株式会社わくわくスタディワールド

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壁になっている知識,思い込みを手放す

データベースの研修をするとき,一番やりやすいのは,実は新人研修だったりします。
候補キーや主キーの選び方のルールを教えて,第1~第3正規形の法則を教えると,それほど抵抗なく,理解してくれます。
正規化は数学の理論で,ルールがはっきりしているので,まっさらな頭だと,素直に入っていくようです。
逆に,一番やりにくいのは,階層型データベースを経験した,実務経験バリバリの,年上の人たちだったりします。
「業務ではそんなことをやらない」と,正規化を頭から否定されると,かなり苦しいです。
オブジェクト指向などもそうですが,一世代前の常識と違うことが,次の世代の常識になったりします。
いいところは残しつつ,いらなくなった古い知識は手放す,という柔軟さは必要です。
データベーススペシャリスト試験の面白さは,パズルを解くときの感じに似ています。
理詰めで考えていって,きれいに問題が解けたときには,とても快感を感じます。
午後1の基礎理論は本当に理論なので,データベースの理論をきちんと理解していれば,問題の答えは一意(1つ)です。
難しい問題だと,悩んでうまく候補キーが導き出せて,答えが出ると楽しいです。
そして,その「難しさ」の原因に,人間が常識だと思っている「壁」があります。
例えば,平成22年春午後1問1では,受講者ID->メールアドレス,という関数従属性,つまり,受講者IDが決まればメールアドレスが一意に決まるという,当たり前に信じてしまいそうな関係性が,実は違ったりします。
そういったことを,問題文の表の記述から見抜いていって,本当の関係性を洗い出していきます。
悩んだ後,こういうのに気づくと,ちょっとしたアハ体験が味わえて,なかなか楽しいです。
講義をしていると,こういうのに自分で気づけるようになるよう導くのが,醍醐味だったりします。
そして,何度か気づいていくと,壁になっている知識や思い込みがだんだん取り払われていって,試験問題を見ると瞬間的に答えが見えるようにもなってきます。
それができるようになると,午後2のデータモデリングも,速く解けるようになります。
勉強というと,ついつい知識を身に付けて積み上げていくことだと思ってしまいがちなのですが,実はそれだと困ることも結構あります。
壁になっているものを手放しつつ,新たに積み重ねていく,これが新しいものを学ぶ時には必要なのです。
それが意識してできるようになってくると,勉強ももっと楽しくなってくると思います。