訓練,練習が必要なこと -情報処理技術者試験編-
わく☆すた,美月です。
情報処理技術者試験の試験対策を行っていると,「知識がある」ということと「理解している」ということは違うんだな,としみじみ感じます。そして,「理解している」ことと「実際にできる」こともまた違うんだな,ということもすごく感じます。
試験勉強では,ただ「知識を身につける」だけでもいいこともあります。暗記でも対応できる部分ですが,そういうのは,高度区分に行けば行くほど,少なくなっていきます。例えば,アンチエイリアシングとかメタボールとかのCG用語は,情報処理技術者試験対策では,知っておけばいい範囲だと思います。
それだけではなく,理解しておかなければ解けないことはいっぱいあります。基本的に,情報処理技術者試験の勉強では,これが多いです。例えば,暗号化の仕組みなどは,ちゃんと理解しておかないと問題は解けないです。仕組みなどは,流れを追ってちゃんと理解しておく必要があるのです。
そして,最後に「知識があって,理解している」だけでも解けない部分があります。
単に理解しているだけでなく,それを「身につけて使いこなせる」必要があるものです。使いこなせるように身につけるのには時間がかかりますが,ちゃんと身につけられれば,試験合格の可能性は飛躍的に上がります。
合否の鍵は,この身につける部分が握っています。
使いこなせるようになるまでに時間がかかって,単に理解するだけではダメなものには,以下のようなものがあります。とりあえず,春に試験がある区分についてまとめてみました。
1.応用情報技術者試験のアルゴリズム
応用情報技術者試験のアルゴリズム問題は,単にいろんなアルゴリズムを知っているかどうかではなく,プログラミング能力を問うものです。ですので,プログラミングが出来る能力を身につける必要があります。これは,実際にプログラミングしたり,アルゴリズム問題を演習したりして,繰り返し学習する必要があるものです。単に文法が分かっているとか,やり方が分かっているというだけでは,問題にはあまり対応できません。
2.データベーススペシャリスト,応用情報技術者試験のデータベース
正規化,ER図,SQLは,単に理解しているだけでは問題は解けません。ちゃんと理解したことを前提に,実際に演習や実務を積むことによって,初めて身につく能力です。特に,データベーススペシャリストレベルのデータベース設計では,正規化のやり方やER図の書き方を理解しているだけではダメで,きちんと設計できるように演習する必要があります。ER図などは,分かっていてもついつい矢印が逆になったり,リレーションを見落としたりしがちなものです。
3.情報セキュリティスペシャリスト試験の,セキュリティマネジメントの考え方
セキュリティマネジメントの考え方は,一朝一夕には身につきません。言葉で,「物理的セキュリティ,技術的セキュリティ,人的セキュリティ」など覚えて,それぞれの意味を理解しても,考え方にはつながりません。大局的に見て穴がないようにする,セキュリティマネジメントの実践的な考え方を身につけないと,木を見て森を見ないことになってしまいます。これを身につけるのには,実務をこなしたり,問題演習を繰り返したりして,考え方自体を自分の身に落とし込む必要があります。
4.プロジェクトマネージャ試験の,プロジェクトマネジメントの考え方
これも,一朝一夕には身につかない,プロジェクトのリーダー,プロジェクトマネージャとしての考え方です。実務でちゃんと身につけていれば,それがベストです。プロジェクトマネージャの考え方は,普段,リーダーとしてではなく,メンバーとして日々の業務を淡々とこなしているだけでは身につきません。「リーダーとしてどう動くべきか」を日々考えて,その考え方を身につける必要がでてきます。これができると,プロジェクトマネージャ試験の論文は,かなり楽に書けるようになりますし,できないと合格はできません。
5.システム監査技術者の,システム監査の考え方
システム監査も同様に,一朝一夕では身につかない考え方です。特に,システム監査は他の試験とは一線を画して,第三者的な,独立性の視点が強く求められます。普段,開発者としてシステムに関わっていると,なかなか身につけられない視点です。システム監査基準を覚えるだけではなく,その精神を理解して,自分の体に落とし込む必要がでてきます。日々の生活や試験勉強で,このあたりの視点を身につけるのは,かなり意識して行う必要があります。
これらのことは,最低3ヶ月ぐらいは訓練,練習が必要なことです。
人間の「考え方」の部分ですので,理解してから身につけるまでには,ある程度のタイムラグがあります。単に,「そういう考え方をするのか」と分かっただけでは,実際の問題を解くときにはうまく使えません。
ある程度訓練して,考え方を身につけた後なら,比較的スムーズに問題を解くことはできると思います。特にマネジメント系の話は,考え方が身についてしまえば,知識を身につけるのは楽にできますし,一度身につけたらもう忘れません。しっかり,実務にも生かせる,骨身となるスキルになります。
具体的な勉強内容としては,実務を積む,本などで実例を知る,午後1の問題演習をする,午後2の論文を書いてみるなどの方法になるとは思います。
ただ,やってることは,考え方を身につけるための訓練,練習です。ですので,1回やればいいというものではなく,繰り返し,身につくまでやる必要があるということは,頭に置いておいた方がいいと思います。
まだまだ時間があると余裕をもたず,訓練,練習が必要な,時間がかかる勉強は,ぜひ早めに取りかかってみてください。