントのための数字が入っているノート(キョクトウの記述問題対策ノート)に問題を解いていました。
過去問とネスペ本を教科書にすると決めていたので,ネスペ本の解説を繰り返し読みました。

2回目・3回目の演習の時には,情報処理教科書やiTECの過去問集の解説なども読み ました。複数の解説を読むことで,より深く過去問を理解できたと思います。

3.午後2の過去問演習(3週間) : 10月
3年分を3回解きました。取り組み方は,基本的には午後1の演習と同じです。

最初は,試験本番までに間に合うのか?という不安がありました。
しかし,わくすたセミナー(5回目)で,1日かけて1問の過去問に取り組む事によって,午後2の問題への取り組み方をつかむきっかけができました。
これを生かして,午後2の対策を進めていきました。

4.iTECの重点対策 : 10月(午後2演習と並行)
近年の過去問ではカバーできない部分の演習のために使いました。
直近の3年分の問題以外を解いていきました。
半分程度しか解けませんでしたが,弱点の補強としては役に立ったと思います。

5.午前2(2週間): 試験2週間前から
以下の対策をしました。

・翔泳社の午前対策本を繰り返し解く
・午前2のH21からH23の過去3年分を通しで解く
(H23は軽めに,H22を重点的に取り組む。)

念のため,ネットワーク・セキュリティ以外の分野も対策をしました(結果的にはこれに救われました)。
60点ぎりぎりだった事を考えると,もう少し対策が必要だったのかもしれません。


【試験の感想】
1.午前1
免除

2.午前2・昼休憩
試験終了後には,ここで落ちている確率が高いと思いました。
昼休憩は「午前で落ちていたら午後を受ける意味が無い」という気持ちにだけはならないようにしていました。
余計な事を考えないようにするために,散歩をするなどして体を動かしていました。

3.午後1
ぱっと問題を見た印象は,問1はかなり点が取れそう,問2, 問3はどちらも白紙になりそう。
そこで,問1を40分かけて慎重に解きました。その後で残りの1問を選択。
最初は,PoEはわからないということで問2を回避しました。しかし,問3を5分考えてみるものの,何もわかりませんでした。そこで,方針を転換して問2を選択しました。
問2を解き始めると,一部の用語は本文の読解で埋められる事に気付きました。これで落ち着きを得て,その他の問題も全部埋める事ができました。

実際の試験の出来は,試験中の実感とは逆でした。自信のあるはずの問1が意外と間違っていて,自信の無いはずの問2は相当できていました。ぱっと見で解けそうにない問題も,あきらめずに解く事が大切である事を感じました。

4.午後2
問2にIPv6登場!事前の予定通りこれを回避して,問1を解き始めました。
しかし,問題を読むこと15分,書かれている事が何もわからない状態でした。
そこで,「白紙で解答を提出しては来年につながらない。少しでも書いて来年につなげよう。」と考えて問2へ。

問2を読み進めると,前日に気休め程度に覚えたIPv6の知識で,穴埋めの設問が解ける事に気付きました。これは運が向いていると感じ,やる気が出てきました。その後は,そこそこ順調に解答を埋めていけました。しかし,試験時間の後半になると頭が回らなくなりミスを連発してしまいました。正しく書いた解答を違うもの書き換えるなどもしました。

解答速報を見た感じでは,50点台で落ちたと思っていました。しかし,結果は合格でした。全ての解答欄に文字を書くという事はできていたので,それが良い方向に作用したのかもしれません。
「とにかく白紙にはしない。完璧にするのはその後。」と考えて試験に取り組んでましたが,その重要性をあらためて実感しました。

5.試験終了直後の感想
午後1と午後2の間の30分の休憩は,かなり短く感じました。
高度初の場合は,午後1と午後2の間の休憩の短さを事前に意識しておくと良いと思います。


【解答を書くために取り組んだ事】
この試験は,高い国語力を要求されている試験ではないとされています。

(参考)国語力の必要な情報処理技術者試験

しかし,文章で解答を書く以上は,最低限の記述力は必要だと思います。そこで,以下の対策を取りました。

1.最低限の暗記
解答を書くには,頭の中にあるイメージを日本語で表す必要があります。しかし,これがなかなかできませんでした。
原因は,最低限の必要な用語を覚えきれていなかった事でした。そこで,試験の解答例に出てくる用語やその使い方を覚えていくようにしました。時には,解答例を文章ごと覚えました(注 : 内容を理解した後での話です)。

2.解答のスピードを上げる練習
丁寧に減点をされない解答を書く練習だけでなく,短い時間で6割の完成度の解答を書く練習もしていました。この練習の目的は,
・解答速度を向上させること
・時間不足の時に大崩れをしないこと
でした。それなりの効果はあったと思います。

【最後に】
一番大切な事は,試験会場に行き,最後まであきらめずに解答用紙に何かを書く事だと思います。ボーダー上の場合は特にそうだと思います。

わからない時に何かを書くためには,強い精神力の他に多少の技術も必要です。わからない時に何かを書くための技術は,参考書の解説にも書かれています(特にネスペ本!)。私は,このような部分を丁寧に読むようにしていました。

参考にしていただける部分がありましたら幸いです。