株式会社わくわくスタディワールド

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試験問題にも質の善し悪しがある

今日,ある会社の模擬試験の校正をしていて,すごくいい感じの問題に出会いました。
守秘義務があるところですので詳しくは言えないのですが,適度に難しくて,本質的なことを聞いていて,とてもいい感じで実力を試す問題でした。
こういう問題には,なかなか出会えないので,見るとすごくうれしくなります。
そして改めて,試験問題にも質の善し悪しがあるなぁ,と感じました。
試験が終わったとき,その問題が難しかったかやさしかったか,ということはよく議論されます。でも,それが質のいい問題かどうか,というのはまた別の観点ですので,あんまり議論はされません。
個人的には,情報処理技術者試験の本試験問題は,かなりいい問題が揃ってると感じています。
いい問題,といってもいろんな観点がありますが,私が見て,いいなぁ,と感じるのは,次の2種類の問題です。
1.実力がある人は解けて,実力がない人は解けない問題
2.問題を解いていると勉強できて,成長できる問題
1の問題は,教育工学の専門用語では「弁別力」があるというのですが,分かってる人はわかるけど,分からない人にはわからない,というのは,実はとてもいい問題です。勉強や仕事で身に付けた実力を試せる,という問題は,ゴールが見えますので,勉強の励みになります。
そして,質がいいと,合格者は実力がある,ということになりますので,それが試験自体の価値にもつながってきます。
2の問題は,基本情報技術者や応用情報技術者の問題に多いのですが,勉強することで疑似体験できて,新しい知識が身に付けられるような問題です。特に,新技術の時には,詳しく解説してあって,「へぇ~」と眺めてるだけでも勉強になります。データベース設計やオブジェクト指向などは,用語を覚えるよりも,実際に応用情報技術者試験の問題を解いてみた方が,力がつくんじゃないかと思えるほどです。
いい問題,というのは作るのにも相当スキルがいりますし,それができる人は貴重です。
過去問演習には,そういった質のいい問題に出会える,という楽しみがあります。
ここからは個人的な観点ですが,情報処理技術者試験の中だと,データベーススペシャリストとネットワークスペシャリストは,いい問題が揃ってると感じています。この2つは,スキルをある程度身に付けないとまったく太刀打ちできませんし,身に付ければ受かります。それに比べると,情報セキュリティスペシャリストは,本質的じゃないところに引っかかりがあって,必ずしもいい問題ばかりじゃないなぁ,とも感じます。
論文試験は,論文にウェイトがある感じで,午後1はちょっとイマイチ感があります。
ベンダー試験だと,CCNAなどのシスコの試験は,かなり良く出来ています。
ネットワークスペシャリストと並行して勉強すると,相乗効果が期待できるんじゃないかと思います。
情報処理技術者試験以外だと,質の良さに感動したのは,簿記試験です。
理屈がちゃんとわかれば解ける,わからなければ解けない,ということがすごくシンプルに試されている感じがしました。
試験の目的は,実は,「いい点を取る」ことではありません。
「実力を知るための物差し」なのです。
ですので,なるべく正確な物差しを使った方が,実力はうまく測れます。
そして,その結果が良くても悪くても,次の指針にしていくことが大切です。
試験問題を振り返るとき,できた・できない以外にも,そんな視点で眺めてみると,視野が広がると思います。
試験問題を評価する,という感じで,「ここがいい」「ここがイマイチ」とツッコミを入れてみる,というのもいいですね。