株式会社わくわくスタディワールド

株式会社わくわくスタディワールド

過去問題から,試験で求められている内容を自分で分析してみる

高度区分の試験の場合,「その試験がどんな人材像を想定して作られているか」が意外とわかりにくかったりします。
論述系の試験区分の場合は,その求められる人材像がつかめるかどうかが,合否の分かれ目だったりします。

「どんな内容の知識が求められているのか」は,過去問題を解いているとわかります。
そして,過去問題をいくつも解いているうちに,求められている人材像は見えてくるようになります。

過去問を演習する意味は,単に問題に慣れるというだけでなく,この「試験に求められる人材像」をつかんで,その気持ちがわかるようになることにあります。
試験に出てくる内容というのは,「あるべき姿」で,こんな人材がいたら仕事がはかどって素晴らしい,という想定です。
もちろん,現実は思い通りにはいかないものですが,その思い通りにいかない状況でもあきらめず,最適解を見つけ出す人材というのが求められています。

ですので,高度区分の試験勉強をするときには,過去問題の演習はとても重要になります。
そこで身につけた理想の人材像は,目指すべき指針にもなりますし,それが見えると実務でも方向性がつかめます。
高度区分の勉強だと,「過去問演習で出てきた題材自体が,実務で役立った」ということも,結構聞きます。

最近,応用情報技術者試験と情報セキュリティスペシャリスト試験の過去問解説DVDの動画を撮影していたのですが,この2つの試験問題は,内容のリアリティが全然違います。

応用情報技術者試験の問題は,よくできてはいるのですが,一般的な知識を超えない内容です。情報セキュリティ分野の午後問題だと,「ここは標的型攻撃って答えさせたいんだな」というのは見えるのですが,標的型で狙われそうな企業にも見えない一般企業で,ただ単に「こういう危険性が考えられる」というレベルで終わっています。

これが,情報セキュリティスペシャリストの午後問題だと,「この会社は社員が少ない研究所で,世界的に評価される新薬の機密情報がある」など,具体的な企業の状況が書かれています。そこで,執拗な標的型攻撃を受けていたことが判明して,その対処をどうするか,というのを,暫定的な対策と根本対策に分けて考えます。
基本的に,高度区分の午後問題は,実在の企業をベースにした実践的な問題です。

実際に過去問演習をしてみることで,そういった,「その試験の対象となる人材像が,どんな問題を解決することを想定されているのか」がわかります。
実務でホントに似たような状況になる可能性もありますし,いくつかの過去問を解いていくうちに身につけた全体的な理解は,いろんな場面に応用が効くようになります。
ですので,過去問演習をすることは,試験対策の王道になります。

これをもう少し推し進めて明確に実力を身につけるためには,自分で「過去問を分析してみる」のがおすすめです。

試験を解くだけでなく,「この問題はどんな知識が必要だったか」「何がメインテーマだったか」などを分析していくのです。

私自身,昔から,過去問演習をした後に,「この試験問題を解く時に必要だった知識」を抜き出して,そのうち,「今まで知らなかった知識」をまとめて,それを調べるという作業を行っていました。
これは,最初のうちはなかなかうまくできなくて,「何が必要か」が正確に見抜けないことも多かったのですが,やっていくうちに慣れてきました。

高度区分にいくつか合格されている方なら,試験問題の勘所は見えるようになっているはずです。
ですので,過去問題を演習するだけである程度,試験で求められている内容が,自分でつかみとれると思います。
演習後にちょっと一手間かけて,問題内容を分析してみると,学べる内容はかなり多くなるのでおすすめです。

高度区分の中ではマイナーなものを中心に,まともな参考書がない区分が結構あります。
そんな時には,少ない選択肢の中から仕方なく買ってみるというよりも,自分で参考書を作る人のような分析をしてみる方法も考えられます。

論述系の区分の場合には,まずは午後1をしっかり解いてみて,試験センターの解答例と比較して,求められている解答をしっかり分析します。
どういった視点が求められているのか,必要な知識は何なのか,問題をベースに考えていくのです。

これは改めて書く予定ですが,今回私が,ITサービスマネージャ試験の受験にあたって行った勉強は,「過去問演習とその分析」だけでした。
参考書や問題集は,買うには買ったのですが,結局ほとんど使いませんでした。

模擬試験や予想問題には,「作問者の試験に対する思い込み」が混ざっていて,それは本番の試験の内容とはずれていることが多々あります。
ですので,勉強する時には過去問題が一番ですし,下手な模擬試験問題だと,やらない方がいい場合もあります。

それと同様に,参考書にも,「著者の試験に対する思い込み」が混ざっていて,それが試験範囲とずれていることが結構あります。
情報処理技術者試験の参考書の場合,「最近の過去問題の分析」さえせず,「この試験はこんなもの」と,自分が得意な範囲だけ書いているように見える本さえあります。

ある程度実力がある人の場合には,試験問題を分析すること自体が,いい勉強になると思います。
やってみると,それほど時間がかかるわけでもありませんし,何よりやっていて面白いです。

「参考書や問題集で知識を教えてもらう」というところから抜け出た,主体的な勉強法は,おすすめです。