株式会社わくわくスタディワールド

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「苦行」にならないレベルの勉強をする

小学校から高校にかけてずっと,私の数学の成績は,あまり良くありませんでした。
といっても,数学は得意な科目ではあったので,テストの点数は,だいたい95~100点でした。

成績が良くなかった理由は,「先生の話を聞いていない」「授業中に寝たり,別のことをしている」など,授業態度が良くなかったことです。
正直,数学の先生は教え方が下手な人が多かったですし,聞いていてもつまらないので,自分で勉強して別のことをしていました。

そうすると怒られて,「お前みたいな態度のやつは,今はできても,上の学校にいったら絶対通用しない」などと言われていました。
そんなことは別にありませんでしたが,中間・期末テストが100点でも成績は5段階評価で4だったりと,微妙に内申点に響く点数を付けられていました。

今教える立場になってみると,きちんと授業を聞いてくれる生徒の方が,先生としてうれしいというのはわかります。
ただ,勉強して力をつけるのは生徒なので,やり方は本人次第で,どうやってもいい,と考えています。


勉強は,本当に力になる勉強をするときには,やっていて楽しいものです。
頑張って行う「苦行」のような勉強を続けているときには,頑張った実感の割には,実力はついてなかったりします。

そして,勉強が楽しいのは,「ちょうど今の実力にあった勉強をしているとき」です。
適度にわかることとわからないことが混在して,勉強するたびに新しい「わかった!」という発見があって,今までできなかったことができていく。。。そんな状態が理想です。

これより難しすぎても,逆にやさしすぎても,勉強はつまらなくなってきます。
自分に合ってないレベルのことを無理にやり過ぎると,「苦行」になってしまい,だんだんやる気がなくなってきます。
そこで無理にやってしまうと,勉強が嫌いになってしまい,次に新しいことを学ぶ時の妨げになります。

RPG(ロールプレイングゲーム)に例えると,わかりやすいかと思います。

自分のレベルが低いのに,無理に強い敵と戦っていると,あっという間に倒されて終わりです。
何回かやっていると,ちょっとずつは経験値が積めてレベルが上がってくるので,そのうち倒せるかもしれませんが,苦痛で効率の悪いやり方だと思います。

逆に,自分のレベルが高いのに,弱い敵とばかり戦っていると,全然つまらないです。
簡単に倒せはしますが,経験値もあまりたまりませんし,やってて虚しくなってきます。
楽に倒せたら逆に面白くないのは,ゲームでも勉強でも,実は同じです。

一番いいのは,自分のレベルにあった,ちょうどいい敵が順番に出てくることです。
ゲームでは,これがゲームバランスを考えて最適化されて出てくるので,面白いんじゃないかと思っています。
適度に成功したり失敗したりしながら,徐々にレベルアップしていくところに,RPGの楽しさがあります。

勉強だって,自分のレベルにピッタリ合った内容をやり続ければ,ゲームと同じように面白いものです。
無理に苦行であることをやり続けるから,勉強がイヤになってしまうのです。


参考書の選び方で不思議なのは,勉強が苦手な人ほど,最初に「苦行のように難しい本」を選ぶ傾向があることです。
これは,学校教育で「勉強は苦行だ」と感じたことの弊害だと思いますが,別に自分で選ぶ時に,わざわざ苦行のような勉強をする必要はありません。

自分がわかるところに立ち返って,できるところから学習していけばOKです。
やさしめの本から始めて,しっかり理解できるようになってから次の勉強をする方が,実力をつける上では確実です。

勉強するにあたって,RPGみたいに,自分のレベルがわかればベストです。
そして,この「自分のレベルを知る」ために行うのが,「試験」「テスト」になります。
実際に試験を受けてみたり,自分で過去問を解いて採点したりして,今の実力を客観的に知ることで,今の自分に合ったレベルの勉強がわかるようになります。

具体的には,受ける試験の過去問を解こうとして,全然歯が立たないレベルなら,まず基本的な参考書や専門書などで,基本をしっかり身につけることが大切です。

過去問なら5割ぐらい解けそう,というレベルなら,過去問演習を中心に,わからないところを補っていく勉強が最適だと思います。

過去問では合格点は取れるんだけど,本番で少し足りないというレベルなら,難しめの参考書や専門書,予想問題などに手を付けて,知識の幅を広げるといいと思います。

自分のレベルにあった勉強というのは,とても大切です。
「今は過去問演習をやる時期だから~」と,最初からいきなり過去問演習を続けても,苦行になるのは目に見えてます。

個人的に,日本に勉強嫌いな人が多いのは,「自分のレベルに合わない画一的な勉強」を強制されて,苦行を行ってきたからかな,と感じています。
今の状況を冷静に見極めて,やっていて楽しいレベルの勉強をしていきましょう。