株式会社わくわくスタディワールド

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論述式試験で,あると合格にジャマなもの

論述式の試験に向けて出されている合格論文集には,いろいろな素晴らしい論文が載っています。
巨大なプロジェクトで,たくさんのメンバを切り盛りして,すごい問題を解決して。。。

確かに,そんな論文が書けたら,カッコイイと思います。
ただ,そんな風に,無理に背伸びしてすごい論文を書こうとすると,逆に現実味のない,夢物語のような文章になってしまいます。
なんか小学生が,「おれんち会社の社長で金持ちだから,いろいろ大変なんだぜ。。。」(嘘),みたいな,変な見栄をはってる痛々しさが透けて見えるのです。

男の人はウソを隠すのが下手,とはよくいいますが,ウソのなかでも特に,変に自分を良く見せようとしている,「自分はこんなにすごいんだぜ。」的なウソは,結構簡単に見抜かれます。
もっともウソじゃなくって事実でも,「自分は素晴らしい」とやたらと主張する人や論文は,鬱陶しいのでイヤですが。^^;

論述式の試験で答えて欲しいものは,「あなたの素晴らしい経験」ではなく,「問題文で聞かれていることに当てはまる経験」です。
別に素晴らしいものである必要はありませんし,題意に沿って,普通にやるはずのことを答えればOKです。
本題とは関係ない「俺ってすごいでしょ!」的な経験をいろいろ語っても,マイナスになるだけです。

論述式の試験の場合,こういった「見栄」は,あると合格のジャマになります。
「今の自分じゃダメだから,大きく見せないと」という態度は,読む方からすれば丸わかりですので,やらない方がいいと思います。

実際,論述式の試験内容は,そんなに素晴らしいことを書く必要はありません。
例えば,プロジェクトマネージャの試験は,試験対象レベル(レベル4)では,扱うプロジェクトは小さくても問題になりません。
以前,コメント欄でエンバグさんに書いていただきましたが,「ITスキル標準V3 2011」の2部キャリア編での,「職種の概要と達成度指標(5)プロジェクトマネジメント(PDF)」によると,レベル4の対象となるビジネスのサイズは,

・管理する要員数がピーク時10人未満または年間契約金額1億円未満

となっています。
ですので,小さいプロジェクトでも全然OKです。

これが,レベル5になると「管理する要員数がピーク時10人以上50人未満または年間契約金額1億円以上5億円未満」など,サイズや複雑性が大きくなったりしていきます。
情報処理技術者試験の高度区分は,あくまで「レベル4」の試験なので,そんなに大きなプロジェクトである必要もありませんし,すごいプロフェッショナルである必要もないのです。

実際,私もプロジェクトマネージャ受験時には,実際に自分が管理していた,社員(新人含む)+外注(派遣社員)で構成する6名のプロジェクトを題材にして合格しました。

変に経験したことのない大きなプロジェクトを妄想するより,小さくても自分がわかる範囲のプロジェクトを書く方が受かりやすいと思います。

同じプロジェクトに対して,開発者の立場,プロジェクトマネージャの立場,経営者の立場など,その試験に対応した見方ができることが大切です。
まったくIT業界と縁がなければ別ですが,関わってきたプロジェクトがあって,別の人の立場が理解できれば,題材はあると思います。

基本的に,情報処理技術者試験の高度区分は全部レベル4ですので,それほど高度なことは求められません。
無理にかっこよいことを書こうとせず,「当たり前の経験」を書けばいいのです。


論述系の試験に限りませんが,試験では「自分へのこだわり」を見せると失敗しがちです。

スペシャリスト系の試験は答えが決まっているので,「こだわりをゼロ(0)にする」のがベストです。
「自分だったら,自分の会社だったらこうはやらない」という自己主張は,試験では出さない方が賢明です。

ただ,論述系の試験は,「あなたの経験と考えに基づいて」論述しますので,ある程度は自分のことを見せる必要があります。
でも,だからといって,「私はこんな考えを持っているんだ」とか,「私はこんなに素晴らしいんだ」と言うことを期待されているわけではありません。

あくまで,論述式の「試験」ですので,「聞かれていることに答える」ことが最優先です。
設問で問われている内容について,「試験の内容に対応する経験」を見せることが大切なのです。

そして,字数が制限されていますので,問われていることに答えているだけで答案は埋まります。
それ以上のことを答える余裕はありませんし,いろいろ書いていると肝心の問われていることへの解答がおろそかになります。

自分の経験へのこだわりを捨てて,ひたすら問題文に対応していくと,合格は意外と近くにあります。

合格のための水準は,実は思っているほど高くはありません。
無理に背伸びしたり,こだわったりせず,素直に論文を書いていきましょう。