株式会社わくわくスタディワールド

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資格試験はそれ自体が目的であっていい

最近,はてなブックマークで話題になっている「プログラミングはそれ自体が目的であっていい」という記事があります。
何を作るか,何を勉強すべきか以前に,プログラミング自体が目的でもいいんじゃない?という内容です。

この記事は,「プログラミングを勉強したい人が勉強する前にすべきこと」に対する反論で書かれています。
プログラミングを勉強する前に,何かを作りたいという目標が大切で,プログラミングは単なる手段だという内容です。

これらページやそこからのリンクには,プログラミングを勉強したい人に役立つ情報がいろいろ詰まっていますので,これからプログラミングをやってみようと思われる方,ステップアップしたい方にはおすすめです。

個人的には,プログラミングをやってみたくって何かを作ってみるというのでも,何かを作りたいからプログラミングをするのも,どっちもありだという気がしています。

ということで,このブログは情報処理技術者試験を中心としたIT資格試験のブログなので,この内容を資格試験で考えてみます。

よく,「資格試験は単なる手段」「資格だけ持ってても実務ができるとは限らない」と言われる方がいます。
確かに,仕事の場合は実務が最優先ではあると思いますし,資格「だけ」だと足りないことも多くあります。

ただ,「実務ができればいい」「目の前の仕事だけできればいい」という人は往々にして,「動けばいい」システムを作りがちになります。
「動けばいい」だけで作られたプログラムは,コードが汚くて保守性も悪くなりますし,後の人が苦労します。
「動けばいい」だけで作られたデータベースは,変更が大変で不整合が起きたりして,運用で苦労します。
システム開発は,目の前の仕事をただこなせれば終了,というわけではないのです。

そのため,仕事をするのには基本となる知識を勉強する必要があるのですが,ただ漠然と勉強しようとしても,何をしていいのかわからなくなることも多いです。
特に,情報技術などの基礎は,どういう風に実務に結びつくか見えにくいので,ついおろそかになりがちです。

そんなときに役立つのが,資格試験の勉強です。
特に,基本情報技術者や応用情報技術者など,情報処理技術者試験の基礎資格は,「IT全般の知識をひととおり」学習するのには最適です。
即効性はありませんが,基本が身についているのといないのとでは,その後の技術者としての成長には,大きな差がでてきます。

といっても,ITに関する初心者が,そういった基礎の重要性を理解できるわけではありません。
もちろん専門家でも一緒で,すぐには役立たない知識だから,つい軽視されがちになります。

必要性を感じて勉強することが少ないからこそ,「資格試験に合格するため」に勉強することに意味があります。
資格試験は「合格」という明確な目標が設定されるので,勉強のモチベーションが上がりやすいのです。

私自身,最初に第二種情報処理技術者(今の基本情報技術者)試験を受けたときには,単に合格したときにもらえるお金が目当てでした。
学生の時に受けたのですが,内定をもらった会社では,二種に受かると月5,000円の手当があるということで,それを目的に頑張りました。
その後も,褒賞金や昇進,転職のためなど,勉強内容よりも資格試験の取得自体を目的に勉強していました。

ただ,勉強もやりつつ仕事をしていると,結構試験の内容が実務と結びつくことに気づくようになります。
全体像が頭に入っているので,今自分がやっている仕事がどんな分野なのかが見えてくるようになります。
経験が少なめの技術者にとっては,これは大きなアドバンテージです。

資格試験の勉強の効果は,取る前よりも取った後に実感することの方が多いです。
特に新人やスキルのない人には,「勉強するとどう役に立つのか」なんて見えませんので,自分で意義を感じて受けるというのは難しいと思います。

そんなときに,「資格試験を受けて合格」という目標はわかりやすいですし,ゲームのようなクリアする喜びがあります。
新人研修などの目標としてもわかりやすいですし,何をすればいいかが見えてくると,前に進む意欲もわいてきます。
ただ漠然と,「実務で使える人となれ」というよりも,ゴールが見える分やりやすいと思います。

資格試験の勉強は本来,実務に役立てるのが目的です。
ただ,どう役立つかは取ってみないとわからないという側面も大きいですので,「取ることが目的」でも別にいいと思います。
きっかけはなんでも,それで必要なスキルが身につけられればOKなのです。

いくつか資格を取って実務を積み重ねていくと,その先のキャリアパスや勉強すべき内容は自然に見えてきます。
まずは「試験合格!」を目標にして,いろいろ勉強していきましょう。