株式会社わくわくスタディワールド

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データベーススペシャリスト試験の傾向変化

昨日,「家に帰ったら合格発表見よう」と思ってたのに,結局昨日は家までたどり着けず,今日やっと戻ってこれた美月です。
昨日は,南紀白浜行きに乗ったはずが,天候悪化で関西国際空港についてしまい,さらに電車も止まっていて,ちょっとした大冒険でした。
田舎に住んでると,いろいろイレギュラーなことがありますね。

というところで,春のデータベーススペシャリスト試験の合格発表,やっと見ました。
結果は以下のとおり,合格です。

改めて試験を受けて,「データベーススペシャリスト試験,やっぱり大分,試験傾向が変わっているなぁ」と感じました。
2年ほど前,「データベーススペシャリスト試験に今何が起こっているのか」でも書きましたが,少しずつ,正規化やデータベース理論寄りの内容から,DBMSやSQLなど実務寄りの内容が増えてきています。

正規化問題がなくなった!

そして,今年の試験の大きな変化なのですが,意外と気づいている人が少ないこととして,

正規化・候補キー・関数従属性に関する問題が一切なくなった!

ことが挙げられます。
今までの試験では,午後1問1では必ず,正規化や候補キー,部分関数従属性や推移的関数従属性の問題が出てきていました。
もっと昔,今問題を辿ってみると,平成24年以前では,正規化を考える問題が2問出てきていて,大きく合否に影響する分野でした。

出題されなくなったのは,正規化の重要性が他のスキルに比べて相対的に下がってきたのが,大きな原因だと考えられます。
データベースに関する実務では,正規化以外にも重要なことはいっぱいあります。
正規化をわざわざ別に問わないことで,いろいろ複合的なスキルを試している,という風に感じられます。

今年の午後1問1では,関係スキーマやその変更,概念データモデル(E-R図)について出題されています。
正規化は出題はされていませんが,きちんと正規化を行うことができないと,正しい関係スキーマを作成することはできません。
さらに,正規化したデータを,スーパータイブ/サブタイプに分割することが求められています。

別に,「正規化がいらなくなった」というわけではなく,正規化できるのは前提として,実際の関係スキーマを作れるようになることが求められています。
より,応用的なことが問われるようになって,単純なパターンやテクニックが通用しなくなっている,とも言えます。

SQLは避けて通れなくなった

今年の午後1では,問2と問3は,SQLが必要な問題でした。
この傾向は,今年に限った話ではなく,平成26年以降はだいたい,SQLが2問とも必要です。
午後1は3問中2問選択ですので,どちらかを必ず選択する必要があります。

昔は,「SQLができなくても受かる」と言われていたこともありましたが,今は無理です。
SQLの重要性が上がっていることは間違いありません。

近年,データサイエンスの重要性が増してきていて,技術者以外でもSQLを用いて分析することが増えてきました。
私自身,SQLはシステム開発以外でも,色々なところで使用しています。
これからのデータベースエンジニアは,最低限,SQLが読めて書けることは必須です。

そして,もう1つ,今回私が試してみて,改めて実感したことは,次のことです。

DBMS寄りのスキル(物理設計中心)でも合格できる

今回,私が挑戦してみたのは,


  • 午後1ではDBMS中心で問2,問3を選択して,定番の問1(概念設計)を避ける

  • 午後2では物理設計の問1を選択して,定番の問2(概念設計)を避ける


という縛りプレイでした。
上述のとおり,どっちも8割は超えられたので,まあうまくいったのかな,とは感じています。

実際に受けてみて,ホントに物理的な,実際のデータエンジニアが行うようなスキルだけで,合格できるようになったんだということが分かりました。

これは何を言っているのかというと,データベースに関する試験には,


  1. 概念設計(論理設計)は国家試験のデータベーススペシャリスト

  2. 物理設計はそれぞれのDBMSに特化した,ベンダ資格(オラクルマスターなど)

という風に,大きく傾向が分かれていました。
データベーススペシャリストは,E-R図を設計して,机上でいろいろ考える人で,実際に実装するのはまた別のことでした。
「データベーススペシャリストなのにオラクル使えないの?」「いや,あれはDBMS使う人の試験じゃないから」みたいな会話が成り立つぐらいでした。
以前は,午後2では問1も問2も概念設計が聞かれていました。

しかし,平成26年から,5年連続して,午後2の問1では,物理設計が出題されています。
物理設計では,実際のデータのサイズや制約,ストレージの容量,速度などを考えていきます。
これはなかなか机上では学びづらく,実際にDBMSに触れている人が有利です。

そして,最近のデータベーススペシャリスト試験では,午後1で問2,問3,午後2で問1を選択すると,概念設計を避けても合格することができます。
つまりどういうことなのかというと,実装寄りの人が合格しやすくなった,ということです。

オラクルマスターやOSS-DB技術者認定試験などと近くなった,とも言えます。

また,去年だと情報セキュリティ,今年だとクラウドサービスの選定など,他の技術との組合せでの問題も増えてきています。
「これさえできれば大丈夫」ということはなく,データベース以外も含め,新しい技術を全体的にキャッチアップしていくことも大切です。

という風に,同じように見える試験でも,時代の流れによって,少しずつ変わってきています。
今までの思い込みをうのみにせず,今を見据えていきましょう。


予告:
次回,余裕があれば,「初回からどんどん変わって,別物の試験になっている情報セキュリティマネジメント試験」について書きたいと考えています。