情報処理技術者試験の難易度
※この記事は,2009年6月に書かれたものです。
最新のバージョンとしては,「情報処理技術者試験の難易度 2012年度版」で改めて書いていますので,こちらをご覧ください。
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わく☆すた,美月です。
最近,「情報処理技術者試験初めてなんですけど,いきなりネットワーク受けても大丈夫ですか?」「基本情報技術者試験飛ばして,応用情報技術者試験受けても大丈夫ですか?」「システムアーキテクトとネットワークスペシャリスト,どっちを受けようか迷ってます」など,どの試験区分を受けようか,という質問をよく受けます。
ですので,今日は,情報処理技術者試験の全区分の難易度を並べてみたいと思います。といっても,これはあくまで私の独断で,確実なものではないことを,先にお断りしておきます。
まず,社会的な認知度や,取った後の評価としては,企業の報奨金なども加味して考えると,以下のような感じだと思います。評価の高い順に並べてみます。
<最難関 すごく評価される>
ITストラテジスト(旧システムアナリスト),プロジェクトマネージャ,システム監査
<論文系の資格なので,それなりに評価される>
システムアーキテクト(旧アプリケーションエンジニア)
ITサービスマネージャ(旧テクニカルエンジニア(システム管理))
<スペシャリスト系で,取ると「すごい」と言われる>
情報セキュリティスペシャリスト(旧テクニカルエンジニア(情報セキュリティ))
ネットワークスペシャリスト(旧テクニカルエンジニア(ネットワーク))
データベーススペシャリスト(旧テクニカルエンジニア(データベース))
エンベデッドシステムスペシャリスト(旧テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム))
<これを取ると技術者として一人前という感じ>
応用情報技術者(旧ソフトウェア開発技術者)
<技術者としては最低限の資格>
基本情報技術者
<技術者にはあっても意味ない。一般向け>
ITパスポート
こんな感じです。
ITストラテジストとシステム監査は,会社での報奨金などが最高額になっているところが多いです。プロジェクトマネージャも,社員にとらせたい資格第1位なので,同等の評価のところが多いです。
システムアーキテクト,ITサービスマネージャは,論文系としては初歩資格だと思います。上3つと比べると若干評価が落ちます。ただ,「論文が書ける」というところに,ちょっとハードルがありますので,取ると評価されます。
論文の書きやすさ,難易度を考えると,上の3つよりは楽な試験ですし,最初の論文系としておすすめです。必要な勉強量は,スペシャリスト系よりはるかに少ないです。「論文が書けるかどうか」が合否を分けるので,論文の勉強はちゃんとする必要があります。
スペシャリスト系4つは,会社などでの評価自体はほぼ同等です。難易度には若干差があるような気はしますが,どれを難しく感じるかは人それぞれです。毛色の違う2つ(ネットワークとデータベースなど)を持っていると,幅広い知識を示すことができます。取りやすさという意味での難易度は,情報セキュリティは他3つより高いと私は感じています。
技術系を極めたい人は,このうちの3つ(ネットワーク,データベース,情報セキュリティ)を揃えるというのが,一番アピールしやすいと思います。1つ取れば,2つ目がすごく取りやすくなるのが,このスペシャリスト系資格です。
応用情報技術者は,上の高度試験に行く前に取っておいたほうがいい資格です。旧試験のソフトウェア開発技術者試験のときには結構難易度が高く,開発について知らないと解けなかったので,避けた方がいい場合もありましたが,今は違います。午後問題では,自分の行きたい方向性の問題が選べますし,ここで基礎知識をつけておいた方が,次に高度試験を受けるときに楽になります。特に午前は,ここでちゃんと勉強して受かっておくと,高度試験でも困らないと思います。
基本情報技術者は,IT系の技術者として生きていくのなら,必須だとは思います。これが取れない人は他の部門に配置転換,という企業も聞きますし,昇進の最低条件(これがないと新人の給料から上がらない)とうところもあります。プログラミングが得意な人は,いきなり応用情報技術者,というのもありだと思いますが,結構ハードルが高いので,順に基本情報技術者試験から受けていくのがおすすめです。
今までの試験をベースに難易度を見てみましたが,平成21年度からの制度改定で,ITストラテジスト,プロジェクトマネージャの2つは,ITスキル標準の想定レベルが,レベル5->レベル4に下がっています。他の高度資格は元々レベル4ですので,若干難易度は下がるかもしれません。春試験の問題を見る限り,それほど変わった気はしないのですが,このあたりの評価は,プロジェクトマネージャの合格率待ちです。
最後に,就職や転職,出世に使えるということで情報処理技術者試験を考えてみます。
学生のうちに基本情報技術者を取っていれば,就職はしやすいと思います。20代で応用情報技術者,30代前半ぐらいまででスペシャリスト系のうち1つ,それ以上だと論文系を取っていると,転職に有利にはなります。ただ,30代後半以降は,ある程度,実務経験と結びついていることが必要です。
出世という意味では,「これがあれば出世できる!」というプラスの使い方をされることは少ないのですが,「とらないと昇進できない」などの最低限の条件にすることが,大きな企業では多いです。そのため,技術者になるなら取っておいたほうが無難な資格です。
いずれにしても,自分の現在地,将来進みたい方向を考えて,受ける試験を考えてみてください。