株式会社わくわくスタディワールド

株式会社わくわくスタディワールド

過去の蓄積からの「セオリー」を勉強する

わく☆すた,美月です。
情報処理技術者試験の勉強で,受からない人の典型に,「なんでもかんでも暗記してしまっている人」というのがいます。技術用語の意味などについては,スラスラ言えますが,ちょっと変化球で,「で,その技術はどこで使われるの?」と聞くと,とたんに答えられなかったりします。また,ネットワークスペシャリスト受験者に特に多いのですが,過去問を暗記してしまっていて,その過去問だけは完璧に答えられるけど,ちょっと毛色が変わると解けない,という場合もあります。
こういうのは,「勉強する内容」がずれているパターンです。
小さい頃の学校での勉強からの思い込みで,どうしても,「ちゃんと覚えていることが素晴らしい」という方向に行きがちですが,試験で求められているのは,知識を覚えていることではありません。
ですので,むやみに「覚える」ということだけ頑張ってしまうと,努力の割に,何年やっても合格できない,という事態に陥ってしまいます。
こうなると,「自分には能力がない」と落ち込んでしまいがちになりますが,別にそれは能力の問題ではありません。勉強する内容を変えて,必要なスキルを身につけさえすれば,ちゃんと合格につながります。
ということで,今日は,勉強する内容についてのお話です。
勉強する時には,教科書的な「知識」については,ある程度勉強する必要があります。これは,ただ単に覚えるのではなく,理解して覚える必要はあります。このあたりは,以前,「用語を覚える勉強は非効率」でもお話しましたので,詳しくはそちらをご覧ください。
ただ,実際に「受かる」ためには,知識を身につけるだけでは不十分です。
情報処理技術者試験で本当に問われているのは,「現場で使える」能力です。試験なので限界はありますが,試験の主旨は,その人が現場でちゃんと適切に対処できるスキルがあるかどうかを聞くところにあります。
ですので,勉強する内容として,「現場のノウハウ」を学ぶのが効果的です。
具体的には,現場で使える,それぞれの分野の「セオリー」を,今までの経験という過去の蓄積から学ぶことになります。これがちゃんと身についていると,現場ですごく役立てることができます。
これは,「現場で実務を経験していれば身につく」かというと,身につく場合もあるし,身につかない場合もあります。例えば,データベース設計などは,現場によっては,正規化など無視して作ってるところもあります。上司によっては,思い込みの経験則で,とんでもないルールを作ってるところもあると思います。ただ,大体うまくいってる職場に配属されているメンバーなら,何年かやってると身につくようなスキル,というのが試験では出てきます。
ですので,当たり前ですが,現場でバリバリ活躍している人は,無勉強,もしくはちょっと他分野の勉強をするだけで受かることが多いのです。
ただ,経験が少ない場合には,勉強である程度補う必要が出てきます。それは,「将来その仕事についたとき」にとても役立ちます。情報処理技術者試験には,「その仕事についている人のスキル認定」というだけではなく,「その仕事につきたい人に,実際に仕事をするときに必要なスキルを身につける」という側面もあります。
ですので,経験がないうちから,勉強しておく,というのは,キャリアパス上大切です。
どんな分野でも,その分野での過去の蓄積から導き出されたセオリーがあります。
例えば,「セキュリティは人が大事」とか,「セキュリティ犯罪は内部犯行の方が多い」とかいったセオリーは,そのまま現場でも試験でも活かされます。
情報セキュリティスペシャリスト「午後」オリジナル問題集」で「鉄則」として出てくる,「暗号化すると,パケットの中身の読み取りを必要とする動作ができなくなる。」なども,セオリーだと思います。
そういった,現場や試験で良く出てくる状況から導き出されたセオリーをいろいろ知っておくと,実際の仕事や試験問題を解くのに,とても役立ちます。
こういったものの勉強法としては,やっぱり「過去問演習」が最適だと思います。
試験区分それぞれの基本的な考え方やセオリーは,技術が変わってもそれほど変わりません。ですので,過去にさかのぼって問題を数多く解くことで,こういったセオリーは,だんだん身についてきます。
過去問を覚えるのではなく,過去問から,その分野のセオリーを導き出してみたり,過去の蓄積からの経験則を学んでみる。そういった方面での蓄積が,実際の本番で活かされてくると思います。
今回初めてその試験区分を勉強される,という方は,まず知識も身につける必要があると思います。ですが,再受験で,「どうしても合格できない」と悩まれている方は,今の時期からでも過去問演習などで,「セオリー」を勉強することをおすすめします。