株式会社わくわくスタディワールド

株式会社わくわくスタディワールド

自分なりの「成功」を定義する

同じ資格を取っても,その資格を活用できる人とそうでない人がいます。
無理な資格に挑戦し続けて,何年も頑張り続けている人もいれば,さくっと一発で合格して,次のステップに進む人もいます。
人によって,才能や適性に違いはありますし,何をもって成功とするかも異なります。

私が新年最初に読んだ本は,『ウォートン・スクールの本当の成功の授業』でした。
この本は,「成功」に関する大学の講義をまとめたもので,成功や幸せに関する研究成果などから,自分なりの成功と,その実現方法を考えるための足がかりが示されています。

ビジネス書,自己啓発書などで,モチベーションをアップしたりやる気を引き起こす本はいろいろありますが,この本はそれほど劇的ではありません。
でも,地に足をつけたところで,着実に目標を実現するための方法はしっかり書いてあります。

私が今回,この本で新たに学んだのは,「『うまくできること』を見極める」ということでした。
好きなことや夢を追って生きていくと言うとき,単純にポジティブな本だと,「自分が苦手でも,好きというのは大切なのです。」といったことが書いてあり,自分が向いていなくっても,大好きな事はやればいい,といったことがよく書かれています。

この本は,そんなお花畑ではなく,「冷静に自分の素質を見極める」ことについて示されています。
「自分が人よりうまくできそうなこと」を洗い出し,それを組み合わせて価値が提供できそうなことを見いだしていきます。
欠点を克服してできるようにすることは非効率ですし,長所を伸ばすことは,自分に向いた仕事をして行く上で大切です。

私が長年技術者に教えてきた中で,このことを一番実感するのは,プログラミング教育でした。
プログラミングは,「好きで得意な人はどんどん伸びていくけど,向かない人は全然ダメ」という傾向のあるスキルです。
もちろん,最初のステップでつまずいて能力を発揮できなかったり,教え方次第で差は出るのですが,それよりも向き不向きが大きいと,私は感じています。

昔と違って今は,才能のないプログラマーまだ駆り出さなければならないほど,単純な作業はありません。
そのため,適性がある人,プログラミングを楽しめる人はどんどんやって欲しいとは思いますが,苦手な人まで無理して頑張る必要はないと考えています。
適性を無視して仕事を続けることは,まわりに迷惑となることも多いですし,頑張ればいいというものではありません。

人によって才能は違いますし,向き不向きはあります。
それを冷静に見つめたときに,自分なりの適切な道が開けてきます。
誰もがみんな,スーパースターになる必要はありませんし,日常に幸せを見いだせるなら,それだけで十分なことも多いです。

この本では,そういった世間一般の「成功の定義」に惑わされないようにする方法も書いてあります。
人の期待や押しつけにとらわれずに,自分自身が何に喜びを感じるのかをきちんと認識することは,生きていく上でとても助けになります。
ひとりひとり違うこと,そのこと自体の意味を感じ,その多様性を活かしていくことが大切です。

年末年始は,日常から離れて,自分自身を見つめ直して見ることができるチャンスです。
今年の目標を考える前に,まずは自分が生きたい,そして行くべき方向性を見定めてみましょう。