株式会社わくわくスタディワールド

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Iパスと基本と応用と高度の違い

情報処理技術者試験のうち,初心者から中級者レベルまでの試験は,試験の対象となる範囲はほぼ同じです。
具体的には,レベル1のITパスポート,レベル2の基本情報技術者,レベル3の応用情報技術者の3試験は,順にステップアップすることを想定していて,試験範囲としてはだいたい同じになります。
そして,レベル4の高度区分では,試験としては最高難度となりますが,それぞれの専門分野に特化します。

じゃあ,レベル1~レベル4って,実際にどんな風に違うのでしょうか。
あらためてシラバスを見比べると,ちゃんとわかりやすく書いてありました。

例えば,基礎理論の分野では,ITパスポートでは基本的な考え方を理解することが目標です。
基本情報技術者試験になると,理解し,担当する事項に適用することが目標となります。応用情報技術者試験では,習得し応用することが目標です。

具体的には,待ち行列を例にとると,ITパスポート試験では,「待ち行列という考え方があるよ」という基本的なことだけ出てきます。はっきりシラバスに,「ただし,M/M/1モデルなど理論的な内容は問わない」とありますので,計算する必要はありません。
基本情報技術者試験になると,理論が出てきます。シラバスに,「M/M/1モデルにおける簡単な計算を理解する」とありますので,計算も出てきます。

さらに,応用情報技術者試験になると,普通に計算するだけでなく,「乱数を使用したシミュレーション」などの応用的なことも出てきます。
実際,応用情報技術者午後の待ち行列だと,M/M/nモデルなど,M/M/1以外のものも出てきますし,しっかり理解しておかないと解けない問題が多いです。
こんな感じで,同じことでも問われる深さが変わってくるというのが,基本的な難易度の差になります。

基礎理論だとレベル3までの区分しかないので,高度区分がある分野,例えば,データベースについて見てみます。

データの正規化については,ITパスポートでは,「データの正規化の必要性」についてが出題範囲です。「ただし,正規化の詳細な内容は問わない」とありますので,正規化するのは整合性を保つため,などの基本的なことだけ知っていればOKです。
基本情報技術者試験になると,正規化については,「第一正規化,第二正規化,第三正規化を理解する」とあり,第一~第三正規形をしっかり理解しておく必要があります。

さらに,応用情報技術者試験になると,第三正規形までの正規化に加え,「正規化の考え方に従った,具体的な設計案に対して更新容易性や性能面などから評価し,最適な設計を行う」ことが要求されています。用語例に「非正規化」もありますし,時と場合に酔って正規化を崩すことについても問われることがわかります。実際,応用情報技術者試験の午後だと,非正規化や導出属性の追加などは出題されます。

これが,レベル4の高度区分,データベーススペシャリストになると,高次の正規化も考える必要が出てきます。候補キーや非正規化,履歴を保持するテーブル構造など,正規化から派生したいろいろなテーブル設計を行うためのスキルが要求されます。

高度区分だと,難易度はもちろん上がりますが,低い難易度の基礎はもちろん必要になります。
データベーススペシャリスト試験は第三正規形までちゃんとできることは大前提ですし,この正規化だけでもかなり深く問われます。順番に積み重ねていくことが大切なのです。

よく,「基本情報技術者と応用情報技術者の内容はたいして違わない」と言われる方がいますが,確かに試験範囲そのものには,ほとんど違いはありません。
ITパスポートだと表計算があるとか,基本情報技術者試験にはプログラム言語があるといったところが大きな違いですが,それ以外の範囲は基本的に同じで,ただ問われる深さが変わるだけです。

といっても,実際勉強してみて,問題を解いてみると,その「ただ深さが違うだけ」の難易度の差は,結構あることがわかると思います。一見して同じことを聞いているようでも,より細かく,より理解していないと解けないような問題になっているからです。

ですので,長い目で見て効率的に勉強するには,ITパスポートから順番に,ちょっとずつ深く学習すると無理がありません。
一度に深く掘り下げるのも面白いですが,そうすると,全部の分野をマスターするのにすごく時間がかかってしまいます。
全部の分野をひととおり学習することを,1つずつレベルを上げながら行っていくと,らせん状(スパイラル)に上っていく感じで,より定着しやすくなります。

今までの知識との差を埋めていく学習を行うことで,復習にもなりますし,定期的な確認し直しは,理解するのにも役立ちます。
いきなり高度区分を受験する方でも,一度ITパスポートからおさらいしてみると,基本の底上げができるのでおすすめです。

今受験しようと思っている試験区分と,今の自分の実力を客観的に見つめて,少しずつステップアップしていきましょう。