人に嫌われないように,他人の期待に応えようとして生きていると,段々自分がつらくなってきます。
他の人が自分を嫌うのはその「嫌う人」の問題で,自分でコントロールできるものではないのです。
嫌われる勇気を持って,自分が広い視野で考えてベストだと思うことを今行っていくと,対人関係はシンプルで楽になります。

最近,「嫌われる勇気」という本を読みました。

嫌われる勇気

この本は,アドラー心理学をやさしく説明した本で,対人関係の悩みを解決するための具体的な方法がいろいろ書いてあります。
その中で,嫌われる「勇気」をもつということで,人に嫌われることを覚悟することで,自由になれるという話が出てきます。

試しに読んでみたい方は,cakesというサイトにも「嫌われる勇気」として掲載されており,第一部(第一夜)部分は無料で公開されていますので,こちらを見てみるのもいいと思います。

アドラー心理学とは,アルフレッド・アドラーという方が考えた心理学です。
アドラーは,世界的にはフロイト,ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされている方ですが,日本ではほとんど知られていません。
多分,「他人の期待に応えないで自分を生きる」という考え方は,日本では受け入れられにくかったのではないかな,と感じています。

私はアドラー心理学については,大学で教育心理学の講義の中で学びました。
また,早稲田大学に在籍していたときのゼミの教官がアドラー心理学にも詳しかったので,そこで,フロイトやユングとは違う,別の心理学の潮流があることを学びました。

アドラー心理学の考え方の特徴としては,次のようなものがあります。

・何か起こったときに「原因」を探るのではなく,「これからどうするか」という
 目的に焦点を当てる。
・個人という単位全体で考える。細かく分析して心と体の対立などの見方をしない。
・人間は社会的動物なので,すべての悩みは対人関係から来ていると考える

もう少し詳しく知りたい方は,Wikipediaの「アドラー心理学」や,nanapiの「アドラー心理学の入門知識とまとめ」などにまとまっていますので,そちらをご覧ください。

アドラー心理学で一番大切な,理論的な考え方に「共同体感覚」があります。
これはひとことで説明するのは難しいのですが,他者を仲間だと見なし,そこに「自分の居場所がある」と感じられるような感覚が共同体感覚です。

このときの「共同体」というのは,家族や会社,グループなどの,いろいろな集団です。
ここでの大事な原則は,「より大きな共同体の声を聴く」ということです。

他人の目を気にして行動する,といったとき,「親」や「学校の仲間」といった小さい範囲のことにとらわれていると,迷いが生じやすくなります。
身近な相手の性格や言動に左右されがちですし,なにより,その小さなグループの利益は,全体の利益にならないことも多いからです。

分かりやすい例だと,会社の上司に気に入られるために,その上司に誘われた不正に手を染めて売上を伸ばす,といったことが挙げられます。
部署や会社など小さい範囲ではいいことと判断されて褒められるかもしれませんが,大きく社会を見るとマイナスです。
こういったことをすると悩みが深くなって,自分の心に負担がかかる,というのは大体誰でもそうなのではないかと思います。

「嫌われる勇気」というのは,こういう,「目の前の自分をコントロールする人」から自由になるための勇気です。
どのみち,どんな生き方をしても,あなたを嫌う人は嫌います。
小さな集団にとらわれていると,自分がどんどん小さくなったように感じてしまい,自分で自分がイヤになってしまいます。

ですので,目の前の人に嫌われないための行動をとるよりも,自分で感じる「より大きな共同体の利益」を考えて行動した方が,心の平安が保てるのです。

多分,このあたりの考え方の表面的な部分は,いろんなビジネス書,自己啓発書に書いてあると思います。
アドラー心理学は,「自己啓発の源流」と言われていて,西洋発の自己啓発書では,この思想がベースになっているものが多いからです。
有名なところだと,「7つの習慣」などは,アドラー心理学を基本にしていると考えられます。

個人的には,下手にいろんなビジネス書を読むよりも,アドラー心理学のような源流となる学問体系を学んだ方が,より本質的に理解できて役立つと考えています。

学問書だと読むのが大変だとは思いますが,「嫌われる勇気」だと,対話形式で書かれていてかなり読みやすいですし,Kindle版も出ていてどこでも読めますのでおすすめです。

特に,アドラー心理学は,教育関係の大学ではよく教えられていることですし,子育てや子供の教育に関わっている人には,すごく役に立つ内容だと感じています。

現実世界で役立てることができる学問を学んで,自分の人生に使っていきましょう。