「業務知識」が必要な問題は減っている

今年(平成25年度)のデータベーススペシャリスト試験の問題をふり返っていて改めて感じたのですが,最近の試験問題って,いわゆる「業務知識」が必要な問題は少なくなっているような気がします。
平成25年春のデータベーススペシャリストの場合,業務知識があった方が良さそうな,典型的な業務に関する問題は,午後2問1の購買業務ぐらいだと思います。他の午後問題は,午後2問2はスーパーの特売ですし,午後1もWebのアクセスログデータの分析や清掃サービス,事務用品のネット販売がテーマなので,典型的な業務という感じではありません。
ですので,わかりやすく対象となる業務について問題文にしっかり説明がありますし,事前知識がないと読みづらい,ということはないと思います。
問題の難しさは,業務の中身ではなく,そこで出てくる推移的関数従属性や,1対1のリレーションシップ,ゼロを含むか否かの表記,といったところにあります。
普通に文章が読めれば,業務知識がないと解けない,ということはないと思います。
論述系の午後1では,いろいろな業務に関する問題が出てきますが,こちらも特に,業務について知っているかどうかは関係なくなってきていると感じています。
個人的には,ITストラテジストの午後1問題などは,いろんな業界のいろんなシステムが出てきて新鮮なので楽しいです。全然関係ない分野で,業務についてはもちろん知らないという問題は,解いていて「こんな業務があるんだ」とわかって面白いです。
「知らない業務だからわからない」ということはありません。
私が記憶している限りだと,10年前ぐらいの問題には,典型的な業務の問題が,結構あったような気がします。
在庫管理だとか,発注管理だとか,業務を知らないとイメージしづらい専門用語が出てきて,悩ましいということもありました。
でも,最近の問題では,そんなことは基本的になく,見慣れない言葉は問題文に説明があります。
事前の業務知識がプラスになる,ということもあまりありません。
多分,最近は業務自体が多様化してきていて,典型的な業務というのが減ってきているんじゃないかと思います。
1つの分野の業務を極めるとそれで仕事をし続けられる,という時代ではないので,いろんな業務に対応する必要があります。
情報処理技術者試験の問題自体も,昔に比べて,業務の幅が広がったような気がします。
ですので,試験の勉強にあたって,特にわざわざ,「業務知識を身につけるための勉強」は必要ないと思います。
過去問演習を行って,自然に身につく範囲で業務が理解できれば十分です。
下手にいろいろ業務について知識をつけすぎると,試験問題に逆に対応できなくなる可能性もあります。
もちろん,実際に仕事で業務を学ぶということは大切ですが,試験の時には特に「自分の業務」にこだわりすぎるとかえって失敗することもあります。
経験したこととまったく同じ業務が出ることはまずないので,試験問題に合わせて考えるということが大切です。
業務も多様化しているので,昔よりもより丁寧に,業務について書いてある問題が増えているように感じています。
その場で読みこなして業務を理解し,その後で考えて問題を解く必要があります。
今の試験に必要なのは,様々な業務に関する知識よりも,その場で問題文を読みこなし,臨機応変に対応できる能力だと思います。
それは,今の変化が大きい仕事に対応する能力にも重なると感じています。
問題演習を行いながら,そういった力を意識して身につけていきましょう。