株式会社わくわくスタディワールド

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ITストラテジスト合格体験記:瀬戸美月

論述式の試験の場合,一番大変なのは,最初の論述式の試験に合格することだと思います。
最初の受験時には,その試験区分に沿った内容の学習と,「論文の書き方」の練習の両方が必要だからです。
私(美月)の場合,最初のアプリケーションエンジニア(今のシステムアーキテクト)受験時には,一度不合格にもなっていますし,論述式の試験の対応の仕方がわからず,結構苦労して合格しました。
字数も,合格できるぎりぎりの字数で合格したように感じています。
そして,次の難関は,「自分の業務と離れた論述式の試験に合格すること」です。
これができないと,自分の業務に対応した試験区分に1つか2つ合格する,というだけで終わってしまいます。
もちろん本来の試験の目的(実務経験を評価)ということを考えればそれでいいのですが,あえて自分の業務と違うものに挑戦することで,視野も広がります。
何より,上司や取引先など,他の人の目線というのが身についてくるので,業務にもすごくプラスになると思います。
私自身,もともとやっていた仕事がシステムアーキテクトやネットワークスペシャリスト,情報セキュリティスペシャリストあたりの試験区分の内容なので,その他の試験区分のときには,実務から離れた勉強を行いました。
特に,システムアナリスト(今のITストラテジスト)受験時には,業務とはかけ離れた内容なので,その考え方を身につけるのに苦労しました。
システムアナリスト的な立場の上司や他の会社の人を観察したり,雑誌で事例を読んだりして,知識を補いましたが,それが定着するのには,何ヶ月か時間がかかりました。
その後,会社を設立して,自分でIT戦略も考えるようになって,やっと実務的にも腑に落ちた感じです。
ということで,合格体験記シリーズ,ITストラテジストのものが今はありませんし,私が去年合格しましたので,例として今回,体験記をまとめてみました。
少しでも参考になれば幸いです。
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【基本情報】
氏名:瀬戸 美月
年齢:40歳
ITストラテジスト受験:2回目
 (システムアナリスト時代も含めると3回目。1回目は合格)
点数:
 午前1 98.60点
 午前2 84.00点 
 午後1 66点 (問1,問4を選択)
 午後2 A (問1を選択)
【試験に向けて,勉強した内容】
前回ITストラテジスト受験時には,午前1での不合格でした。
原因は,試験番号のマークミスのようなので,今回は間違わないよう,細心の注意を払って
臨むようにしました。
また,前回受験時(平成21年)には,午前問題の傾向が事前につかめず,ストラテジ系の問題の嵐にかなり戸惑いましたので,午前2はしっかり力を入れて勉強することにしました。
具体的な勉強内容は,次のとおりです。
1.過去問演習
 システムアナリストの分も含め,過去問3年分の過去問を午後1まで学習しました。
 特に,午前2については,過去問の再出題が多そうだったので,平成21年,22年の問題を中心に,覚えるまでやりました。
 使用した教材:徹底解説ITストラテジスト本試験問題〈2011〉
2.経営戦略の内容の勉強
 中小企業診断士の勉強をはじめ,経営戦略や財務会計については,ひととおり勉強しました。
 診断士自体の合格はまだできていないので,今後の課題ですが,ITストラテジストの受験には,基本の勉強だけで十分だとも感じました。ただ,店舗運営なども結構出てくるので,運営管理も勉強しておくといいと思います。
 使用した教材:中小企業診断士 2011年度版 スピードテキスト 1 企業経営理論
          中小企業診断士 2011年度版 スピードテキスト 2 財務・会計
3.論文対策
 論文については,ネタの洗い出しは行いましたが,実際に書く時間は取れませんでした。
 ただ,試験直前に論文採点の仕事がいっぱいあったので,それがいい練習になっていたような気がします。
4.ITストラテジスト的な知識の勉強
 定期購読している「日経SYSTEMS」に加えて,「日経情報ストラテジー」を読みました。
 ITストラテジストの場合,参考書でこれはいい,というものがないと感じていましたので,試験対策書は,本試験問題集以外は特に使用していません。
【当日の試験の感想】
当日は,なるべく「ITストラテジストになり切る」ことを意識して行動しました。
なるべく経営寄りの考え方になるよう,いつもよりちょっとフォーマルな格好をして,自分なりには「女社長~」的な雰囲気を出すようにして受験しました。
(多分,外から見たらたいして変わらないとは思います。^^;)
各区分の感想は,以下の通りです。
1.午前1
 普段通りの問題でした。段々,午前1は難易度の変動がなくなってきているように感じます。
2.午前2
 見かけたことのある過去問が多く,正直「ラッキー!」とは思いました。
 実際,勉強した平成21年のST午前2問題から,8問も出題されていました。
3.午後1
 ディジタルカメラの新製品企画,という題材が面白そうだったので,組込系の問4に飛びつきました。
 実際,解いていて面白かったです。その後は,無難そうなアパレル系の問1を選びました。思いの他点数が低かったのですが,どうも興味がなかった問1がうまく読み切れていないようでした。
4.午後2
 問3を基本的に選択しようと思っていたのですが,問1がその時手がけていたボランティアでのグループ内情報共有をテーマに書けそうだったので選びました。半分ぐらいは実際にやったこと,その後は「こうなったらいいな」という理想的な内容を盛り込んで,論文を完成させました。
【今後の受験者に向けてのアドバイス】
論文は,会社で行った仕事で書かなければいけない,ということはないのです。
SEがボランティアなどを行うとたいがいIT化することに関わりますし,副業で開発を行う人もいると思います。私の知人の例では,同人ゲームを作るときに,プロジェクトをまとめるというのもあります。
午後1は,事前学習だけでなく,当日きちんと問題文を正確に読むことが大切です。
油断しているとすぐに点数が低くなってしまいますので,90分間,しっかり集中して問題を読むことが大切です。
また,今回,中小企業診断士の勉強を並行して行いましたが,これはすごく役立ちました。
ITに詳しいコンサルタント,というブランドなら,ITストラテジスト&中小企業診断士というのはかなり使えると思いますので,両方を目指すのもいいと思います。
最後に,ITストラテジスト試験は,結構難しい試験ではありますが,他の論述系の区分に受かって,経営について考え方をきちんと学べば,敷居はそれほど高くはないと思います。
一歩一歩,確実に進んでいきましょう。
以上です。