株式会社わくわくスタディワールド

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論理的思考の必要性とその限界

人と意思疎通をするときには,論理的思考はとても大切です。

特に,文章というのは,直接話す時と違って,身振りや声,仕草などの情報が抜け落ちますので,伝えたいことを正確に伝えるためには,論理的に書く必要があるのです。
そして,その論理的な文章は,本来伝えたいことが一つに絞られるように書かれていますので,それを読み間違えないように正確に読む必要があります。
その発信する側,受けとる側両方の論理的思考があるから,相手との意思疎通が成功するのです。

そのため,学校では小学生の頃からずっと,相手に伝わる文章を書くために,論理的な文章の読み方や書き方の手法を学びます。
高校卒業程度の国語力,具体的には高校の現代文で学ぶ,評論文の読み方,書き方ぐらいまでが学べていれば,基本となる論理的思考力は十分だと思います。

情報処理技術者試験をはじめ,いわゆる「筆記試験」というものは,基本的に文章での意思疎通しかありません。
ですので,論理的な文章を読んで,論理的な答えを文章として書く,ということができなければ,試験の内容以前のところでひっかかってしまい,合格はできません。

そのため,いろいろな筆記試験に受かるためには最低限,文章で意思疎通ができる論理的思考力が必要です。
高度区分などは,論理的思考力がある程度ないと合格できませんので,記述式で行き詰まっている方は特に,論理的に読み書きするということを学んでいくことが大切です。

あなたも突然、上手に書けるようになる 7日間「大人の論理エンジン」で本物の文章力が身につく」という本もありますし,わく☆すたでも,オリジナルの「論理エンジン」は取り扱っています。
本は,論理の勘所が書いてある本なので,7日間でポイントは押さえられると思いますが,その後実際に論理力や文章力を延ばすためには繰り返しの訓練が必要です。
。。。と,本を読めば書いてあります。7日間というのはビジネス書にありがちのキャッチコピーなので,それに惑わされずじっくり使うのがおすすめです。

ということで,論理的思考は,試験勉強のベースとして,必要不可欠です。
不足していると感じられる場合には,先に論理的思考力を底上げしてから勉強を再開すると,すごくスムーズになると思います。

ただ,思考というものは論理的に考えられればOK,というわけではありません。

今日,「論理的思考の一つの特徴、二つの目的」というブログ記事を読んで改めて感じたのですが,論理的思考というのは,いろいろな限界があります。

論理的だからといってその内容が正しいとは限りませんし,そもそもの前提が間違っている,ということもよくあります。
論理だけでは足りないことは,実務ではよくあると思います。

論理的思考とは少し違う思想に,批判的思考(クリティカルシンキング)があります。
批判的思考では,前提条件や証拠などを自分の頭で考えて疑い,より良い答えにたどり着こうとします。
その途中の過程で,論理的思考は使います。

仕事,特に新しいことにいろいろ挑戦していく仕事には,この批判的思考は大切です。
単に言われた業務を遂行するだけなら論理的に考えていけばいいですが,全体的な方向性を考える時には,その前提条件を疑ってみることが大切です。

例えば,「試験に短期間で合格する」ということを目的として,その合格するための方法を1つ1つのステップに分けて順に考える,というのは論理的思考です。
それに対して,「その目的は本当に妥当?」と考えて,「本来の目的は仕事に役立てることじゃないの?」「自分の成長の方が合格より大事じゃない?」「短期間で合格した方がホントにいいの?」という風に前提から疑って考えることが批判的思考になります。

試験で測ることができることは,基本的に「論理的思考力」だけです。
ですので,論理的思考が得意なら,試験にはとても有利です。

逆に,批判的思考が得意な人は,試験では苦労してしまう人が多いようです。
「こんな現場の状況はおかしい」「資格を取ることに意味はあるの?」「この別解もあると考えられる」。。。などなど,考え出したらきりがありません。

この気持ちはわかりますし,そういった疑問を感じるということも大切です。
ただ,こちらを感じすぎると,試験で足を引っ張るのも事実です。
個人的には,細かいツッコミどころはあるけれど,本番の試験問題が大局的にずれてることはあまりないし,相手の意図を汲んで望んでる答えを返そう,と考えて問題を解いてます。
模擬試験の問題などだと,出題者の基本的な考え方がずれていることに気づいてしまって,批判が頭から溢れてしまって疲れ果ててしまう,ということも時々あります。^^;

批判的な思考ができる人というのは,その前提となる論理的思考力はもともと備えていることが多いので,意識を変えさえすれば比較的楽に合格できます。
リーダーとして自分で動く業務など,試験を超えたところでは批判的思考はとても大事なので,その芽を積まないように試験と折り合いをつけるといいかな,って思ってます,

試験は本来,実力を試すための方法ですが,その効力にはもちろん,限界があります。
試験で測れること,測れないことを分かった上で使うことで,そのメリットを適切に受けとることができます。

いろんな思考法の,利点も欠点も両方踏まえた上で,自分が大事だと思えることをやっていきましょう。