高度区分の王道の勉強方法
去年から注文していた,待ちに待った本が,今日やっと届きました。
新しいPMBOK第5版に対応した,PMBOKガイドです。
A4の大きさで全590ページなので,かなりボリュームはありますが,読みやすく情報が整理されているので,楽しく学習できそうです。
今回のプロマネ受験は,この本を中心に,あとは過去問学習で本番に臨もうと考えています。
最近改めて感じるのですが,情報処理技術者試験の高度区分,つまりITSS(ITスキル標準)のレベル4の試験は,「参考書でお勉強する」というスタンスの試験では本来ないのです。
専門家として独り立ちしている人が,その専門に関してひととおりの知識があって,仕事をこなせるレベルにあるよ,ということを照明するための試験が,情報処理技術者試験の高度区分,9区分です。
本来,専門家なら試験対策以外でも日々勉強しているはずなので,わざわざ試験勉強をしなくても受かる,というぐらいの試験です。
参考書などの本を読むことは,実務だけでは抜けがありがちの,知識の穴の補充のために役立ちます。
また,より上級の知識を身につけることで,より高いレベルで仕事ができるようになります。
そんな風に試験を利用するのが,本来の姿です。
私自身も,実務だけで勉強しないで受かった区分もいくつかあります。
実務が足りない試験区分もいくつか受けましたが,その場合には,実務では必要になると専門家の人が言われた知識や,自分が知らないけど有名な技術などについて,いろいろ勉強して身につけました。
全部合格してみて,結局,「参考書だけで十分だった」という試験区分はありませんでした。
一部,テクニック満載の参考書1冊だけで受かった区分などもありましたが,その場合は結局,後の勉強が大変でした。
実際に役に立つスキルをつけていくためには,結局,地道な勉強が必要になります。
テクニックだけの勉強と身になる勉強,と2回も勉強する手間をかけるぐらいなら,最初から身になる勉強をした方が,長い目で見たとき効率的です。
何より,実力がなくて受かってしまったときには,自分の中での罪悪感にもとらわれますし,まわりの見る目も厳しくなります。
そうすると,ついつい「資格の栄光」だけにすがりつきたくなったり,自分を守るために虚勢を張ったりもしがちになります。
こうなると,自分もまわりも大変です。
素直に,本来必要なレベルの実力をつけてから合格した方が,いろんな意味でいいと思います。
と,前置きが長くなってしまいましたが,高度区分に必要な勉強の王道は,
1.その専門について必要な専門知識を身につける勉強
2.過去問を用いて,様々な事例を知り,自分の経験と結びつける勉強
の2つです。
1については,参考書は助けにはなりますが,解答テクニックの部分は役に立たないので,その部分が少なめな方がいいと思います。
何より,本来高度区分を受ける人は,ある程度専門家のはずなので,「自分の専門分野の専門に必要な書籍」や「Webサイトなどの最新情報」を,参考書かどうかにかかわらずしっかり学習すれば十分だと思います。
例えば,各試験区分別に基本となる本や情報の例を挙げると,次のような感じです。
情報セキュリティスペシャリスト IPAセキュリティセンターの大量の文書
プロジェクトマネージャ PMBOK(R)ガイド 第5版
システム監査技術者 システム監査基準とシステム管理基準
データベーススペシャリスト リレーショナルデータベース入門
エンベデッドシステムスペシャリスト 組込みシステム開発のためのエンベデッド技術
ざっくり並べてみましたが,これ以外にもいい本や資料はいっぱいあると思います。
ただ,仕事ではよくあることだと思いますが,「本にまとまっていない情報」も,ITを学ぶ上では大切です。
上記のIPAサイトなどを含め,Webの情報が役に立つことは多いので,こちらも押さえておくことが大切です。
2については,過去問演習は,やり方によってはいろいろな学びにつながります。
専門でやっている人なら,問題を読むことで,状況をリアルに思い浮かべられると思います。
たまに,「うちの業務と違う。うちではこんなことはやらない。」と怒る人もいますが,実際の現場は千差万別ですし,まったく同じということはありません。
また,試験問題の事例は単純化してあるので,実際の現場ではもっと複雑なことが当たり前でしょう。
ただ,専門家として大事なポイント,現場で押さえるべきポイントは,仕事が違っていても共通しているところが多いはずです。
その共通している部分を学んでいくことが,大切な勉強になります。
また,論述式の試験では,その共通部分を踏まえた上で,自分の経験を問題に当てはめて書くということが求められます。
普通に国語力があって,その専門分野のスキルがある程度あれば,論述式の試験は別に難しくないはずです。
書き方など,少しコツを押さえれば書けるようになると思います。
応用情報技術者までと違って,高度区分は,「専門の知識・経験があることを前提」としている試験です。
抜け道はあるかもしれませんが,その抜け道を探すよりも,専門のスキルを伸ばす王道の勉強をした方が,実務にもいろいろ役立ちます。
試験対策だけにこだわらず,いろいろな専門スキルを身につけて,楽々と試験にも合格していきましょう。