問題を解きながら覚える
私が記憶をするときに気をつけていることに,「なるべく他のものと結びつけて覚える」ということがあります。
例えば,英語を覚えるとき,単語だけ覚える,というやり方だと,忘れやすいですしいざというときに使えません。
ですので,私は負荷がかかっても,「英文を全文暗記」するようにしています。その方が,とっさの場面で出てきやすいですし,英作文などでも応用がききやすいのです。
コンピュータ用語の勉強にも,同じことが言えます。
単に,用語を暗記,という形で用語とその意味だけ覚えていても,使えるところは限られてきます。
実際の試験問題で,意味の紛らわしい選択肢が出てきた時に,ひっかかって解けなくなってしまう,という危険があります。
そのため,私は,勉強のときには,単に用語を覚えるだけでなく,「その用語がどのように出題されるか」ということも押さえるようにしています。具体的には,試験問題を解いてみて,その用語がどのように出題されるのかを知るのです。
特に,応用情報技術者試験の午前で出てくる4択問題は,その「4択であること」が,勉強を効率化させてくれます。
ある用語が,「こういう風に出題されるんだ」ということと,他の3つの選択肢から,「似たような用語にこういうのがあるんだ」ということが学習できるのです。
ITパスポートあたりだと,全然違う分野の用語が選択肢に混ざっていたりするのですが,応用情報技術者試験では,そういうことはめったにありません。ですので,1つの問題で,4つのことを同時に学習できますし,関連づけて理解出来るので,覚えやすいのです。
例えば,応用情報技術者午前平成22年秋午前問10は,「スーパースカラの説明はどれか」という問題です。
解答は,ウの「複数のパイプラインを用い,同時に複数の命令を実行可能にすることによって,高速化を図る方式である」というものです。
この問によって,スーパースカラの用語の意味と,「こういう風に出題されるんだ」ということがわかります。
さらに,他の選択肢,例えばアはベクトルプロセッサ,イはスーパーパイプライン,エはVLIW(Very Long Instruction Word)の説明になりますので,これら3つの用語についても学習できます。
また,これらの4つの用語は,一緒に出てきて対比させることが多いんだな,ということも理解できます。
このように,単に用語を暗記するだけでなく,問題を解きながら用語を理解することによって,より確実に知識を身につけることができます。そのため,私の著書「徹底攻略 応用情報技術者教科書」では,知識の説明の中に,多くの問題を取り込んでいます。
午後問題だと特に,一連の流れで知識を学習することができるので,必要に応じて,午後問題も使用しています。
応用情報技術者試験の午後問題はかなりよくできている教育的問題が多いので,問題を解くこと自体が勉強になるのです。
情報処理技術者試験は,単に,「いかに情報処理用語を知っているか」という試験ではありません。
実際に使える知識のベースを身につけるための試験です。
ですので,問題を解きながら知識を覚えて,どういった場面でその知識を使うのかを知ることはとても大切です。
試験まであと2ヶ月を切りました。
今の時期からは,どの試験区分でも,問題演習の量が合否に大きく影響してきます。
実際に本試験に出てきた問題を解きながら,レベルアップしていきましょう。