株式会社わくわくスタディワールド

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出題者の本音が出ているガイドブック

以前,「深く知ると好きになる」の記事でのコメントで,風太さんが紹介されていた,知る人ぞ知る公開資料があります。
それは,IPA情報処理技術者試験センターが発表している「情報処理技術者試験 ガイドブック」です。
内容は平成20年までの旧試験制度のものなので,試験制度を知るためには使えないのですが,このガイドブックの特筆するポイントは,時々出てくる「こぼれ話」です。
情報処理技術者試験の試験作成者,作問者,採点者の,心の声が,このこぼれ話にはあふれています。
例えば,17ページの,「山」というコラムには,次のようなことが書かれています。

プログラミング言語にも特徴がある。例えばC。Cで、ポインタは基本的な技法である。ポインタを使わないで、実務上、Cのスマートなプログラムを書くことは難しい。正答率が多少低くても、これだけは知っていて欲しいと思う基本的な事項については、繰り返し、繰り返し出題している。情報処理技術者試験の受験者には、表面的な知識ではなく、基本的な技能を身に付けていただきたいと願っている。

出題者,問題作成者として,この心構えは素晴らしいと感じます。
この考え方が,情報処理技術者試験の質を高めて,大切な基本を身に付けているかどうかを認定する試験にしているんだな,とすごく感じます。
もちろん,ひねくれてみれば,「だからCを選択すると,合格率が低いんだな」という見方もできますが,そのプログラミング言語ごとの特徴,大切な点を,プログラミング言語問題はうまく尋ねていると思います。
試験勉強をすることで,その分野で大切な,基本的な技能を身に付けることが本来の目的です。
それを目指して欲しい,という出題者の意図を,とても感じるこぼれ話でした。
その他,論文の採点官の本音,「全て成功プロジェクト?」や,記述式の採点官の本音,「国語の問題」など,役に立つコラムが満載です。
ちなみに,「受験者の識別」というコラムによると,受験者の識別には,受験番号と生年月日のみを用いているそうです。だから,これを間違えると確実に落ちるのですが,毎回結構,こういったミスは発生するらしいです。
私自身,「まさかそんなことやらないだろう」と思っていたのに,1度やってしまったので人のことは言えないのですが。。。^^;
出題者の本音を聞くと,出題者を身近に感じられます。
その心で試験問題を読むと,より出題者の意図が汲み取りやすいと思います。
一度読んでみて,出題者の考えを知るのもおすすめです。