株式会社わくわくスタディワールド

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開発者に近い試験と遠い試験

IT関連の技術者を分類したときに,一番数が多いのは多分,システム開発を行う開発者,いわゆるシステムエンジニアだと思います。
IPAが発表している「IT人材白書2012(PDF)」によると,IT供給側の企業では,その32.2%がアプリケーションスペシャリストで10.2%がソフトウェアディベロップメント,つまり4割ぐらいがシステム開発を行うスペシャリストになります。
情報処理技術者試験は,いろいろなIT関連の職種向けに作られています。
ですので,試験区分によっては,業務に関係あったりなかったり,いろいろすると思います。
ただ,何となくのイメージで受けていると,実務やキャリアパスとあんまり関係ない試験を受けていたり,逆に関係のある試験区分を無視したりしがちです。

先日のスタートアップセミナーで,開発者の方のキャリアパスについてお話ししました。
すると,受講生で開発を行われている方から,「次はなんとなくネットワークスペシャリストかな,と思っていたけど,キャリアパスを考えるとシステムアーキテクトを受けようと思います」と言われました。
こんな感じで,キャリアパスをイメージして受験区分を考えていただけるといいと思います。
私自身もシステム開発をメインで行ってきたのですが,そのシステム開発の知識が活かせたり業務に直結する試験区分とそうでない区分があるな,と感じています。
開発者に意外と遠い試験としては,まずネットワークスペシャリスト試験が挙げられます。
昔はネットワーク関連のシステム開発も出てきていたのですが,最近の内容は,「インフラエンジニアのための試験」という感じで,あまりソフトウェア関連のことは関係ありません。
インフラ系を極めるというときや,ネットワークもしっかり理解しておきたい,というときにはいいですが,ネットワーク関連の開発を行うイメージで試験を受けると,全然違いますので,注意が必要です。
逆に,意外と開発者に近い,というか開発者が受けることを想定している試験が,データベーススペシャリスト試験です。
データベースもインフラ周りの1つではあると思いますが,そういったDBMSがらみのことは,試験内容にはほとんど含まれていません。
実際のデータをみて,概念データモデルに落とし込んで,システム開発でデータを使用するという,システム開発の王道といってもいい内容がメインの試験です。
データベーススペシャリスト試験を受けると,システム開発を行う時のデータの扱い方がしっかり理解できる,と言う意味で,開発者におすすめの資格です。
その他,情報セキュリティスペシャリストは,開発がわかっているかどうかが,結構勉強するときに影響してきます。
セキュアプログラミングはもちろんのこと,システム開発関連のセキュリティ問題は数多く出てきますし,開発をまったく知らないと理解するのが厳しい,という内容も多いです。
セキュリティもきちんと考えたレベルの高いシステム開発を行うためにも,情報セキュリティスペシャリスト試験の内容は,知っておいて損はないと思います。
論述系の試験では,システムアーキテクトとプロジェクトマネージャは,システム開発を行う人には身近なテーマが多いと思います。
逆に,ITサービスマネージャなどは,運用管理者がメインの対象ですので,ちょっと考え方が変わってきます。
また,ITストラテジストも,開発者とは全然違う,経営寄りの視点が大切ですので,システム開発がメインの方だとかなり離れている内容です。
ただ,キャリアパスとしてステップアップ,という意味でなら,システムエンジニア->ITコンサルタントというのは,王道のキャリアパスでもあると思いますので,受ける意味は大きいと思います。
何の試験を受けるかはもちろん本人の自由ですし,全然関係ない試験を受けてみるのも楽しいと思います。
ただ,キャリアパス,自分の方向性なども意識して試験を選ぶと,より楽しくスムーズにキャリアを積み重ねていけます。
なりたい自分をイメージしながら,次に受ける試験,次に知りたいスキルについてしっかり考えていきましょう。