情報処理技術者試験は,中級レベルまでの資格
最近,全然違う分野にいる,複数の知人,友人が,「政府CIO補佐官に応募する!」と言っていました。
「政府CIO補佐官採用情報」にあるとおり,政府CIO補佐官は今,募集中のようです。
応募要件は,ITSS(ITスキル標準)でいうと「レベル6」だそうで,単に資格だけではなく,業界で貢献する程度にビジネスやテクノロジなどをリードする人材,ということです。
我こそは,と思う方は応募してみるのもいいんじゃないかな,と思います。
ただ,情報処理技術者試験の合格というのは,こういったレベルの高い職種への応募には使えません。
情報処理技術者試験はあくまで,初級から中級レベルのスキルレベルを認定する資格ですので,高度区分の試験に合格しても,ITSSではレベル4相当です。
ちなみに,レベル4の高度試験については,「ITSSスキル標準Ver1.1 概要編」によると,次のように書かれています。
情報処理技術者試験センターでレベル4の高度試験について表現する「実践能力」は高度な「技能」であって、午後1問題、午後2問題で測ることを想定している。午後Ⅰ問題では高度試験(レベル4)に相応しい状況を設定した問題を与え、その状況で受験者がもつ知識と経験等を活用し、高度人材として求められている行動を起こせる解答を求めている。
午後2問題についても、記述式の問題は午後1問題に近い視点をもっている。論述式問題では、多くは受験者の経験に基づく課題や対策の整理、あるべき姿へのステップ等の論述を求めている。
高度区分の記述式,論述式の勉強をするときに,このことを頭においておくと,より適切な答えが書きやすいと思います。
レベル4は,専門家として社内で部下を指導しながら独力で仕事ができる,というレベルなので,IT会社で中核になって働いている人は,だいたいこのくらいのレベルには到達しています。また,レベル4は,試験合格だけではなく,実務経験なども合わせて評価されます。
レベル5以上は,基本的に試験では判断できないということで,業績や実務のみでの判定になります。
ということで,情報処理技術者試験は,就職から20代,30代での転職ぐらいには使えますが,それ以上の場合にはあまり使えません。
一番役立つのは,レベル2の基本情報技術者やレベル3の応用情報技術者の資格をなるべく学生から社会人3年目までぐらいに取得した場合だと思います。
個人的には,高度区分を全部とってみて,「幅広い分野でのそこそこ深い知識」は得られたと思いますが,1つの分野を極めた人には全然及ばないと感じています。
「高度区分を全部とったから,自分はすごいんだ」というレベルではないですし,そう思っている人がいるのを見るとちょっと恥ずかしいです。
実務的には,高度区分の資格を専門分野やその周辺で2,3個取れれば十分だと考えています。
ちなみに,私をITスキル標準で分類すると,試験が実施されていないエデュケーション(インストラクション,研修企画)の分野でのレベル6になります。
研修の設計や実施の経験はかなりありますし,プロフェッショナル貢献としての「著書」もあります。
個人的には,昔作るかも,という話題のあった「エデュケーションスペシャリスト」を作って欲しいな,とも思ってます。
ちょっと話はそれましたが,情報処理技術者試験は,質の良い試験ですが,その効用には限りがあります。
自分のキャリアパスと見比べて,試験以外の勉強も含めて,適切にスキルアップしていきましょう。