株式会社わくわくスタディワールド

株式会社わくわくスタディワールド

問題文にない条件は加えない

ある講座での受講生の方が質問で,問題文と全然関係のないツッコミを始めたので,「それは本文に書いてないですよね」と言ったら,

「本文に書いてないことは自由に考えていいんじゃないですか!」

と言われてしまいました。
それに対し,「問題文に従うのが基本です」という話をしたら,

「それはあなたの見解ですよね!IPAはそんなこと言ってないですよ!」

と切れられてしまいました。
その場は話が通じなさそうだったのでそれでやめたのですが,疑問に感じたのでせっかくなので公式見解を探してみました。

すると,結構いっぱいありますね。
採点講評に,IPAの方の心の叫びのような,「本文を読んでほしい」という声が。

例えば,ネットワークスペシャリスト試験の平成24年秋午後1の採点講評(PDF)には,次のような記述がありました。

<問2>
「誤答の多くは,本文中の記述を読み落としていたり,本文中にない条件を加えてしまったりしていた。
 本文をよく読んで,その流れに沿って考えていけば,正答を導けるはずである。」

<問3>
「本文を考慮せず自身の経験や一般的な知識だけで解答しているものが散見された。
 本文には様々な条件が記載されており,その条件に沿って正しい解決方法を導くことを励行してほしい。」

ネットワークスペシャリストは,やっぱり思い込みで解答する人が多い区分のようですね。

他の区分だと,プロジェクトマネージャ試験の平成25年春午後1問3(PDF)では,「~原因が問題文に記述されているので,それを読み取って解答してほしかったが,正答率は低かった。」という記述があります。
あと,情報セキュリティスペシャリスト平成25年春午後1問3(PDF)には,「図表をよく読んで二つの案の違いを理解した上で解答することを心がけてほしい。」という記述もあります。
文章だけでなく,図表をしっかり見ることも大切ですね。

ということで,IPAの根拠も探せたので改めてまとめますと,試験では,「問題文の前提に従って,他の条件は勝手に加えないで解く」ということは基本です。
「自分は経験がある,知識がある」ということをいくらアピールしても,問題文に合ってなかったら0点です。
これはスペシャリスト系,論述系にかかわらず,全ての区分について言えることだと考えています。

その前提がわかっていて,つい条件を加えてしまう,という場合には,問題演習を繰り返していくことで,修正は可能です。
演習のあとに1回1回,「なぜ間違えたのか」をちゃんと分析することで,改善することができるからです。

知識があるのに何年経っても合格できない人の特徴に,「思い込みが激しく,他の人の意見を聞かない」というのがあります。
問題文は,他の人の意見ですので,それを受け入れないと正解は書けません。

試験は,「あなたの能力をアピールする場」ではなく,「相手の意図しているスキルに対して,それがあることを示す場」です。
これは同時に,仕事をしていく上で最低限のコミュニケーション能力があることを証明することにもなります。

まずはなるべく真っ白な心で,問題文の言いたいことをつかんで,問題を解いていきましょう。