株式会社わくわくスタディワールド

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問題を作って解いてもらってみる

今ふり返って,とてもありがたかったな,と感じることに,「校正や問題作成の仕事に早くから関わることができた」ことがあります。
20代でまだ会社員だった頃に,某通信教育会社から「校正をやってみない?」と声をかけてもらったのがはじまりなので,かれこれ13年ぐらい,いろんな試験問題を作ったり校正したりしています。

もっと昔だと,大学生の頃に,別の某通信教育会社で,高校の物理の教材で,模擬試験問題を校正したり採点したり,ということもやってました。
その経験から考えると,「試験問題を作る」というのは,傍で見ているよりも大分大変な作業です。
試験問題というのは,単に問題としての形を整えるだけではダメで,例えば次のようなことを満たす必要があります。
1.その問題が,その試験で求められているスキルとちゃんと適合しているか。
2.問題文に必要な条件がちゃんと書いてあって,答えを一意に導くことができるようになっているか。
3.運と勘で解くのではなく,ちゃんと実力がある人が高得点で,できない人は点数が取れないかどうか。
情報処理技術者試験の本試験問題は,このあたりをかなり考えられて作られています。
そして,この条件を満たすために,問題は一人で作成するのではなく,チェックする人や解き合わせをする人などが必要です。
試験センターの情報処理技術者試験委員会のページによると,試験委員は現在426名もいらっしゃいますし,かなり丁寧に作り込まれているように感じています。
ちなみに,この条件を満たしていないと,本来その試験が求めていることとは関係ないスキルが必要だと勘違いしたり,試験問題に矛盾があって解けずに悩んでしまう,などの弊害が出ます。
時々,問題集に出ている予想問題などについて質問されることがあるのですが,だいたい予想問題についての悩みは,問題自体が矛盾していることが原因なことが多いです。
ですので,模擬試験問題の校正などでは,受験生が悩まないよう,矛盾なく答えを導けるよう,一生懸命手を加えていきます。
そして,この,「自分で問題を作ってみる」という経験や,「答えを一意に導けるよう,修正する」という経験は,実際に試験を受ける時には,すごく役に立ちます。
試験問題の意図や,「この人はどういうつもりで問題を作っているのか」が,よく見えるようになるからです。
たいていの問題には,答えがちゃんと一意になるように,問題文中にヒントを埋め込んでいます。
その試験で中心になって聞きたいことが見えるので,過去問を見ることで,試験の意図が読み取りやすくなります。
ですので,一度,「試験問題を作ってみる」という体験をすると,結構面白いんじゃないかな,と思ってます。
大変な作業ですが,できあがると達成感もあると思います。
そして多分,自分一人で作ると,ひとりよがりになってしまうので,必ず誰か別の人に解いてもらうことも大切です。
そこで,自分の思い込みや表現力の不足などを感じることで,すごく成長できるはずです。
特に論述系の試験の場合,午後2で論文で書くようなことが,午後1の試験問題になっています。
過去の問題と似たような午後1問題を自分で作ってみると,いろいろ勉強になると思います。
一から作らなくっても,過去の問題を改変してちょっとしたオリジナル問題を作ってみる,という手法でもいいと思います。
1つの試験に合格する,というだけならオーバースペックだとも思いますが,問題作成者の視点がわかると,いろんな試験がよく見えるので,高度区分全部取ろう,などと思っている人にはおすすめです。
いつもとは違う視点での学習を,意識して行っていきましょう。