株式会社わくわくスタディワールド

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受験者のレベルの高い区分,低い区分

平成25年春期の情報処理技術者試験の統計情報を見ていて,改めて,午前1の突破率って,同じ高度区分でも大きく差があるなぁ,ということを感じました。
そして,その傾向は,年度が変わっても,大体同じです。

高度午前1の問題は,応用情報技術者試験の午前問題80問から,30問を抜き出したものです。
ですので,基本的には応用情報技術者試験の午前と,高度区分の午前1は同じレベルになります。

今回の試験で,応用情報技術者試験午前,高度午前1突破率を低い順に並べると,次のようになります。括弧内は,平成24年度春期のデータです。

応用情報技術者 40.0% (53.0%)
情報セキュリティスペシャリスト 48.7% (57.1%)
プロジェクトマネージャ 49.8% (55.4%)

データベーススペシャリスト 59.2% (66.4%)
システム監査技術者 59.9% (64.7%)
エンベデッドシステムスペシャリスト 64.5%(67.6%)

こうしてみると,だいたいいつも,情報セキュリティスペシャリストとプロジェクトマネージャ試験の2区分は,他の高度3区分に比べると,10%ぐらい突破率が低めです。
この2区分は,他の3区分に比べると,とりあえず挑戦する人が多いのかな,とも感じています。

応用情報技術者試験に合格して最初の高度に情報セキュリティスペシャリスト試験を選ぶ人は多いです。また,会社の都合でとる必要が出てきて,いきなり高度から挑戦する人が,情報セキュリティスペシャリストやプロジェクトマネージャに多いのではないかと思います。

全体の合格率自体は,各試験区分でそれほど変わりませんので,受験者層の違いは,合格しやすさにも結びついてくるとは思われます。
今回のプロジェクトマネージャ試験の場合,午後2の突破率は45.1%で,システム監査試験の午後2突破率37.7%に比べても,大分高くなっています。

あと,プロジェクトマネージャ試験で気になるのが,「C判定,D判定」の人の多さです。普通に論文対策して臨めば,合格に届かずB判定というのはありえても,あまりCやDはつかないのですが,結構その割合が大きいのです。
春の論文系では,プロジェクトマネージャ試験では午後2受験者の27.0%がC判定もしくはD判定です。これは,システム監査技術者試験では,14.6%となります。

こういったことから判断すると,論述系の試験を春試験で受ける場合には,システム監査技術者よりもプロジェクトマネージャの方を先に勉強した方が受かりやすいとは思います。
また,先にスペシャリスト系とこだわらなくても,業務次第ではいきなり論文系でも,プロジェクトマネージャなら特に問題ないとも言えます。


ということで,今は秋試験の申込み期間中でもありますので,去年の秋の資料をもとに,秋の受験区分についても少し分析してみます。

平成24年秋の試験で,応用情報技術者試験午前,高度午前1突破率を低い順に並べると,次のようになります。括弧内は,平成23年度秋期のデータです。

応用情報技術者 39.2% (51.6%)
ITサービスマネージャ 39.8% (64.7%)
情報セキュリティスペシャリスト 41.4% (69.1%)
ネットワークスペシャリスト 43.0% (73.5%)

システムアーキテクト 52.1% (76.4%)
ITストラテジスト 57.7%(79.5%)

午前1の突破率は,ITサービスマネージャが毎回,結構低めです。
ネットワークスペシャリストは意外と,情報セキュリティスペシャリストとの差はそんなにありません。

システムアーキテクトとITストラテジストは毎回高いですし,受験者のレベルということだと,ITストラテジストはやっぱり一番高くなると思います。

あと,先ほど分析した,午後2論述系の突破率とC判定,D判定の割合は,次のようになります。

ITサービスマネージャ 突破率 45.1%, C+D判定 26.5%
システムアーキテクト 突破率 35.7%, C+D判定 33.8%
ITストラテジスト 突破率 35.4%, C+D判定 21.2%

システムアーキテクトの場合,開発系の人が多いので,順を追って応用情報技術者試験から勉強してきた人が多いため,午後1までは突破できる人が多いです。
ただ,最初の論文にシステムアーキテクトを選ぶ人が多いせいか,午後2は厳しい判定となる人が多いように思います。

このデータを見る限り,最初の論文系としては,一番受かりやすいのはITサービスマネージャかな,とは思います。
受験者が少なく,参考書が揃っていないという側面はありますが,対策を行いさえすれば比較的合格しやすい区分だとは考えられます。

逆に,秋試験の難易度は,ITストラテジストがやっぱり高いです。
一応,高度区分は全部レベル4で同じということにはなっていますが,受験者層から考えても,やっぱりITストラテジストは情報処理技術者試験の最後として受ける人が多いのではないかと思います。

高度試験を受けるときには,自分の仕事に関係ある分野や,自分が興味のある分野の試験を受けるのが一番です。
ただ,何度も受けて行き詰まったときや,何を受けようか迷ったときには,こういった情報も参考になると思います。

受験区分を早めに決めて,秋の試験に向けて勉強していきましょう。