四択問題の作り方
情報処理技術者試験など,試験問題を作る時,なにげに難しいのは「誤答」を考えることです。
記述式や論述式の問題は,基本的に正答を中心に考えて,他の答えが正解にならないようにすればいいのですが,選択問題の場合は,間違っている答えで,しかもまぎらわしい答えを考える必要があります。
情報処理技術者試験の午前問題は,基本的に全部四肢択一ですので,1つの問題に対して,正解1つと,誤答3つを考える必要があります。
このとき,誤答が明らかに誤答だとわかるようだと選択肢として意味がありませんし,なるべくまぎらわしいものを作る必要があります。といっても,ただ単に読んでわかりにくい,とかだと実力の判定ができませんので,「分かっている人には正解が導けるけど,分かっていないと正解できない」問題が最高です。
単なる実力テストなどだと,適当に問題を作って正答率を見る,というぐらいなのですが,情報処理技術者試験のような国家試験や,CCNAやMCPなどのそれなりにしっかりしたベンダ試験だと,テストを行ったあとに統計分析して,「問題の質」も判定します。
その結果,「できる人(全体の成績がいい人)の正答率が高く,できない人の正答率が低い」問題が「いい問題」だとみなされます。そして,その「いい問題」が,後の試験などで再出題されます。
ですので,試験を繰り返していると,どんどん問題の質が上がります。また,一度出題された問題は,ある程度,難易度からの正答率が予想できますので,だんだん難易度も平準化していくことになります。
また,4つの選択肢のうち,全然選ばれなかったり,勘違いで選ばれたりしやすい,いわゆる「紛らわしい選択肢」などは,問題のある選択肢として改変されます。
ですので,情報処理技術者試験の過去問の再出題を見ていると,ここ数年は,「まったく同じ問題」ではなく,「選択肢の1つが置き換わった問題」「選択肢の言い回しが少し変わった問題」というものが結構出題されています。
これは個人的な感想ですが,平成21年以降の,今の試験制度になってからは,午前問題の質が上がっているように感じています。多分,昔からそういった統計処理や分析は行っていたとは思いますが,その精度や改善のプロセスが,確立されてきたんだと思います。
難易度的にも,平成21年春期から難しくなって,その難易度が高くなったところで平準化されている感じですので,今後は大体同じぐらいの難易度になってくるんじゃないかと考えています。
そんな感じで,午前の選択問題は,実は結構考えられて作られています。
「わかってると答えられる」素直な問題が多いですので,過去問題を中心に,理解しながら勉強するのが王道です。
逆に言うと,「分かっている人はここが分かっている」というポイントを突いた問題が出題されてきますので,過去問を押さえることで,「その分野のポイント」というのもつかみやすくなります。
ただ用語を覚えるのではなく,過去問を活用しながら,効率的に勉強していきましょう。