株式会社わくわくスタディワールド

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高校レベルの英語・数学・国語を使いこなせるようにする

Diamond Onlineに,「「できるビジネスマン」かどうかは高校の学力で決まる」という記事がありました。

最初の方の話題は,企業の採用で推薦・AO入試で入ってきた学生に問題処理能力が低い人が多いので,ちゃんと成績も見ようという話なのですが,後半では,「できる人は高校の知識を使える」という話となっています。
確かに,資格試験などの勉強ではもちろんですが,普段の仕事でも,高校レベルの英語・数学・国語を使いこなすとレベルが変わってくるようなことは,結構いっぱいあります。

怖いのは,こういう基本的なスキルは,それがない人は,「必要だ」ということにすら,気づけないことです。
文章を正確に読めば分かるはずのことを,分からないからと丸暗記だけに頼ったり,数学的な意味を考えずに,答えだけ覚えたりといった学習は,効率が悪いだけでなく,そうやって学習してもあまり身につきません。

ですので,大人になっていきなり,基礎学力もないのに資格試験だけ頑張ろうとすると,ザルで水をすくうような勉強の仕方になりがちです。
一夜漬けで頑張って暗記して基本情報技術者には合格できたけど,応用情報技術者を受ける時にはすっかり忘れて一からまた丸暗記,でも今度は論理的思考ができなくて受からない,みたいな,努力が結果に結びつかないことになっている人は,結構よく見かけます。

こんな風になってしまうと,勉強している内容や資格そのものがイヤになって,逃げたくなるのは当たり前です。
資格を,「すっぱいぶどう」的な感じで酷評する人には,こういう人も多いのかな,と感じています。

ということで,仕事で高校レベルの基礎学力が必要な場面,というものについて考えてみます。

まずは英語。
私自身は,外資系企業(イスラエル本社)にいたことがあるので,英語での仕事は結構多かったです。
ここで,他の人と直接会ったり,電話でやりとりするときの英会話力(主にリスニングやスピーキング)は,高校レベルでは全然足りなくって,社会人になったあともいろいろ勉強してました。

でも,意外と,「高校までの勉強が基礎となっているな~」と感じられることが多いのは,文章を正確に把握して,相手に伝える時です。
英会話は,正直はったりでもなんとかなりますし,対人関係能力が高ければ,言葉が通じなくても会話が成立したりします。
でも,読み書きは,付け焼き刃では全然通用しません。

特に,私の仕事は,Webページのローカライズ(英語のページを日本語に直すこと)や,Eメールでの外国とのやりとりが多かったので,高校まで,特に大学入試に向けて地道に,英文和訳や和文英訳を練習したことはとても役に立ちました。
英作文は,「基本英文700選」を全部覚えて頭に入れ,それを応用して英文を作る,という練習を結構いっぱいやったのですが,これが今,自分が英語を書くときの基礎になっていると感じています。

最近,AmazonのAWSをいろいろ使っているのですが,このマニュアルが,詳しいことを調べようとすると,すぐに英語に切り替わります。
こういうのを読んでいると,英語のマニュアルが正確に読めるというのは,エンジニアにとって大切なスキルだというのを,すごく感じます。
特に,インターネットの情報は英語が中心なので,いざというときにちゃんと読める,というのは問題を解決するときに役に立ちます。

次に数学。
プログラミングや,データベース設計などを行う時には,ある程度の数学力は必須です。

特に,論理(AND,OR,NOT)が正確に使いこなせないと,正確なプログラミングはできません。
バグのあるプログラムで,論理を逆転させるのに,単純に反転させてて,全体的な論理として間違っているもの,なんてものを時々見かけます。(例えば, A AND B を NOT A AND NOT Bにするなど)
こういうのは,高校の論理で,対偶とか逆についてちゃんと分かっていると,防ぐことができます。

もっと基本的なところでは,四則演算がある程度暗算でできないと,ちょっとした計算で困る場合が出てきます。
概算でディスク容量を考えるとか,ざっと全体量を見積もるとか,そういったときには算数は結構大事です。
電卓を使わなくても,とっさに計算することができれば,何かを考える時に,思考が中断しなくてすみます。

あと,やっぱり,一番大きいのは国語です。

文章を正確に読んで,相手に正しく伝えるように書く,というのは,高校の現代文レベルができれば十分です。
でも,これが意外とできない人が多くって,苦労しているように感じます。

仕事でありがちでよく見かけるのが,意味のわからない仕様書や報告書。
文章の論理が破綻していたり,最初と最後で言ってることが違ったり,といった文章は,結構見かけます。
主語がはっきりするよう,文法的に正確な文を書く,前後関係を意識する,といった基本は,意外とできていない人が多いように感じています。

もっと基本的なところでは,漢字の読み方を間違えると,必要以上に頭が悪く見られがちです。
当用漢字ぐらいは,ひととおり読めるようにしておいた方がいいかな,とは思います。
書くのはPCを使うことが主だと思うので,全部書けなくてもいいとは思いますが,たまには手書きをして確認したいところです。


英語・数学・国語といった,高校までで学ぶような基礎知識は,付け焼き刃ではなかなか「使いこなす」レベルにまでは身につきません。
そのため,身につけずに来た人も多いのではないかと思いますが,基礎が中途半端だと,応用的な勉強をしても中途半端に終わってしまいます。
そうすると,仕事も勉強も,レベルアップが大変になってくるので,回り道に見えても,基礎を固めることが大切です。

仕事や勉強で行き詰まっている方は,一度,「基本がちゃんとできているかどうか」をふり返って確認してみるといいと思います。
土台をしっかりして,その上にいろいろ積み重ねていきましょう。