株式会社わくわくスタディワールド

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情報処理技術者試験の応募者減少について

昨日,「プレス発表「平成25年度春期情報処理技術者試験」の応募者数について」にあるとおり,春試験の応募者数が発表されました。

前年同期比 92.8%の 193,905人ということで,20万人を切る形となり,結構減少しています。
その「前年」である平成24年も,「プレス発表「平成24年度春期情報処理技術者試験」の応募者数について」にあるとおり,前年同期比89.8%の 208,837人です。

年々,かなりの勢いで減少していっていますね。
これについては,情報処理技術者試験が魅力がなくなったと考えるより前に,大きな流れを見る必要があると考えています。

減少の理由は,昨年のプレス発表と同様,「特に若年層の応募者数減少によるところが大きく,近年の情報サービス産業における業況や新卒採用者の減少などが影響しているものと考えられます。」が現在進行形だからと考えられます。

これは,情報サービス業が人気がなくなったというよりも,単純に「少子化」の影響が大きいと考えています。
基本情報技術者試験は,学生の応募も多く,平成25年春期の応募者のうち32.2%(21,496名)が学生です。
そして,少子化で,学生から新社会人のあたりの年代の人口は,すごい勢いで減っているのです。

国立社会保障・人口問題研究所人口統計資料集(2012年度)では,2010年の性,年齢(各歳)別総人口が公開されています。

この統計によると,2013年度の新卒(22歳)は,2010年の19歳が単純にスライドすると考えると,約120万人になります。
これは,それ以前に比べると大きく減少しています。特別にこのあたりで急激にというわけでもないですが,年々減少し続けているその流れの中にはあります。

その減少が始まる時,第二次ベビーブームで人数が増えたピークは,今年の40歳(2010年の37歳)で,約201万人です。
第二次ベビーブーマーの私たちに比べると,同世代が6割ぐらいしかいない,と考えると,イメージしやすいと思います。

ちなみに,少子化はさらに進行しており,2012年の出生数は約103万人です。
実は私たちよりも人数が多い,第一次ベビーブームのピークは,今年の64歳(2010年の61歳)で,約226万人なので,半分以下の出生数になっているのです。

なんとなく,「少子化」は頭にあったのですが,こうやって実際にいろんなところに影響が出始めると,改めて大変な感じはします。

情報処理技術者試験の受験者も,日本国内では,大きく流れが変わらない限り,どんどん受験者数は減っていくのは,止まらないように思います。
だから,IPAは「入札公告「情報処理技術者試験のアジア展開関連文書の英訳」に係る一般競争入札」にあるとおり,アジアに進出を考えているのかもしれません。

ということで,これからはいろいろなところで,「少子化」と「グローバル化」の影響が顕在化してきそうですね。

あと,もう1つの側面として,「試験制度改定による応募者の増加」が一段落したというのも考えられます。
統計資料(平成25年度)(PDF)」の13ページ,「応募者数の推移」を見て感じたのですが,平成21年度の試験制度改定まで,平成14年から20年までは,応募者数は減少し続けていました。その後,試験制度改定で,平成21年~23年は持ち直していたのですが,平成24年では大きく減少しています。
ただ,その減少度合いは,平成14年から徐々に落ちていた応募者数の推移のカーブのライン上に見えます。つまり,新試験によって取り直したり,新しいから受けてみたという受験者層が,一巡していなくなったということが考えられます。

合格率の上昇により,合格者が増えて再受験する人が減ったということも言えるかと思います。統計資料の14ページを見ると,平成21年~23年での,合格者数の大幅な上昇が見られます。
合格率自体は,平成17~18年度ぐらいから上昇してきていたので,受験者の減少の割に合格者は減少していないのですが,新試験制度では大量の合格者を出しています。

今回,高度区分まで全区分で受験者が減ったのは,「合格率が高くなって,欲しかった資格はひととおり取り終わった」人も多いのかな,と感じています。
最近は,受講生の方で,「ひととおり合格したので受けるものがなくなった」という人も結構います。
それで卒業するのは,喜ばしいことですので,こちらはそれでいいのかな,と感じます。

長々と書いてきてしまいましたが,受験者数が減少した原因はいろいろ考えられますし,今後も減少は予想されます。
ただ,それで単純に「人気がなくなった」ということでもないですし,資格の価値自体は,一朝一夕には変わらないと思います。

受験者が減ると,「遠方の会場に飛ばされにくくなる」というメリットもありますので,試験に向けて,十分な準備をしていきましょう。