株式会社わくわくスタディワールド

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ネットワークトラブル ~解答解説編~

わく☆すた,けんけんです。
今日は,昨日の記事,「ネットワークトラブル ~問題編~」の続きになります。昨日は,調子に乗って書いていたら,長くなったので,分割しました。では,解答解説いってみます。今回は,ITECさんの,本試験問題集の解説風に書いてみます。
【解答】
設問1 (1) a:データリンク
    (2) b:ping  c:SONY
設問2 ジャンボフレームの設定をしてしまったため。(21字)
設問3 減価償却をすぎた機器を,不具合が発生しても使い続けたこと。(29字)
【解説】
この問題は,ネットワーク構成を変更した時に発生したトラブルを題材にしている。企業のネットワーク運用としては,突っ込みどころ満載の運用をしているが,小規模の拠点であれば,実際はこのような場合がよくある。(ネットワーク管理者の皆様,ごくろうさまです。) 問題文のチェックポイントとしては,「不具合が発生している機器を使い続けている」こと。そして,「ネットワーク構成を変更している」こと。などの2点が問題文を読んでいて,ひっかかていれば,設問に答えることは容易であろう。設問2は実際に発生した事例を解答としているので,別解がいくつか考えられるかもしれない。
[設問1]
(1)(2)
問題文に,「Webへの接続ができることから」との記載があるので,(1)だけの文章を読むと,アプリケーション層での通信ができているので,物理層~アプリケーション層のどれでもが入ってしまう。しかし,以下の文章を読むと,「( b )コマンドを発行し,NASからの応答があるか確認した。」と続いている。コマンドで応答をチェックできるのは,「pingコマンド」であるので,空欄bには,「ping」が入る。
すると,2.でチェックしているのは,ネットワーク層であることがわかる。ネットワーク層の通信を確認するためには,その下の階層,「データリンク層」の接続ができていることが前提となる。よって,空欄aは「データリンク」となる。
空欄cについては,K君がVAIOを使っていることから,「SONY」があてはまる。詳細は,wikiに解説が詳しい。
[設問2]
GIGABITのLANポートでは接続できず,PC本体の100MのLANポート経由だと接続できること。そして,そして,100Mスイッチが途中に存在する点。がポイントになる。また,設問に,「転送効率の観点から」と指定があるので,この切り口から解答を導く必要がある。
LANポートの設定は,Windowsパソコンであれば,デバイスマネージャーから,ネットワークアダプタのプロパティを開き,詳細設定タブから設定内容を見ることができる。(Vistaの例。)
この設定内容から,「転送効率」に関連するものを抜き出してみると,「バッファ」,「フロー制御」,「リンク速度とデュプレックス」,「ジャンボパケット」などがあげられる。
この中で,GIGABITのLANポートと100MのLANポートで違いがあるものは,「リンク速度とデュプレックス」,「ジャンボパケット」になる。「バッファ」,「フロー制御」は,GIGA,100M双方で共通である。
「リンク速度とデュプレックス」について考えると,転送効率と言うより接続時の効率を上げる仕組みとして,ポートの速度を固定する方法がとられる。通常の場合,オートネゴシエーション機能により,リンクの開始時に速度をいくつで通信するか,半二重か全二重かを自動的に設定する。機器により,この設定に時間がかかり,通信の開始が遅れる場合があるので,ポートの設定を「1000M全二重・固定」などと通信方法を決め打ちすることができる。安価なスイッチは,オートネゴシエーション機能のみしか備わっていないことが多いが,インテリジェント・スイッチ以上の機器であれば,通常,ポートごとに設定を行うことができる。
ただし,「リンク速度とデュプレックス」の設定は,リンク接続開始時の効率は上げることはできても,「転送効率」自体をあげることはできない。
次に,「ジャンボパケット」について考えてみる。これは,「ジャンボフレーム」とも言われる。この「ジャンボパケット」が転送効率を上げる手法であり,通常のEthernetのMTUは1.5kであり,この1.5kに,MACアドレス,FCSなどのヘッダやトレーラ情報が付加されるので,超高速の通信を行う場合,ボトルネックになりかねない。そこで考え出されたのが,「ジャンボフレーム」で,1.5kのMTUを,4k,または9kに拡張し転送効率を上げている。ただし,通信する機器でジャンボフレームの設定を行わないと,ジャンボフレームを使用した通信はできない。そして,通信経路の途中の機器も,ジャンボフレームに対応している必要がある。
今回の障害の原因は,この「ジャンボフレーム」の設定を行っていたことであり,途中の100Mスイッチが古いので,ジャンボフレームに対応していなかったことが原因である。しかし,問題文にはふれていないが,2台目のNASもジャンボフレームの設定を行っており,ジャンボフレームで通信を行っているのであれば,2代目のNASも通信ができなくならないと,理屈にあわない。以下は予測ではあるが,考えられることは,1パケットが,1.5kを超えなかった。または,自動的にフレーム長を調整して通信を行ったか。などがあげられる。2代目のNASが通信できた原因を追及するには,パケット解析を行うことになるが,取り急ぎ,GIGABITのLANポートのジャンボフレームの設定を1.5kに戻したら正常に通信できたので,これを解答例とした。
Web画面が見えていたのは,ブロードバンドルータはジャンボフレームに対応しておらず,リンク時にPC側がフレーム長を調整したことが考えられる。
[設問3]
今回発生した全ての原因は,不具合が起きている機器をそのまま使い続けたことである。正常に無線LANで通信できていれば,わざわざ有線LANで通信する必要もあらず,また,LANポートも不足することもないので,古い100Mのスイッチが出てくることもなかった。よって,解答としては,「減価償却をすぎた機器を,不具合が発生しても使い続けたこと。」のようなニュアンスで答えればよい。
とは言っても,とりあえずまだ使える場合は,実際のところ使い続けることが多い。基幹のネットワークであっても,リース期間を過ぎたら再リースを行い,予算がつくまで使う事例もある。「ブロードバンドルータくらい,買い換えろよ」と言った声が聞こえてきそうではあるが,ネットワークトラブルの事例を提供したことで,ご勘弁願いたい。
以上です。(長かった~。)