株式会社わくわくスタディワールド

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【まとめてみた】共通フレーム2013

最近,毎月ITパスポートを受験しているのですが,そこで共通フレーム関連の問題が数多く出題されています。
共通フレームは,システム開発プロセスやソフトウェア実装プロセスはマネジメント系(基本情報技術者以上ではテクノロジ系)として出てきますが,それ以外の企画プロセスや要件定義プロセスはストラテジ系として出題されます。ですので,何度も出てきますし,出題数も結構多いです。
その割に,共通フレームについてちゃんと書かれた参考書は少ないように感じます。

また,共通フレームは,現在最新のバージョンが共通フレーム2013です。
情報処理技術者試験では「情報処理技術者試験の「出題範囲」及び「シラバス」における一部分野の構成・表記の見直しについて」の記事にあるとおり,平成25年度秋期試験からは共通フレーム2013が試験の出題対象となります。

そのため,ホントは応用情報技術者教科書も改訂する必要があるのですが,基本的に参考書は年に1度の改訂ですので,秋向けには間に合いません。
平成26年版の改訂原稿は共通フレーム2013に対応しましたが,発売されるのは秋試験後です。
ということで,公式書「SECBOOKS 共通フレーム2013」の内容をもとに,共通フレーム2013の主なポイントについてまとめてみます。

まず,バージョンに限らず,共通フレームとは何かということについてまとめると,次のようになります。


  • システム開発を,ライフサイクル全体で捉え,それぞれのプロセスで何をすべきかをまとめたガイドライン

  • SLCP(Software Life Cycle Process)の国際規格ISO/IEC12207を基本とし,日本独自の拡張を加えたもの

  • 共通の物差し」で,システム開発作業の作業内容を,みんなが理解できるようにする

  • 取引の明確化」で,契約内容を具体化できることで,契約を透明に,公明正大なものにする

  • 開発だけでなく,企画やユーザとの関係などの「超上流」についても定義している

共通の物差しなのにみんなが共通で知っているというほど知名度が高くないのが泣き所ではありますが,供給者(開発者)と取得者(ユーザ)が両方,実際のシステム開発でどんなことをするのかを知っておくと,いろいろなことがスムーズに進みます。
この規格を知っている人同士では,「要件定義プロセス」で何をやるのかということなどが,いちいち説明しなくてもお互いわかる,という感じです。

「言った,言わない」論争になったり,「ITのプロなら行間を読め」などと無理な要求をつきつけられないようにするために,何をチェックすればいいのかのベースラインを提供するためのものになります。

具体的に,共通フレーム全般で押さえておきたい内容としては,次のものがあります。


  • システムはソフトウェアとハードウェアを合わせた全体のこと

  • 要件定義は,要件定義プロセスと,システム開発プロセスのシステム要件定義,ソフトウェア実装プロセスのソフトウェア要件定義と,3段階に渡って行われる

  • システム開発プロセスの前に企画プロセスと要件定義プロセスがあり,顧客や業務などはここで定義しておく

  • 基本的にウォーターフォール(V字型開発)がベースで,それぞれの開発に対応するテストがある

  • 文書の種類や書式,具体的な開発技法やツールなどは規定しない

共通フレーム2013では,基本的な内容は共通フレーム2007の延長で,いろいろ追加されています。
次の図が,共通フレーム2013の全体図です。

共通フレーム2013
(画像クリックで拡大します。)

赤字が名称の変更で,赤い背景のプロセスが追加されたプロセスです。

新しいバージョンの共通フレーム2013では,おもに次のような変更がされています。


  • システム開発のプロセスを明示的に定義し,システム開発プロセス,ソフトウェア実装プロセス,ハードウェア実装プロセスの3つに分割

  • 運用プロセスを強化し,廃棄プロセスとサービスマネジメントプロセスを追加(国際規格ISO/IEC20000と整合)

  • 今までの管理プロセスを拡充し,プロジェクトプロセスとして定義。プロジェクトマネジメントの視点とプロジェクトサポートの視点で,プロジェクト計画プロセスなど7つのプロセスを追加

  • 組織に関するライフサイクルプロセスが拡充され,組織のプロジェクトイネーブリングプロセスとなり,プロジェクトポートフォリオ管理プロセスなど4つのプロセスを追加

  • 要件定義プロセスの拡充(IES/IEC12207:2008の利害関係者要求事項定義プロセスの内容を採用)

基本的には,サービスマネジメントやプロジェクトマネジメントなどの,マネジメント部分が強化されている形です。
考え方は,それぞれのベースとなっている,ITILやPMBOK等との整合は図られていますので,そちらを知っていれば特に問題はないかと思われます。

できれば,システム開発の3つのプロセスである,システム開発プロセス,ソフトウェア実装プロセス,ハードウェア実装プロセスにどのようなプロセスが含まれるのかを分類して押さえておくといいと思います。

共通フレームは,共通の物差しなので,知名度が上がってみんなが知ることで,効果も高くなっていくものだと思います。
ITパスポートでは頻出の内容ですし,実務に役立てるという意味でも,ぜひひととおり学んでみてください。