8割を狙って勉強する

平成24年秋の情報処理技術者試験の得点分布を見て思ったのですが,試験を受ける人の半分以上は,ギリギリ受かる(60~69点)か,ギリギリ落ちる(50~59点)のどちらかです。
例えば,応用情報技術者試験の午前では,60~69点が24.8%,50~59点が29.1%になっており,全体の53.9%が合否スレスレです。午後でも,60~69点が27.8%,50~59点が26.2%と,全体の54%が合否ライン周辺となっています。
この傾向は,ほぼすべての試験区分で言えます。
特に,高度区分の午後では合否ラインに集中している傾向が強く,具体的には次の数字になります。
情報セキュリティスペシャリスト
午後1は,60~69点が27.2%,50~59点が25.0%
午後2は,60~69点が28.5%,50~59点が21.5%
ネットワークスペシャリスト
午後1は,60~69点が28.8%,50~59点が22.1%
午後2は,60~69点が27.8%,50~59点が28.0%
ITサービスマネージャ
午後1は,60~69点が28.1%,50~59点が22.9%
午後2は,ランクAが45.1%,ランクBが28.5%
システムアーキテクト
午後1は,60~69点が30.1%,50~59点が19.3%
午後2は,ランクAが35.7%,ランクBが30.5%
ITストラテジスト
午後1は,60~69点が33.8%,50~59点が24.6%
午後2は,ランクAが35.4%,ランクBが43.5%
こんな感じで,記述式(午後1とスペシャリスト午後2)では5割ぐらいの人が合否ライン上にいます。
論述式ではさらに多く,ランクAとBを合わせると,7割ぐらいになります。
この周辺にいる人は,合格しても不合格でも,それほど実力に差はないと思われますし,受かる,落ちるは運もあるのかな,と感じています。
ですので,確実に合格を手にするためには,このボリュームゾーンを超えて8割ぐらいを狙って勉強するのが大切だと考えています。
情報処理技術者試験に限らず,試験勉強では,「合格最低ライン」を狙う勉強は,実は効率が悪いです。
「ギリギリ合格できるかも」というレベルだと,1問の正解や不正解で心が大きく揺れ動きますし,精神的なプレッシャーも大きくなります。
また,今までの試験問題だとなんとか合格できそう,というぐらいだと,少しでも出題傾向が変わった場合には焦って対応できなくなってしまいます。
ちょっと多めに勉強して,「少しぐらい失敗しても確実に合格ラインは越えられそう」というぐらいにしておくと,少しぐらい想定外のことが起こっても焦りません。
そして,そんな心の余裕が,合格を確実なものとしてくれます。
でも逆に,「完璧に勉強して100点を取ろう」とするのも危険です。
100点を目標にすると,それが取れなかったときの精神的なダメージが大きいからです。
100点狙いは,1問でも解けない問題が出てきたときに焦りが出てしまいます。そのため,確実に合格できるレベルがありながらも,最後に力尽きてしまうことがあります。
「100点は,運が良かったときのごほうび」ぐらいに考えておくといいです。
ということで,現実的に「確実に合格したい」という場合には,8割ぐらいを狙って勉強するのがおすすめです。
8割の勉強というのは,「試験範囲となっているところはひととおり学習して,過去問に出てくる内容は確実に理解している」ぐらいの感じです。
得意なところのみに絞るわけではなく,苦手なところも全部ひととおり学習は行って,過去問演習で答案の書き方も大体頭や体に入っている,ぐらいが8割になります。
試験テクニックに走ると,当たり外れが大きいので,失敗した時のリスクが高く,かえって危険です。
あまりテクニックには走らないで,実力で8割ぐらい取れることを目指すとベストです。
8割できるようになると,当日調子が悪くても7割ぐらいはとれます。
午後問題で苦手な分野が1つぐらいあっても,他でカバーできるようになります。
論述系だと,得意な分野だと確実に合格論文が書けるぐらいになっておけば,当日苦手な分野ばかりが出題しても,なんとかギリギリ合格ぐらいの論文は書けるようになります。
そして,6割をとるための勉強と,8割をとるための勉強は,実はそれほど勉強量に差はありません。
あまり根拠はありませんが,私がやった感じでの8割をとるための勉強は,6割をとるための勉強の1.3倍ぐらいかと思います。
試験まであと2か月以上あります。
より確実に合格するために,時間に余裕があれば多めに勉強していきましょう。