2027年度の新試験が見えてきた!プロフェッショナルデジタルスキル試験とは?
本日,IPAから「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しについて」が公開されました。2027年度から始まる新試験制度の全体像が明らかになりましたので,内容を整理してお伝えします。
見直しの背景
今回の見直しは,経済産業省の「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会報告書」(2025年5月)に基づくものです。DX推進やAI活用が当たり前になる時代に合わせて,試験制度も大きくリニューアルされます。
見直しのポイントは大きく5つあります。
5つの主要な変更ポイント
1. プロフェッショナルデジタルスキル試験の新設
今回の見直しのうち,最も大きな変更となるのが,応用情報技術者試験や各高度試験に変わる,新しい試験体系としての プロフェッショナルデジタルスキル試験 の新設です。以下の3つの試験区分が設けられます。
プロフェッショナルデジタルスキル試験の3区分
| 区分 | 対象領域 | 想定される人材像 |
|---|---|---|
| マネジメント | 組織でのデータ・デジタル技術活用プロセスの管理 | DX推進マネージャー,プロジェクトリーダーなど |
| データ・AI | データドリブンな活動の基盤構築 | データサイエンティスト,AIエンジニアなど |
| システム | システムの要件定義・アーキテクチャ設計・開発・運用の主導 | システムアーキテクト,開発リーダーなど |
これまでの高度試験(ST,SA,PM,DB,ES,AU,SM,NW)が「専門分野ごとの深掘り」だったのに対し,プロフェッショナルデジタルスキル試験は「役割(マネジメント・データ・システム)」の軸で整理されているのが大きな違いです。
各区分の試験構成は全て同じで,以下の通りです。
試験構成
| 科目 | 時間 | 問題数 |
|---|---|---|
| 科目A-1 | 90分 | 60問 |
| 科目A-2 | ― | 23問 |
| 科目B | 120分 | 12問 |
科目A-1は,出題範囲を見る限り従来の応用情報技術者試験の科目A(午前),高度区分共通の科目A−1(午前1)とほぼ同じで,共通知識の内容になりそうです。時間と問題数は,現行のCBTでの基本情報技術者試験科目Aと同じなので,難易度は今までの応用情報技術者試験の午前と同程度になるのではないかと予想されます。
科目A−2は専門知識で,試験区分ごとに異なります。情報処理安全確保支援士試験の科目A-2も同様に定義されており,今までの高度区分や情報処理安全確保支援士試験の午前2(科目A-2)と同様の内容になるのではないかと予想されます。
科目Bは,従来の科目B(午後)に相当する内容ではないかと考えられますが,出題形式が多岐選択式となっています。そのため,かなり出題方法が変わってくるのではないかと考えられます。
プロフェッショナルデジタルスキル試験の3つの試験区分での,科目B(技能)の出題範囲は以下のように定義されています。
プロフェッショナルデジタルスキル試験 科目B(技能)出題範囲
| No. | マネジメント | データ・AI | システム |
|---|---|---|---|
| 1 | 組織及びビジネスの変革・デジタル戦略 | データマネジメント | システムアーキテクチャ |
| 2 | サービスマネジメント | データ・AIの活用 | ネットワーク |
| 3 | プロジェクトマネジメント | データエンジニアリング | フィジカルコンピューティング |
| 4 | 組織のガバナンス・監査 | データ処理とアルゴリズム | システムの開発・運用 |
旧試験制度との対応関係を考えると,次のようになるのではないかと考えられます。
旧試験制度との対応関係(予想)
| No. | マネジメント | データ・AI | システム |
|---|---|---|---|
| 1 | ITストラテジスト | 新規 | 新規 |
| 2 | サービスマネジメント | 新規 | ネットワークスペシャリスト |
| 3 | プロジェクトマネジメント | データベーススペシャリスト | エンベデッドシステムスペシャリスト |
| 4 | システム監査 | 新規 | システムアーキテクト |
マネジメントとシステムは,従来の高度試験の内容をベースにしつつ,DX推進やAI活用に必要な内容を追加しているイメージです。データ・AIは,従来の高度試験にはない新しい内容が多く含まれている内容となるのではないかと予想されます。
初回の試験は,2027年度夏~秋頃からの実施が予定されています。2026年度は,従来の試験制度でのCBT方式での実施が予定されています。
具体的な形式など,まだ不明な点も多いです。シラバス案とサンプル問題は2026年度夏頃を目途に段階的に公開されるとのことですので,今後の情報を待ちましょう。
2. データマネジメント試験の新設
AI活用に必要な データ整備・管理スキル を評価する新しい試験です。ITパスポート試験の次のステップとして位置づけられており,IT技術者に限らず,データを扱うすべてのビジネスパーソンが対象になると考えられます。
3. ITパスポート試験の出題変更
出題分野が以下のように再編されます。
| 従来 | 変更後 |
|---|---|
| ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系 | ビジネス/テクノロジ/セキュリティ・倫理 |
DXマインドやデータマネジメントの基礎が新たに追加され,より実践的な内容になります。
シラバス案を見る限り,ITパスポート試験に限らず,すべての試験区分のシラバスが,ビジネス / テクノロジ / セキュリティ・倫理 の3つの大きなカテゴリで整理されるようになるのではないかと考えられます。
4. 情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験の変更
科目Aの出題範囲体系と科目Bの内容が変更されます。ただし,評価する知識・技能の範囲自体は変わらないとのことですので,学習内容への影響は限定的です。
5. 情報処理安全確保支援士試験の改訂
- 科目Aの出題範囲体系の変更
- マネジメント分野の強化
- 試験時間および科目Bの出題形式の変更
情報処理安全確保支援士試験の改訂は,2027年度夏~秋頃からの適用になります。2026年度に受験する方は今までと同様の内容を,CBT方式で受験することになります。
試験構成
| 科目 | 時間 | 問題数 |
|---|---|---|
| 科目A-1 | 45分 | 30問 |
| 科目A-2 | 35分 | 25問 |
| 科目B | 120分 | 12問 |
こちらは,従来の情報処理安全確保支援士試験の科目構成とほぼ同じですが,試験時間や出題形式が変更されています。科目A-1と科目A-2は,問題数が同じで,時間が5分ずつ短縮されています。もともと,科目Aは時間に余裕がある試験でしたので,この変更は大きな影響はないのではないかと予想されます。科目Bは,150分から120分に短縮され,問題数が4問中2問から,12問に増加しています。CBT方式での実施に向けて,従来の記述式から多岐選択式に変更されるので,出題の方法が大幅に変わることが予想されます。
新試験制度の開始スケジュール
| 開始時期 | 対象試験 |
|---|---|
| 2027年度春頃 | ITパスポート試験,情報セキュリティマネジメント試験,基本情報技術者試験 |
| 2027年度夏~秋頃 | データマネジメント試験,プロフェッショナルデジタルスキル試験(全3区分),情報処理安全確保支援士試験 |
現行試験は 2026年度で終了 予定です。シラバス案とサンプル問題は 2026年度夏頃 を目途に段階的に公開されるとのことです。
すべての試験がCBT方式で実施される予定で,ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験は通年実施が予定されています。
今のうちにやっておくべきこと
シラバス案が公開されるのは2026年度夏頃の予定ですので,まだ具体的な対策は始められません。しかし,以下のことは今から意識しておくとよいでしょう。
- 2026年度のうちに現行の試験に挑戦する — 現行試験は2026年度で終了予定です。取得できる資格は今のうちに取得しておきましょう
- 自分のキャリアの方向性を考える — 3区分のうちどれが自分に合っているか,日頃の業務と照らし合わせて考えておくとよいでしょう。すべてを取得して フルスタックデジタル人材 を目指すのもよいかもしれません
- データ・AIの基礎知識を身につける — どの区分でもデータやAIの知識は求められる可能性が高いです
試験制度が大きく変わる転換期ですが,焦る必要はありません。まずは2026年度の現行試験にしっかり取り組みつつ,新制度の情報を追っていきましょう。
新しい情報が出ましたら,またブログで詳しく取り上げていきます。