株式会社わくわくスタディワールド

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経験すれば学べるわけではない

わく☆すた,美月です。
今日は,「経験すれば学べるわけではない」ということについてお話ししたいと思います。

私の大好きな本の1つに,「間違いだらけの学習論―なぜ勉強が身につかないか」という本があります。
これは,一般書ではなく教育心理学分野の専門書ですが,一般常識と違う,でも理論的にとても納得できる学習論について述べられている本です。実は先日の,「量をこなす方が最終的に早い」の記事も,この本の元ネタを使っています。

この本の中に,「経験しても学習しない」という項目があります。

例えば,月の満ち欠けは,みんな普段から見て,経験しています。でも,「月の通り道がどのようになっているか」について,自信を持って言える人は少ないと思います。ただ何度も月を見た経験は,必ずしも学習につながるとは限りません。
でも,「月の形や通り道がどのようになっているか」と関心を持って月を見たり,ライトとボールを使って実験をしてみたりすれば,変化の法則はそれほど見いだしにくいというほどのものではありません。本で調べて納得,というのも学習につながります。
経験=学習というわけでは,必ずしもないのです。

システム開発の分野でも,こういったことは数多く起こります。
開発メンバーとして加わっているだけだと,自分が関わっているプロジェクトの開発プロセスが何なのか分からない人も多いです。ただ,「会社がこうしろと言うから」でやってる人も多いと思います。
情報処理試験の勉強を始めてから,「自分が関わっている開発が,ウォーターフォールモデルだということを始めて知った」という人も多いです。

個人的に一番問題だなと思うのはデータベースの設計で,ホスト系出身の人が,「今までこうやってきたから」という経験を元にOracle用のテーブル設計をすると,全然正規化されていない,効率の悪いDBが出来上がります。それでもどうにか動くことは動くので,実務で使われてる例も多くあります。このあたりは,経験が一から学ぶことを邪魔している例だと思います。
ネットワークなんかも,経験だけを元に行き当たりばったりにやってると,とりあえずつながるけどセキュリティ的にやばいシステムが出来上がってしまいます。

ですので,経験だけに頼らず,きちんと知識を学ぶことが,とても大切になってくるのです。

IT関連のこと全般を,知識として学ぶことは,先人の知恵を学んで,スキルの高い技術者になるためです。
情報処理技術者試験は,ひととおり学ぶと,IT関連の全般の知識を,まんべんなく身につけることができる試験になっています。ITパスポート,または基本情報技術者試験から,段階を追って学んでいくことで,広い視野が身につけられます。

もちろん,知識だけ身につければいい,というものではありませんが,知識がある上で経験を積むと,一から経験するよりも効率的に,仕事内容をマスターすることが可能です。
将来に活かす意味でも,きちんと体系化立てた学習を,おすすめします。