株式会社わくわくスタディワールド

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情報処理技術者試験,平成25年秋試験から変わる点

だいぶん元気にはなりましたが,まだ体力がないので,長く椅子には座れない美月です。
でも,休んでる間におきた大きな変化,情報処理技術者試験の見直し,改訂については,忘れないうちにまとめておきますね。

先日4月26日に発表された,次の平成25年秋試験からの情報処理技術者試験の変更点は,次の2つです。

情報処理技術者試験の「出題範囲」及び「シラバス」における一部分野の構成・表記の見直し
応用情報技術者試験及び一部の高度試験(PM、SC、SM、AU)における出題数の変更

シラバスの変更は,去年も同じ時期にありましたが,今回の改訂は規格の改正への対応です。
具体的には,システム開発,サービスマネジメント,プロジェクトマネジメントに関する標準のバージョンが改正されて,次の規格に準拠するようになります。

・共通フレームが共通フレーム2013へ(JIS X 0160:2012)
・ITILがITIL V3(改訂版)へ(JIS Q 20000-1:2012)
・プロジェクトマネジメントがPMBOKだけではない国際規格「ISO 21500」へ

これに伴って,午前の分野で,開発技術,プロジェクトマネジメント,サービスマネジメントの3分野のシラバスが変更になっています。
午後の試験では,これらの分野の出題がある,基本情報技術者試験(FE),応用情報技術者試験(AP),システムアーキテクト試験(SA),プロジェクトマネージャ試験(PM),ITサービスマネージャ試験(SM)の5つが改訂されています。
詳しい変更箇所は,「「情報処理技術者試験の出題範囲」2013 年 4 月改訂版(変更箇所表示版)(PDF)」をご覧ください。

秋の試験で影響が大きそうなのは,システムアーキテクトとITサービスマネージャの2区分ですね。
参考書などは改訂されていませんので,ある程度,新しい規格に自分で目を通しておく必要があると思います。
私自身,秋はITサービスマネージャを受験予定ですし,ITILファンデーションなども受験する予定なので,またいろいろ情報を出していきたいと考えています。

基本情報技術者,応用情報技術者の試験では,改訂でいきなり問題が変わるレベルのものが出題されるとは考えづらいですが,午前の知識では出るかもしれません。
参考書は,私の応用情報技術者教科書は来年度版では完全対応させるつもりですが,秋の試験には間に合わないです。
その分,共通フレーム2013のポイントなど,ネット上でもいろいろ取り上げていきますね。


もう1つの変更,午後の問題数の変更は,影響を受ける人も多いと思います。
午後の問題数が1問減るのは,応用情報技術者試験(AP),プロジェクトマネージャ試験(PM),情報セキュリティスペシャリスト試験(SC),ITサービスマネージャ試験(SM),システム監査技術者試験(AU)の5区分です。

このうちで,影響が大きそうなのは,APとSCですね。

特に,ストラテジ系,マネジメント系を中心に午後問題を選択していた,応用情報技術者試験受験者にとっては受かりにくくなる変更だと考えています。
今まで,経営戦略(情報戦略,戦略立案・コンサルティングの技法)については,問1と問3の2問が出題されており,問3の方が基本的に難易度の低い問題でした。この問3がなくなると考えられますので,ストラテジ系の問題は1問のみになります。
マネジメント系3問と足しても4問にしかなりませんので,あと2問は必ず,テクノロジ系の問題を選ぶ必要が出てくるようになります。

これは,ストラテジ系に寄った選択をすることで,あまり技術力がなくても受かってしまうということを防止するためだと考えられます。
今までの応用情報技術者試験は,午後でプログラミング(アルゴリズム)を避けて,さらにテクノロジ系の問題を避けて合格することもできましたので,基本情報技術者試験にくらべて低い技術力でも突破することが可能になってしまっていました。
この抜け穴を塞ぐ意味が大きく,経営戦略をメインで行う人でもある程度の技術は学ぶ必要があるようにするという意図の表れだと考えています。

もう一つ,情報セキュリティスペシャリストの選択幅が狭まるのも,マネジメント系だけ勉強して技術力があまりない受験生が合格するのを防ぐ効果があると考えています。
今までは,午後1が4問中2問選択で,高い技術力が要求される問題やセキュアプログラミングを避けても合格できました。
3問になると,セキュアプログラミングを避けると残りを全部選ぶ必要がありますので,よりしっかり勉強する必要が出てきます。

今回までのSC試験が,「マネジメント寄りかテクノロジ寄りか」のどちらかを選べる試験だとしたら,次回以降は,「マネジメントもテクノロジもどちらもある程度知っている」必要がある試験になると考えています。
付け焼き刃が通用しづらくなるという意味ではいい改正かな,と個人的には感じています。

その他の論述系の問題数減少は,そんなに大きな影響はないように感じています。
もともと4問とも基本的に似たような問題ですし,選択肢が1つ減っても,選ぶ手間が減るぐらいだと思います。
組込系の問題が別に出題されるシステムアーキテクトやITストラテジストは4問のままですし,特に変わりません。
高度区分は全部,基本的に3問中2問選択という方向になった,というだけな感じがしています。

勉強の仕方としては,今までの過去問は全部やってみるという方向性でいいと思います。
AP午後の問3は,問1を選択するための勉強としても役立ちますし,高度論文系の場合は,演習する問題の数の差だけだと思います。
そして,SCの場合は,今までだったら避けるような問題が出てきても対応できるように,ある程度全部の過去問を解いてみる勉強がおすすめです。
今の時期からなら,セキュアプログラミングも避けずに勉強することができればベストです。

秋の試験に向けて,いろいろ動き始めました。
少しずつ次の試験を意識して,できることをやっていきましょう。