株式会社わくわくスタディワールド

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ITパスポートの真実

昨日不在票が入っていたので,今日ITサービスマネージャ試験の合格証書の郵便を受けとりました。
これで,平成21年度からの新試験で名称が変わった試験(ITストラテジスト,システムアーキテクト,ITサービスマネージャ,ネットワークスペシャリスト,データベーススペシャリスト,エンベデッドシステムスペシャリスト,情報セキュリティスペシャリスト,応用情報技術者,ITパスポート)は,全部再コンプリートです。

なぜか合格証書封筒が2通来たので不思議だったのですが,1通は11月に受けたITパスポート試験(略称,iパス)のものでした。

合格証書201401

一度に2通の合格通知が来たのは,長年情報処理技術者試験を受け続けていてはじめてです。
CBTだと,年2回の機会を犠牲にせずに,並行して受けられるのがいいですね。

ちなみに,iパス受験者特典の初音ミククリアファイルなのですが,どうも期間中に予定枚数が全部配布しきれなかった模様です。
「初音ミク」コラボ記念クリアファイルの配布期間の延長について(※配布期間:2014年1月~3月末まで!無くなり次第終了。)」ということで,今受けに行っても,クリアファイルがランダムで1つもらえます。

もうちょっと欲しい,期間中に受け損ねた,という方は,今のうちに行ってみるといいかもしれません。
個人的には,どうせなら,春の基本情報技術者試験以上の試験で配布してくれるとうれしいのにな,と考えてます。

昨年,iパスを6回受験しました。
それと,教材作成などを通じて改めて感じたのですが,ITパスポートの試験って,みんながなんとなく持ってるイメージと,結構違うんじゃないかと感じています。

iパスとは,試験センターの「iパスとは」にあるとおり,

 IT化された社会で働くすべての社会人が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験

です。
そのため,「万人向け」「簡単」という印象をもたれがちなのですが,実はそんなことはありません。

まず,この試験は,すべての人が対象なわけではありません。
日本語的な話で恐縮なのですが,上の文章を素直に読むと,この試験の対象は,「IT化された社会で働くすべての社会人」です。

つまり,これは基本的に「社会人向け」の資格です。
学生向けや,会社を引退したあとの方向けには,作られていません。

ですので,学生のうちに受けるときには,試験で多く出てくる「社会人としての知識」が,結構大きな壁になります。
会社の仕組みや,会計,組織のマネジメントなどのストラテジ系,マネジメント系が全体の半分くらいを占めますので,これを勉強すること自体が,大変なんじゃないかと感じています。

社会人経験がない人がITの基本資格だと思って受験しようとすると,他の分野の知識が多すぎてイヤになるくらいの試験です。
学生のうちに勉強をしようとするときには,「iパスはITの基礎と社会人の基礎を両方勉強する試験」だと考えているぐらいでちょうどいいと思います。

もう少し厳密にいうと,この試験のメインターゲットは,「ITを利用して業務を行う企業の社員」です。
この試験の前身,「初級システムアドミニストレータ(略称 初級シスアド)」は,そいういった利用者側の企業の社員が対象でした。
この試験は,旧試験制度で「利用者」として位置づけられていた,一般企業の中でのIT担当の社員向けの試験3つ(上級システムアドミニストレータ,情報セキュリティアドミニストレータ,初級システムアドミニストレータ)のうちの1つです。
万人向けではなく,一般企業でIT企業とやりとりをする窓口となる担当という,特定の業務の人が主な対象でした。

受けてみた感覚として,iパスは初級シスアドと,メインターゲットは変わっていないです。
初級シスアドよりは少し簡単になりましたし,試験の対象の幅は広がっているようには感じますが,中心となるのは,「IT企業をいかに利用するか」といった,IT以外の企業でのIT活用の視点です。

分かりやすいところでは,利用者とIT企業の間での共通の物差しとして国が推奨している「共通フレーム」の問題が,かなり多く出題されています。
私が受けた時には,毎回4~5問ぐらいは,共通フレーム関係の問題でした。

ですので,単に自分でインターネットやITを利用する,社内でワードやエクセルを使って仕事をする,という人の場合には,勉強する内容が少しずれています。
ITの仕組みを理解したり,エクセルを使うときの元になる表計算の考え方を理解するのには役立つので,勉強してみるのはおすすめですが,少しずれがあることも認識しておくといいと思います。

あともう1つ,ITパスポートは,ITを全然知らない人にとっては,決して「簡単な試験」ではありません。
広く浅く何でも含まれるという感じで,かなり広範囲の知識について問われます。
ある程度,ITに慣れている人でないと,勉強を始めるのも厳しいと考えています。

たまに,定年後にパソコンを習い始めた,という人にITパスポートの受験を勧める人がいるのですが,私はこれは,かなり厳しいと考えています。
内容が全部理解できれば役に立つとは思いますが,合格するまでの道のりは,かなり長いです。

といっても,何にも知識がない初心者がインターネットを使うのはかなり危ないですので,もう少し簡単な,最低限の身を守るためぐらいのレベルのIT知識が集まった試験があればいいのにな,とは考えています。

いずれにしても,名前の印象ほど簡単な試験ではないので,受験前にはそれなりの準備は必要です。
CBTなので何度も受け直すことは可能ですが,できる限り,確実に合格できるような準備をしていった方がいいと思います。

適切な時に適切に試験を活用して,実力を伸ばしていきましょう。