データベーススペシャリストという試験
本日,「データベーススペシャリスト対策+平成23-25年春過去問解説3回コース」の1回目を開催し,無事終了いたしました。
ご参加いただいた皆様,ありがとうございました。
無事撮影が終了いたしましたので,近日中にDVDを発売予定です。
また,2回目以降からの参加申込も受け付けております。
動画で1回目をフォローすることも可能ですので,よろしければご検討ください。
今日,気になることがあったので,セミナーの帰りに,本屋で自著「徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書 平成26年度」以外の参考書をひととおりチェックしてみました。
それで改めて感じたのは,データベーススペシャリストという試験は,「ついついテクニックや攻略法をいろいろ考えたくなる」試験なんだということです。
10年前と今とで出題パターンは変わっておらず,正規化とE-R図の出題頻度はダントツです。
そして,解答例の文言も結構決まっています。
ですので,「第2正規形でない理由を答えるなら,「候補キー{○,△}の一部{○}に非キー属性{□}が部分関数従属するから」と答えれば良い」のような,定番テクニックのようなものがいっぱい作れます。
参考書の中には,チャートのようなものを作って,「こう来ればこう答える」というパターンをまとめたものなどもありました。
人それぞれやり方は自由なので,こういうのを覚えて使うのも否定はしませんが,多分そんなことしなくっても十分受かります。
大事なのは,その候補キーがちゃんと識別できることや,どこに部分関数従属性があるか,というのがすぐにわかるようになることで,それさえできれば文章は拙くてもOKです。
最近は,部分関数従属性や推移的関数従属性は,文章ではなくって表の穴埋めになっていることが多いので,書き方を覚えること自体にもう意味はないかもしれません。
リレーショナルデータベースは,数学の理論がベースになっていますので,論理的に考えさえすれば,答えを一意に導けます。
ですので,データベーススペシャリストの試験問題は,よほどのことがない限り答えは1つに決まります。
理論を理解して,考え方が身につけば,あとは答えを導き出す速度だけの問題です。
データベーススペシャリスト試験の午後問題は,問題文が長いからか,「長文読解のテクニック」のようなものが載っている本が結構ありました。
午後問題の出題はパターン化されているので,これに頼りたい気もわからなくはないのですが,わざわざそこまでしなくてもいいと考えています。
実務でのドキュメントの読解など,他でも活かせることを考えると,素直に長文読解力自体を上げた方が一石二鳥ではあります。
実際,「論理エンジン」などで,現代文の勉強をし直して合格する方も多いですし,それだと長期的に,実務にも他の試験にも使えます。
論理エンジンの出口先生は,最近,一般向けに「日本語の練習問題」という本も出されているので,こちらを読んでみるのも面白いと思います。(試験に直接役には立たないとは思いますが,日本語に対する考え方は変わるかもしれません。)
それに,試験問題に特化した読解力,ということに限るなら,4~5年分ぐらい試験問題を読んでいれば,普通は慣れてきます。
過去問演習をしながら文章に慣れるのが王道です。
データベーススペシャリスト試験の文章は,長い割に素直で,情報セキュリティスペシャリストみたいな複雑な人間関係やひっかけは出てきませんので,慣れればかなり読みやすいです。
いずれにしても,この試験は,「データベース設計の考え方」という一点に集中して評価する,わかりやすい試験です。
ですので,わざわざ奇をてらった方法を探さなくても,王道的なことを理解できれば,確実に合格できます。
私自身,参考書を書いていて,必要な知識の少なさを改めて感じました。
応用情報技術者試験やネットワークスペシャリスト試験の本の時には,「要点をまとめて必要な情報を取捨選択」ということをしなければならず,かなり悩ましかったのです。
ですので,「徹底攻略 応用情報技術者教科書 平成26年度」では,応用情報技術者試験に実際に出てくる以上の内容は,全部カットしています。
全分野をひととおりカバーすることを最優先にしているため,応用的なコンピュータ理論や,発展的な内容には基本的に触れていません。
ネットワークスペシャリスト教科書も,基本を理解してもらうことを優先していますので,最新技術をいっぱい紹介,ということはできていません。
先日,「ネスぺ23 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説と合格のコツ」の粕淵先生と対談したときに,「本当に書きたいだけ本を書いたら今の何倍ぐらいの分量になる?」という質問をされましたが,ネットワークや応用情報だったら,10倍ぐらい書いても書き切れないように感じています。
特に,応用情報技術者に関しては,ホントは各分野ごとに1冊ずつ,丁寧に書いた本ができればベストです。
昔は,そういう本も結構出ていて,私自身も「新 読む講義シリーズ 8 システムの構成と方式」や「新版 アルゴリズムの基礎」なども書きましたが,こういう本はあまり売れないので,なかなか最近は出てこないですね。
「徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書 平成26年度」の場合は,「必要な知識」をひととおり1冊にまとめることができたと考えています。
もっと誌面があれば,過去問演習を増やしたり,解説を詳しくしたりすることはできるとは思いますが,「データベースの知識」という面では大分網羅できました。
テクニック等は載っていませんが,データベースを本質から理解して合格するためにお役立ていただければ幸いです。
と,自分語りが多くなってしまって申し訳ないのですが,データベーススペシャリストは,覚えることが少なく,考え方の理解が合否を左右する試験です。
下手に枝葉の知識を増やしてしまうと,その本質的な理解ができなくなる危険もあります。
そして,理解するのがすごく大変,というわけではなく,分かってしまえば当たり前となる,普遍的なものです。
一度しっかり向き合って勉強して,試験にも実務にも,役立てていきましょう。