先日の「“大学の環境”をうまく活用する」で書いた東大生協の書店で,見慣れない本を見つけました。
なんとなく気になって買ったのですが,読むうちにどんどん引き込まれていきました。
今まで,「生まれつきの才能」だと思っていたことが実はそうではなく,やり方次第で伸ばせるのだと知り,衝撃を受けました。

その本の名は,『超一流になるのは才能か努力か? 』といい,フロリダ州立大学の心理学部のアンダース・エリクソン教授とライターのロバート・プールさんの共著です。
どちらかというと学術書に近い感じで,最近の心理学の研究成果をまとめた本なのですが,ライターの方が入っているからか,かなり読みやすくなっています。

この本の冒頭に,「絶対音感は生まれつきのものか?」という話が出てきます。
神童・モーツァルトは「絶対音感」を持っていて,それは当時,1万人に1人といわれるほど希有な才能だったそうです。
少なくとも,200年前はそうだったようで,そのためにモーツァルトは驚くべき才能を持つ天才ともてはやされたようです。

ただ,実は,絶対音感は,適切な時期に適切な教育を施せば,身につけることができます。
東京の一音会ミュージックスクールが実施した実験によると,2歳から6歳までの子供24人にトレーニングを受けさせたところ,全員が絶対音感を身につけられたという研究成果を発表しています。

私自身,絶対音感は小さい頃からあったのですが,これは別に生まれつきの才能ではありません。
単純に,3歳の頃から幼稚園でやっていた「ヤマハ音楽教室」の賜物なのです。

うちの親に音楽の才能を伸ばそうという意図はあまりなかったようですが,共働きだったので,幼稚園のオプションで,帰ってくるのが遅くなるのがありがたかったようでした。
というわけで,身につけた絶対音感のおかげで,音楽の授業で苦労することはなかったです。

この話で大切なことは,「適切な訓練をすれば様々な能力を身につけられる」ということです。
訓練というのは,新たな脳の回路を構築するものなので,才能限界で頭打ちになるわけではありません。
近年の研究で分かったことは,脳には適応性があり,訓練次第で新たな能力を生み出すことができるということです。

また,「ただ努力するだけ」では能力は向上しないことがわかっています。
努力することはもちろん大切なのですが,頑張りさえすれば何でもできる,という精神論だけでは足りません。
あくまで,「正しい訓練」が大事なのです。

どの分野にも共通する最強の学習法としては,「限界的練習」というのがあります。
詳しい内容は長くなるので,本を読んでいただくのがベストですが,かなり具体的で使えそうな内容です。
私自身もいろいろ実践して試してみたいと考えています。

絶対音感など特定の年齢で行う必要があるものは大人になってからでは無理ですが,年を取っても伸ばせる能力もたくさんあります。

やりたいことがあるとき,「才能がないから」とあきらめてしまう前に,その能力を身につける可能性について探っていきましょう。