試験を「すっぱいぶどう」にしない
だいぶん前に,「すっぱいぶどうの話」という記事でもかきましたが,イソップ童話に,「すっぱいぶどう」という話があります。
きつねさんは,木の上に,おいしそうなブドウを見つけました。
でも,手が届かず,食べられません。
ジャンプしても,木に登ろうとしても,ダメでした。
いろいろ試しても無理だったきつねさんは,最後に捨て台詞として,
「フン,あのブドウはすっぱいのさ!」を残して去っていきました。
という,有名なお話です。
人には,どうしても,こうやって事実をねじまげるクセがあります。
自分が失敗したり,手に入れられなかったりすると,それを正当化するために,様々ないいわけを思いつきます。
情報処理技術者試験は,そんな感じで言われやすい試験ではあると感じています。
だいたいの試験区分は,合格率は10%台~20%台ですし,受かる人より落ちる人の方が圧倒的に多いです。ですので,落ちた人が,「あんな資格,とっても意味ない」と,言いたくなる気持ちはわかります。
でも,とっても意味のない資格なら,40年も存続していません。
国家試験ですし,試験の内容的に,取った人はある程度実力があると評価されているから,続いている試験なんだと思います。
確かに,アラを探せばいろいろ出てくるとは思います。
特定の機器に対応する試験ではありませんので,取ってそのまま現場で使えるわけではありません。ただ,基本的な素養は身につきますので,新しいことを覚える速さは,すごく速くなります。
試験では答えを1つに決める必要があるため,実際の実務が「そのまま」出題されるわけではありません。でも,なるべく仕事に必要なエッセンスを問えるように,問題が工夫されています。ですので,問題演習をすることで,仕事のエッセンスを疑似体験することができます。
ですので,100%ではありませんが,勉強した内容は実務に役立つようにできています。
そこに目をつぶって,「資格をとっても意味がない」としてしまうと,自分の成長の機会も失ってしまいます。
昔,大学生の頃,サークルの先輩たちが興した,ベンチャー企業でプログラマーのアルバイトをしていました。
その時,その先輩が情報処理技術者試験が嫌いで,「うちの会社では一種(今の応用情報技術者試験)を持ってるやつがいたら,絶対採用しない!」と断言していたのを覚えています。
その時は,「そんなもんかな」と思って,資格に興味を持ちませんでした。
でも,就職した会社は,情報処理技術者試験を重視する会社だったので,あわてて入社前に二種(今の基本情報技術者)を取得しました。
受けてみて改めて,もうちょっと前から勉強できていれば,結構役に立ったのに,と少し後悔しました。
試験というもの,それ自体は単純に,「現時点での実力を評価する」ための物差しです。
情報処理技術者試験は,IT業界で働いていくのに必要なスキルを持っているかどうかを測る物差しです。
持っていれば確実に昇進できる,とか,そういった特効薬ではありません。
でも,勉強することでスキルは身につきますので,昇進や転職に有利になることは多いです。
完璧ではないですが,それなりには役に立つ,資格試験とは,そんな感じだと思います。
ですので,試験勉強をすると決めたなら,「取っても意味ない」とか,そんなまわりの声には耳を貸さず,静かに勉強をし続けていくことをおすすめします。
だいたいの場合,「取っても意味ない」的なことを言うのは,受かっていない人,受かりそうにない人です。
環境が変化していく中,不安に感じることも多いと思いますが,それを感じながらも,一歩一歩,進んでいきましょう。