情報処理技術者試験の合格には国語力が必要です。

・・・こう言うとなぜか,「国語力さえあれば受かる」と誤解する人が多いのですが,それがまさに国語力がない証拠です。
(Aが必要)と(A以外いらない)はイコールではありません。
このあたりを誤解しないように,「問題文を正確に(曲解せずに)読む」ことが,国語力の基本となります。

国語力が必要な実例

先月,山のように情報処理技術者試験午後の模擬試験を採点したのですが,改めて,国語力という意味で問題があるなぁ,と感じる答案と数多く出会いました。
具体的には,

  • 問題文の条件を読み取れていない
  • 問題文で聞かれていることと別のことを答える(理由を聞かれているのに解決策など)
  • 自分で勝手に条件を付け加える(自分の会社の事例を答える)

などが特に多いです。

面白いのが,企業によって,誤答のパターンに共通点があることです。
企業研修などの模擬試験を採点していると,会社ごとに同じような間違いをする人が複数いて,でもその間違いは,他の会社では見られない,ということがよくあります。
「会社ごとの常識」が,問題文を読む目を歪めているんだなぁ,と改めて感じました。

具体例としては,情報セキュリティに関して,ある大企業の研修で,「BYOD(Bring Your Own Device:私的端末の業務利用)なんて危ないからその方針自体をやめさせる」という解答が結構ありました。
その会社は全員に会社用端末を用意しているようでしたが,IPAセキュリティセンターの「「2015年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書について」にもあるとおり,小規模企業では,BYODを認めている方が多数派です。

そういった,立場の違いを読みとることも,試験問題の読解では大切な点です。
単に,知識を身につけただけでは合格できないのです。

情報処理技術者試験の午後問題を解くために必要な力

一般的に,情報処理技術者試験の午後問題を解くために必要な力は,次の3つです。

  1. 情報処理技術に関する知識(専門知識)
  2. 試験問題を正確に読み,正確な答案を書く力(国語力)
  3. 問題を論理的に考えて,答えを導く力(論理的思考力)


専門知識は,それがメインですので,もちろん必要です。
ただ,知識だけあっても,それを問題を解くのにうまく生かせないと,試験の点数にはつながりません。

国語力と論理的思考力は,完全に別れるものではありませんが,まず問題文を正確に読みこなすことは,どんな試験問題を解くにあたっても不可欠です。
また,情報処理技術者試験は,論理的な文章で書かれていますので,文章から論理を追って考えることで,正解を導くことができます。
そのため,論理的に文章を読むことが大切になってくるのです。

情報処理技術者試験に必要な国語力や論理的思考力を身につける方法

先日,Kindleで,「基本情報技術者試験 午後問題が解ける本: ~試験のための国語と論理的思考~」を発売しました。
こちらは元々,企業の内定者向け新人教育の教材として作成したものでしたが,特に出版してもかまわないという許可を得ましたので,一般向けに発売しています。

基本情報技術者試験向けですが,他の試験区分を受験される方にも役立つ内容です。
ご要望があれば,今後,応用情報技術者試験版や情報セキュリティスペシャリスト試験版も発売していこうと考えています。

こちらの本にも書かせていただいたのですが,論理的に文章を読むために必要なことは,小学校や中学校でも習ったはずの,次のような基本的なことです。

  1. 主語と述語
  2. 指示語(それ,これ,など)と接続詞(ただし,なぜなら,など)
  3. 論理関係(対立関係,因果関係など)
  4. 要点をつかむ(全体的に何がいいたいのかをつかむ)

ですので,一度,上記の本や現代文の参考書などで,国語について学習しなおすことは効果的です。

以前,「国語力を身に付ける」という記事を書きましたが,国語力を身につけるには,地道な勉強を行うことが基本になります。
ただ,やりさえすれば別に大人になってからでも遅すぎることはないので,苦手意識がある方は一度学習してみるのをおすすめします。

文章を読むのが苦手で映像で学習したい,という方向けには,以前のセミナーを収録した「わく☆すた公開セミナーDVD 情報処理技術者試験の国語」も発売しています。
よろしければ,ご活用ください。

国語力が特に必要となる試験区分

私の予想では,今回の春試験で最も国語力が要求される試験は,「情報セキュリティマネジメント試験」です。
初回の試験ですが,情報セキュリティマネジメントの性質上,問題文の読解は難易度が高くなりがちで,マークシートでも意外と惑わされることが多いのではと予測されるからです。

昔私が,初回の情報セキュリティアドミニストレータ試験を受験したとき,参考書などで勉強した内容が全然的外れだったことがあります。
その時は,業務経験と問題文の読解だけでなんとか乗り切った,という感じでしたし,国語力がかなり要求された問題でした。
実際,「B課長のねらいは何か」とか,「W主任に対するB課長の期待」とか,予想外のことばかり聞かれましたし。

ですので,初回の情報セキュリティマネジメント試験は特に,「自分の知識は脇に置いて,問題文をしっかり読む」ことが求められると考えています。
参考書で全般的な知識を身につけておくことは大切ですが,その上で,問題文に合わせて臨機応変に解答することも重要です。
そのために,国語力に磨きをかけて本番に臨むことは,とても大事だと考えています。

他には,情報セキュリティスペシャリスト試験は,国語力がとても重要な試験となります。
情報セキュリティは会社の状況に合わせて,ベストな選択が変わりますので,それを読みとることが大切です。

また,プロジェクトマネージャやシステム監査技術者などの午後2が論述系の試験は,文章力が重要となります。
最近はテクニック本でパターンを覚えて記述,という方法だと合格しにくくなっているようですので,きちんと正攻法で文章力を磨くのがおすすめです。

データベーススペシャリスト試験では,文章を深く読みこなす必要はあまりありませんが,とにかく分量が多いので,早く読める方が有利ではあります。
応用情報技術者試験や基本情報技術者試験でも,早く正確に読みとる力は重要です。

いずれにしても,国語力は,情報処理技術者試験に限らず,様々な試験を受ける時の基礎力となります。
試験に向けてやる気があるときに,しっかり学習しておきましょう。