アドレナリンジャンキー
わく☆すた,美月です。
今日は,DFDを作ったトム・デマルコ氏達の新刊,「アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターン」の紹介です。
プロジェクトマネジメントに関する,「あるあるネタ」って感じの本です。
開発プロジェクトをいろいろ見てると,「確かにそう言う組織,あるある!」って感じのネタが満載です。中級者~上級者向けですので,プロジェクトマネージャ受験者ぐらいのレベルの人におすすめです。
といっても,1話2~3ページぐらいのショートストーリーのかたまりですので,結構気楽に読めると思います。試験に使える部分としては,プロジェクトマネージャの論文での,「いかにもあるある」ネタとして使う感じだと思います。
表題にもなってる,「アドレナリンジャンキー」は,アドレナリン中毒になってる組織のことで,とにかく猛烈に忙しく,死にものぐるいで急ぐことが美徳とされる企業文化です。
「どうしても今週中に要求仕様書を修正しなくちゃならないんです。」っていう感じで,緊急の用事がつぎつぎ出てきて,それをこなすことに一生懸命,そんな感じです。こういう組織は,考えずに反応するので,長期的にはたいていうまくいきません。
私も会社に入社してすぐぐらいに,アドレナリンジャンキーに配属された経験ありますが,こういうところにいると,むやみやたらと勤務時間が長くなって,すごく疲れます。「頑張ってる態度を示す」ために,休日出勤が全員に強要されたりして,ムダに残業代などのコストがかかります。
こういう組織ができるときには,必ずその「ボトルネックとなる人間」がいて,その人が設計をすべて決めたり,アーキテクチャをすべて決定するヒーローになります。「自分はできるんだ」となぜか勘違いして,ひとりで重要な仕事をため込み,ぎりぎりになってから他の人に指示を出すので,組織はかなり混乱します。
実際には,その組織は,「仕事ができないから遅れてる」のに,切迫した事態に対応するため,「自分たちは追い込まれてもうまくやる,見事な機動力がある」組織と勘違いしていたりします。
本によると,こういうのの解決方法は,アドレナリンジャンキーを一掃して,「いつも緊急事態では組織は最大限の成果をあげられない」ということを理解しているマネージャーを後任に据えるしかないそうです。
確かに,プロジェクトマネージャが代わると,死にそうなプロジェクトが一気に雰囲気が変わって進み出したりすることもあるので,この解決策はとても有効なんだと思います。
そんなこんなで,ソフトウェア開発の現場で起きてることを,パターン化してうまくまとめているのが,この本です。直接試験に役立つ,という感じではあまりないですが,人間系のITスキルを上げる,という意味でおすすめです。