株式会社わくわくスタディワールド

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「P部長」最強伝説

わく☆すた,美月です。
今日は知る人ぞ知る最強の部長,「P部長」のお話です。


昔,2ちゃんねるの掲示板には,「P部長ですが,何か?」というスレが立ち,一大センセーションを巻き起こしたH社のP部長,伝説の人物です。最近のマンガだと,「ひまわりっ-健一レジェンド-」の父健一のごとく,周りの空気を読まない,超マイペースのKY部長です。


。。。という話をすると,最近は,「P部長って何ですか?」と聞かれることが多くなりました。そうですね,P部長が登場したのは平成14年,気がつけばもう7年も経ってるんですね。。。
ということで,今日は,「P部長」とは何か,についてお話ししたいと思います。


P部長は,情報セキュリティアドミニストレータ平成14年秋期午後1問4に出てくる,中堅の製造業者H社の部長です。本社は東京で,全国主要都市に営業所があります。
H社は,先端技術を使用しているのでセキュリティ確保を最優先にして,社外から社内のサーバへのアクセスを原則禁止にしています。でも,役員会で,「営業活動の更なる効率化」が議題に上がり,リモートアクセスを解禁することが決まりました。


そこで,情報システム部のG部長と,入社6年目のR主任は,情報セキュリティポリシを見直したり,ネットワーク構成を考えたりして,リモートアクセスに踏み切ります。
その後,新システムが稼働し,営業部のN担当が,ノート型パソコンを紛失した,という事件が起きました。その後のできごとです。

~前略~
 その後,しばらくは平穏な日々が続いたが,ある日の朝一番に営業部のP部長から電話が入った。
P部長:営業部長のPだが,携帯電話から社内ネットワークにつなぐときのパス

    ワードを忘れた。何とかしてくれ。
R主任:P部長とおっしゃいましたね。念のため内線電話番号と電子メールアド

    レスを教えて頂けますか。電子メールで新しいパスワードをお送りしま

    すので,それを使ってください。
  (R主任は,電話で応対しながらP部長のアドレス情報を検索し,内線番号
   と電子メールアドレスが一応正しいことを確認した。)
P部長:今,ホテルからなんだ。電子メールが読めないので,今ここでパスワー

    ドを教えてくれないか。
R主任:申し訳ありません。それはできかねます。
P部長:肝心なときに役に立たんな。今朝,重要顧客のL社の専務から電話が

    あり,電子メールを送ったので至急見てほしいと連絡があったんだ。
    何とかならんか。
R主任:L社ですか。分かりました。それでは,”kysk74pt”を使ってください。
P部長:分かった。ありがとう。



R主任は,P部長の勢いにのまれて,思わずパスワードを教えてしまいます。この,パスワードを無理に聞こうとして譲らない強引さ,「肝心なときに役に立たんな」という担当者への逆ギレ,かなり強力なやり手です。で,思わず教えてしまったR主任に対して,設問ではこう問われています。

設問3 本文中の下線のR主任の行動は,情報セキュリティ対策上問題が
  ある。それは何か。25字以内で述べよ。また,どのように行動すべき
  だったかを,40字以内で述べよ。

。。。これは,R主任にとって踏んだり蹴ったりの,答えづらい問題です。
問題点としては,R主任はP部長を直接知らないのに,本人確認をちゃんとせずに,勢いに飲まれてパスワードを教えてしまったことだとは思います。この例のような犯罪としては,「ソーシャルエンジニアリング」があり,P部長がニセ者である可能性が考えられますので,ちゃんと本人確認をすることは必須です。


ですが,その後の行動は,いろいろ考えられます。
この問題が出た時点では,解答例は公表されていませんので推測ですが,結構いろんな解答が正解なんじゃないかな,と思います。


答えとしては,

「P部長の押しに負けず,パスワードは教えない」

だと,業務が滞ってしまいますので,最初の方の目的「営業活動の効率化」から考えて,問題はあるんじゃないかと思います。ですので,本人確認をちゃんとしてから,パスワードが伝わるようにすればOKです。


一般的な解答例では,

「いったん電話を切り,所定の手続に従ってP部長に連絡するように言う」
「いったん電話を切り,連絡先を確認して再度連絡し直す」

などとなるのかな,と思います。
個人的には,

「社内にいるP部長の部下に連絡して,状況を確認してもらう」

など,P部長を直接知っていて,身元が確認できる人に間に入ってもらうのが確実かな,と考えています。


実際の業務でセキュリティに関わってると,P部長みたいな人はごろごろいるので,思わず「あるある!」と叫んでしまいたくなるような事例です。大体,セキュリティ関連では,部長とか取締役とかの地位のある人が,無理なことをごり押ししてきますし。^^;


こういう実際によくある「あるある事例」を,試験問題として完成させた試験センターの人は,やっぱりすごいなぁ,と感心します。マネジメント系の問題は,こんな風に,人間が面白いものが多いです。セキュアドは,トンデモ人間の宝庫ですね。