最近知って,「なるほど!」と目からウロコが落ちた論文があります。
Measuring actual learning versus feeling of learning in response to being actively engaged in the classroom」という論文です。

簡単に要約すると,次の2つのことが書いてあります。

  1. 能動的学習の方が効果が高く,テストの結果も良くなる
  2. 受動的学習の方が生徒の満足度が高く,勉強した気になる

これを見て,今までいろいろなところで教えてきた時に起こったことに納得がいきました。

自分でいろいろ試してみる方が効率的に学べる

私がコンピュータやIT関係の知識を最初に学び始めた頃(1980年代)には,そもそもIT関連の授業なんてなかったですし,基本独学でいろいろ身につけてきました。プログラミングは本にあるのを自分で打ち込んでみて,上手く動かないときはいろいろ考えながら試行錯誤して直す,というのを繰り返して覚えました。

「どこかに完璧な知識があり,それを教えてもらえる」というのは幻想で,自分で学ぶしかないのだと大学でも学びましたし,学びたいことは基本的に能動的に学習してきました。
今ふり返ると,それが結構良かったのではないかと感じています。

人は「知識」を教えてもらいたがる

自分の経験上,何かを「試してみる」「考えてみる」ことが学習効果を上げるのに大切だと考えています。
そのため,私が主催する研修では,基本的に知識だけを話すことはなく,最低でも問題演習など,何か自分で手を動かしてやってみることを取り入れています。
しかし,これを嫌がる人は結構多い,というよりむしろ多数派です。

「演習してみましょう」と言っても絶対に手を動かさない人はかなりいます。特に企業研修だと,解答用紙を渡されてもかたくなに書かない,という人が多いです。
試験対策だと,「問題演習やるヒマがあったら合格のためのテクニックを教えて欲しい」とアンケートに書かれたことは何回もあります。
過去問題などで問題演習をやらずにテクニックだけで合格するような試験は,私が教えているような試験では存在しないと考えています。

「勉強した気」になる勉強

上の論文の話に戻りますが,どうも知識を受動的に聞いて覚えるような勉強は,勉強した気になるには最適なようです。
いろいろ知らないことを知った気になって,賢くなった気がするのでしょう。
でも,アウトプットなどの能動的な作業が関わらないと,得た知識はすぐに抜けていってしまいます。
という話をしても通じない人には通じないですし,真面目な勉強というのは受動的な勉強だけだと思い込んでる人も多いです。

これからの時代は,能動的学習が必須

個人的にはたまに,「割り切ってなんかすごそうな知識を適当に話してた方が儲かっていいのかな」とも思いますが,それをやると自分が病みそうなのでやめてます。
それに,昔ながらの固定的な知識を学ぶだけなら受動的な学習でもなんとかなりますが,新しい技術を学ぶためには,自分で能動的に学ぶことは不可欠です。

「知識を体系化して覚えられるようにまとめる」というのは実は大変な作業で,学校のカリキュラムなどはすごい労力をかけてこれを行っています。ITの分野も,50~60年ぐらいかけて,やっとカリキュラム的なものが固まりつつありますが,新しい技術もどんどん生まれてきています。

AI分野など,発展途上の分野は,まだまだ学ぶこと自体が固まってきていません。「これを学べばOK」のような既存の知識は存在しないので,何を勉強すればいいかという点から,変わり続けていきます。

これからの時代は,必要な知識がどんどん変わっていきますので,「何を学べばいいか」から自分で能動的に決められる人に有利です。
時代の流れや自分の特性を見極めながら,最適な学習を行っていきましょう。