株式会社わくわくスタディワールド

株式会社わくわくスタディワールド

自分の「こだわり」「思い込み」を捨てる

私は昔,試験に自分のこだわりを持ち込んで,思いっきり失敗したことがあります。
10年ぐらい前まで,高校の教科「情報」の免許は,教員資格認定試験でも取ることができました。私はもちろん「情報」の内容は得意ですので,受かる気満々で受けに行きました。
そこで出題された専門知識が,OSI階層モデル。これを高校生に説明するという問題でしたが,ついつい熱が入って,7階層それぞれについて,かなり詳しく説明してしまいました。多分,情熱を込めすぎて,専門的になりすぎていて,わかりにくくなっていたと思います。
結果は残念ながら不合格。;_;
相手に合わせて,説明するという基本的なことを忘れていました。
それから私が肝に銘じていることは,「試験問題に向かったら自分を捨てる」ことです。
試験を受けるときには,できる限り,自分のこだわりや思い込みを捨て,「相手の要求していること」を答えることに,気を遣っています。
それが功を奏したのは,平成13年秋,初回の情報セキュリティアドミニストレータ試験。
セキュリティの専門家のための試験だと思っていたので,セキュリティ技術を勉強していったのですが,実際の試験問題をみるとなんだか様子が違います。
管理系のことがいっぱい出てきますし,会話形式で,「そんなことやってられない」とかいう課長まで出てきます。
かなり面食らいましたが,「問題文に合わせよう」と心に言い聞かせ,1つ1つ,「こんな人間的な解答でいいのかな」と不安になりながらも解いていきました。
結果は無事合格。
勉強したセキュリティ技術にこだわらず,言われたことを答えたのが良かったんだと思います。
情報セキュリティスペシャリストは,自分の中に技術へのこだわりがあると,かえって受かりにくくなる試験です。試験日まではしっかり勉強しつつも,本番ではそれをすっかり手放して,問題文の状況を読み取る,という柔軟さが必要とされます。
多分,情報セキュリティスペシャリストでは,専門バカにならずに,まわりの人に合わせてちゃんとマネジメントできる人が求められているんだと思います。このあたりは,試験対策で養える力とは違いますが,なにげに人間力が要求される試験です。
データベーススペシャリストの場合は,こだわりよりも「思い込み」が要注意です。
特に,基礎理論で候補キーを選ぶ場合に,人間の単純な思い込みだと候補キーになりそうなものがならなかったり,逆に普通に必要そうなものだけでは足りなかったりします。
「この業務ではこうであるはず」という思い込みを捨て,問題文の指示に従いきれるかどうかが,合否のカギを握ります。
実は,候補キー・主キーの取扱いを間違えると,ER図にも影響が出てきます。午後2の場合は,問題文の注釈に,さりげなく注意がかいてあったりして,それがカギだったりするので,すみずみまで見直していきましょう。
データベースは数学の理論ですので,巧みに「常識の裏」を書いた問題が出てきます。
応用情報技術者試験の場合,「この問題は選ばない」という思い込みを外してみるのもイイと思います。
経験がなくっても,ツッコミの才能があれば(?),システム監査の問題などは,以外に楽だったりします。
会社員の経験年数が豊富なら,以外とマネジメント系,ストラテジ系は解きやすいかもしれません。
実際の問題は,分野によっては時々かなり難しいものが出てきますので,午後の選択肢は多めに持っておく方がいいと思います。
試験問題に対して,「こんな問題おかしい」「実務ではこんなのありえない」と文句を言う人がいます。
基本的に,試験問題は,実際の事例を元にしていると思いますが,紙面の都合上,簡略化されているのが普通です。特に,応用情報技術者試験は,問題文も短いですし,かなりエッセンスだけを抜き出した感じです。
なので,つっこみどころはあるとは思います。
でも,それにこだわっていると,先に進めません。
「自分が正しい」に固執すると,全体で大切なことを見失ってしまいます。
ですので,試験に向けて,特に試験会場で試験問題に向かったときには,自分を捨てることはおすすめです。
全部捨てなくても,変なこだわりや思い込みは捨てる,と意識しているだけでもだいぶん違うと思います。
今までせっかく勉強してきたことを,本番で無にしてしまうのは悲しいです。
試験問題と戦うのではなく,仲良く丸く,やっていきましょう。