株式会社わくわくスタディワールド

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システムアーキテクト合格体験記:hokさん

ご好評いただいている,合格体験記シリーズです。
体験記募集では,意外と論文系の体験記のご応募が多くて,とてもうれしいです。
実際の現場での論文作成の方法は,リアルですごく参考になります。
今回は,システムアーキテクトに合格された,hokさんです。
【基本情報】
氏名: hok
年齢: 31歳(受験時点)
システムアーキテクト受験: 1回目
点数:
午前1 免除
午前2 76.00点
午後1 72点(問2,問3を選択)
午後2 A(問1を選択)
学習期間: 6か月
受験時点の資格取得状況:
平成12年秋 第2種情報処理技術者
平成13年秋 テクニカルエンジニア(ネットワーク)
平成21年春 情報セキュリティスペシャリスト
平成21年秋 ITサービスマネージャ
平成21年秋 技術士一次試験(情報工学)
平成22年春 プロジェクトマネージャ
【試験に向けて,勉強した内容】
使用した教材:
『システムアーキテクト「専門知識+午後問題」の重点対策〈2010〉』(アイテック)
『システムアーキテクチャ構築の原理 ITアーキテクトが持つべき3つの思考』(翔泳社)
受験する区分に関連する書籍で副読本として良さそうなものを1冊購入して読むことにしています。これは試験対策本のみで視野が狭くならないようにするためです。
もっとも今回購入した「システムアーキテクチャ構築の原理」はアーキテクチャ構築の観点では良い内容でしたがこの試験向けではありませんでした。
「重点対策」は著者殿の評判が良かったこと、情報処理教科書のサンプル論文が微妙(内容が分かりづらい、3800字もあり2時間で書いたと思えない、等)だったことから選びました。
勉強方法:
論文対策を除き、通勤中の電車で本を読むことの繰り返しです。副読本を先に1回通して読んだ後、参考書を前から順に(問題は頭の中で解きながら)繰り返し読みました。
プロマネ試験終了後の翌週あたりから試験直前まで継続し、試験前日の土曜日だけは図書館に行って勉強+論文を実際に2時間で書く練習をしました。
論文以外の対策:
本を読み、問題を解いて得た知識は午前・午後問わず使えると考えていますので、特に午前や午後といった区分を意識して勉強はしていません。
論文対策:
通勤中に参考書を読む過程で、論文に関するテクニックを頭に刷り込みました。そして試験前日に図書館に行き、平成20年午後2問1を題材に本番と同じ2時間で実際に論文を書き上げました。
ITサービスマネージャ、プロジェクトマネージャの時は2回論文を書きましたが、システムアーキテクトは要件定義以外を題材にした問題の予想がつかず、1回しか論文を書けませんでした。
あとは前回、前々回と連続して論文系区分を受験・合格しているのでその際に得たノウハウが大きいと思います。その際の教材はITサービスマネージャの重点対策(2009年版)とプロジェクトマネージャの情報処理教科書(2010年版)ですが、これらの論文対策の記述は非常に役に立ちますので立ち読みでも一読をお勧めします。
ちなみにシステムアーキテクトの重点対策(2010年版)の論文対策はどちらかというとテクニック寄りなので、ある程度論文の書き方を身に付けた方が記述レベルを上げる役には立つと思いますが、論文系初挑戦の方がこれのみで戦うことは難しいと思います。
【当日の試験の感想】
試験地は上智大学で、机と椅子が私が通っていた大学と同タイプのものだったので懐かしさを感じました。
ただ机の天板が手前に向かって若干下り傾斜になっており、筆記具が滑り落ちないように気を付ける必要がありました。そういう会場もあるという事は今後意識しておきたいところです。
1.午前2
自信を持って答えを1つに絞れたものが6割無かったので、新制度になってから4回受けた高度区分午前2の中で一番難しいと感じました。
2.午後1
問2と問3を選択し、問3→問2の順に解きましたが、問3終了の時点で55分経過しており、残り35分で問2を急いで解いたので回答の条件を見落としたり散々でした。自己採点では不合格を覚悟していました。
今回は運よく通過できましたが、今後は1問あたり45分を意識して、時間が迫ってきたらとりあえずの回答を書いて2問目に取り掛かるなどの工夫が必要だと感じました。
新制度になって回答する問題数は2問に減ったものの、1問あたりのボリュームは増えてきて時間が足りないようになってきたと感じます。
このため休憩時間になってから記憶を頼りに回答を問題用紙に転記せざるを得ず、休憩時間がほとんど取れずに脳へのエネルギー補給に持参したチョコレートを食べ損ねるところでした。
3.午後2
始めから組み込み系の問3は除外する予定でしたが、問1、問2を見て「どっちも書けるネタがない」と焦りました。問1は複数システム間のコード統一、問2はシステム間連携と、どちらも複数システムを対象にする問題でしたので、長年アプリケーション開発ばかりやって来た私には厳しい内容でした。
しかし「問題選択に迷っている時間ほど無駄なものはない」ということを肝に銘じていたので、比較的とっつきやすい問1に決定しました。ここまでで5分の消費です。
後は問題文を読み込み、論文の軸となる「工夫した点」と骨子を考えるのに15分、テンプレート記入に5分、設問アに25分(800字)、設問イに50分(1150字)、設問ウに20分(550字)とひたすら考えては書き続けました。
結局時間切れで設問ウは2行足らず(最後の「-以上-」を入れても1行足らず)でしたが、字数不足でも合格している事例を知っていたのである程度期待して合否発表を待てました。
【今後の受験者に向けてのアドバイス】
論文対策についてのアドバイスやノウハウを述べます。
・午後2だけで見た合格率は5割程度ですので、午後2受験者の真ん中よりマシな文章なら書ける、ということをまず信じて下さい。
・論文を書く上で最初にすべきことは、論文とは何なのか、その流れを理解することです。論文は「この課題はこう解決できた」という内容を書くものですので、メインとなる「課題」とその「解決策」が必ず存在します。
「課題を明確にすること」と「考えた点、工夫した点」を意識して論文の骨子を組み立てるのが、筋のとおった論文を書くコツになります。
・他はオマケみたいなものですから、基本的な流れさえ組み立てられたら後は書きながら考えても大丈夫です。というより、私はそうして書き始めないと時間が間に合いません。
・基本は「状況説明」→「存在する課題」→「解決策と工夫点」→「結果」→「考察や今後の課題」という流れになります。問題によって「存在する課題」は設問アかイ、「結果」は設問イかウと問われたりする設問が変わりますが流れは同じです。
・学術論文では解決策の有効性(=結果)が重視されますが、試験では「受験者」を評価するために過程(=解決策と工夫点)が重視されます。「私が」何を考え工夫したのか分かるようにその部分を厚く記述するようにして下さい。
・A評価を取る上で一番重要なことは「題意を外さないこと」です。「題意を外している」と判断されると即D評価になりますので、論文の体裁とかテクニックばかりに意識を取られないようにして下さい。
・題意に沿う感覚をを磨くには、他の受験者が書いた論文とその採点結果を書籍やネットで探して見てみるのが一番です。JITECが公開している過去問の講評もヒントの宝庫ですので必読です。
・試験名の変更を反映してか、アプリケーション開発者には少し厳しい問題が出ると予想されますので、論文の題材にするシステムを練り上げておくことをお勧めします。
・感想でも書きましたが問題選択に悩む時間は完全に無駄です。どんなに悩んでも、結局は最初のフィーリングに頼ることがほとんどです。
・最後に、これらを意識してせっかく書いた(合格率5割の)論文が採点されないのは最もつらい落ち方ですので、午後1までの勉強こそ力を入れて下さい。
以上、参考になれば幸いです。