株式会社わくわくスタディワールド

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採点講評から見る記述のポイント

わく☆すた,美月です。
今日,試験センターから,平成21年春期試験の採点講評が発表されました。自分の受験したデータベーススペシャリストを見ると,午後1で,自分の選択した問1,問3は「正答率が高かった」で,選択しなかった問2は,「正答率が低かった」と書かれていたので,有利な問題を選んだんだなぁ,と改めて感じました。午後2は,丁寧に,「ER図のここが書かれていない答案が多かった」リストが載せられていて,なるほどなぁ,ととても参考になりました。やっぱり,スーパータイプ,サブタイプの認識は大切そうです。
自分の受けた試験の採点講評は,今後の参考になりますので,見てみるのはとてもおすすめです。


今日は,採点講評からみた,記述のポイントをお話したいと思います。今回の採点好評を見る限り,記述では,以下の3点のポイントが大切です。


  1. 問題文をちゃんと読むこと

  2. その試験区分の対象者の視点に立つこと

  3. 正確な知識を持っていることをわかるように書くこと

まず,採点講評を見ていると,採点の方の「もっと問題をちゃんと読んでよぉ」という心の叫びが伝わってきます。これは,私も模擬試験の採点などをよくするので,すごく共感できます。


例えば,応用情報技術者試験の問1の経営戦略では,
「設問1の(2)は,問題文中の”B社の企業体力を考慮して”という記述から,B社の経営資源全体の解答を求めていたが,個々の経営資源や競合他社との比較について記述した解答が目立った。」
「設問4は,問題文中に記述されていない事柄を推測した解答が散見された。この設問では,B社の店舗コンセプトが”豊かな食の提供”であることに留意すれば,正答を導けるはずである。」
と,「問題文中に書いてあるのに~」という感じです。


応用情報技術者試験のストラテジ系,マネジメント系は特に,問題文をきちんと読めば答えられる,逆に言うときちんと読まないと答えられない問題が多いので,このあたりが合否に大きく影響してくるんだな,と感じました。


問題文をちゃんと読む,という観点から面白いのは,プロジェクトマネージャの午後2。
今回から,午後2の論文の記述方法が若干変わったのですが,これに従わない人も結構いたようです。
「答案用紙の解答欄が設問ごとに指定されていたが,これに従わずに,設問イの論述に続けて設問ウの解答を論述したり,解答字数の指定を守らなかったりした論述も見られた。問題冊子の注意事項,設問の要求事項をよく理解して解答してほしい」
と,しっかり書かれていました。
以前からの思い込みで答案を作成すると,とんでもない間違いをするという一例です。今年から,午後1が2問選択になったり,細かいところでいろいろ変わっていますので,ちゃんと問題冊子の注意事項などの説明は読むようにしましょう。


次に,その試験区分に合わせた,「視点」というのもポイントになります。
特にプロジェクトマネージャ,システム監査などの論述試験に関しては,試験対策講座では必ず言われる「視点」の大切さについての記述が多いです。前述のプロジェクトマネージャの午後2では,
「問2,3においては,設問イ,ウでは開発者の視点からの論述が見られた。求められているのは,プロジェクトに関するプロジェクトマネージャの視点からの論述であることをしっかり認識してほしい。」
と書かれています。
プロジェクトマネージャ,システム監査の午後2の採点講評は,これ以外にも,「こんな風に書いてはいけない」という悪い具体例のオンパレードですので,一度読んでみると,とっても参考になります。


最後に,ちゃんと「正確な知識を持っていること」が分かるように書く,というのも大事なポイントです。
例えば,情報セキュリティスペシャリスト午後1問2には,こんな記述があります。
「設問2は,正答率が低かった。特に(2)は正答率が著しく低く,その中でも,”クエリストリングは暗号化されない”という誤った解答が目立った。」
クエリストリングは,HTTPヘッダに含まれる情報ですので,SSLを使えば暗号化はされます。ただ,クエリストリングはURLの一部なので,復号した後に


  • Webサーバのアクセスログ (リンク先のRefererなども含む)

  • ファイアウォールログ

  • プロキシサーバのキャッシュやログ

  • ブラウザのキャッシュや履歴

などに残ってしまうので漏れやすいのです。このあたりを踏まえて,「Webサーバのアクセスログにクエリストリングが記録されるので,ログから入力データが読み取られるおそれがある。」という風に書くと正解になります。


知識を「なんとなく」理解していると,こういった類の記述がとても甘くなります。スペシャリスト系の試験は,ポイントになるところは深くつっこんで出題され,これが結構合否を分けます。ですので,きちんと理解しながら,正確に学習しておき,問われた時にその知識が前面に出るように記述しましょう。


記述って,なんとなく書けてる気がしてしまいがちですが,実は採点官に伝わらない書き方をしていることが多いです。午後1でも午後2でも,「ちゃんと伝わるか」「問題文の見落としがないか」など,いろいろチェックしながら答案練習をしてみましょう。