株式会社わくわくスタディワールド

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情報処理技術者試験全区分コンプリートの価値

ITパスポート受験でもらえる初音ミククリアファイル,けんけんが別の絵柄をゲットしてきましたので,全6種類のコンプリートができました。
時間はかかりましたが,全区分揃えて並べてみると,なかなか壮観です。

初音ミクコンプリート

ちなみに,私(美月)自身でもひととおり揃えたいので,もう一回受験は行う予定です。

こうやって揃えてみて改めて,なにかをコンプリートする,というのは人間の性質上,ついやりたがってしまうのですが,集めること自体は自己満足にすぎないなぁ,と感じてしまいます。

そして,これはものだけじゃなく,資格にもあてはまります。
これは,私自身の実感ですが,情報処理技術者試験を全区分制覇してコンプリートしても,自己満足以上の価値は,特にありません。

特に,今の試験制度になって以降はかなり受かりやすくなっていますし,昔の試験制度ではコンプリートできなかった人も取得できています。
私も来年には,2周目が終わりそうですし,最近は全区分持っている人もそれほどめずらしくはなくなっています。

情報処理技術者試験が,現実的に一番使えるのは,基本・応用情報技術者や高度区分を1、2個取得するぐらいだと考えています。

私自身の経験の例でいうと,新入社員での入社前に取った二種(今の基本情報技術者)と,入社1年目で取った一種(今の応用情報技術者)は,仕事でも社内での地位的にも,すごく役に立ちました。
応用情報技術者試験までは,あまり経験が問われるものではないので,知識を身につけることで実務にも応用できますし,IT関連の仕事なら相乗効果もあります。

あと,実務に関係のある高度区分は,持っていることでいろいろ役に立ちます。
私はもともとUNIX系のサーバを主に扱うSEで,プロダクションエンジニア(今はない,プログラミングのスペシャリスト資格)とネットワークスペシャリストを持っていました。
この2つは,転職時のアピールにはかなり有効でした。

そして,仕事や就職,転職に役立てるという時には,これくらいで十分だと思います。
実務関連の高度3,4個ぐらいまではありだとは思いますが,これ以上とっても,そんなに意味はありません。

もちろん,知らないことを知る,いろんなことを学んで視野を広げるということには役立ちますので,やってみたいという方はやってみるといいと思います。
ただ,私自身,全区分取ってみて思うのですが,コンプリートするのはメリットばかりではありません。
取り過ぎると悪影響がある場合も,結構あるのです。

私が「全区分持ってる」という話をすると,相手から返ってくるのはプラスの反応ばかりではありません。

マイナス評価で一番多いのは,「資格マニア」扱いをされること。
確かに,実務経験が全然ない分野で,テクニック的なことをして受かってきてしまったな,という負い目はあります。
特に,論述系の区分は,1回コツをつかんでしまうと全部取るのは結構楽にできてしまうので,まったく実務経験のない分野でも受かってしまった,というのはあります。
ただ,そうでない区分の方が多いですし,情報処理以外の資格にはあまり手は出していないので,マニアと言われるとちょっと違うような気はしています。

あと,会社に所属していると,一定数以上の高度資格の取得は,嫌がられることも多いです。
資格手当が出るところは特に,手当が一人の人に集中してしまいますし,「また受かったのか」と合格にイヤな顔をされることも多いと聞きます。
本来,会社が取得を奨励しているのは,「高度資格を持っている人の人数を増やしたい」ということですので,同じ人があまり何度も取るのは,歓迎されない事態でもあります。
最近は,複数合格する人が増えてきたためか,2つ以上だと手当がでなかったり,または手当が全体的に減額されたりという話をよく聞きます。

その他,なぜか時々聞かれるのですが,「全区分取るとIPAから表彰される」ということはありません。
最初にコンプリートされた方は何かあったみたいですが,それ以降は特に何もありません。
特に,最近はかなり増えているはずなので,いちいちチェックもしていないと思います。

私自身は,全部取ろうと思いはじめたのは,高度を4つぐらい取った後で,「どうせなら全部取ってみようかな」ぐらいの軽い気持ちでした。
いろんな勉強ができて面白かったですし,いろいろ新しいことを知ることができて視野も広がったので,全部取ったこと自体は後悔していません。

ただ,これをみんなに「やった方がいいよ」と勧められるかどうかは正直,違うように感じています。
実務が伴わない資格をいくつもとっても,評価が上がるとは限らないからです。

技術者として本気で生きていくなら,いくつか関連する高度を取った後は,実践やベンダ資格を組合せながら,専門を深めていく方がいいと思います。
情報処理技術者試験対策の講師をやるなら,はったりとしては使えるとは思いますが,試験対策は自分が受けるのではなく「受講生を受からせる」かどうかが問題ですので,取ればいいというものでもありません。

不安を感じていると,つい「もっともっと」と思ってしまって,なるべくいっぱい資格を取ろう,どんどん箔をつけよう,と思ってしまいがちですが,やればやるほどいい,というものでもありません。

自分の目指す方向に合わせて,最適なスキルを計画的に身につけていきましょう。