「字数を埋める」ではなく,「字数を満たす内容を考える」
平成21年度に試験制度が変わってから,論文の形態が変わりました。
論文試験には設問がア,イ,ウの3つありますが,昔は,設問イと設問ウがまとまっていて,設問ウは少し書くだけでもなんとかなりました。
それが,設問イと設問ウを別々に聞かれるようになって,設問ウもちゃんと600字以上で書くことが必須となりました。
例として,平成20年秋のシステムアナリスト試験午後2と,平成22年秋のITストラテジスト午後2を比較してみます。
昔のアナリスト時代の午後2は,設問ウはほとんど「評価と改善」で,定型文でもなんとかなるぐらいの付録的扱いでした。それが,ストラテジストになって,設問ウが「工夫した点」だったり「どのようなシステム化構想としたか」だったりと,バラエティに富んできています。
ですので,定型文(「評価としてはおおむね良かった」とか)を用意してテクニックで切り抜ける,ということは,やりにくくなってます。用意した論文がそのまま使える可能性も少なくなってます。
でも,それで,論文を書くのが大変になったわけではないと思います。
私が今まで試験会場で論文を書き,そして合格した体験から感じるのは,「論文が書きやすくなった」ことなのです。
昔は,問題の聞き方も曖昧でしたし,何を書けばいいのか迷うところも多く,字数を埋めるのに苦労もありました。
でも,今の問題だと,設問でバラエティに富んだ聞かれ方をされる分,その「設問で聞かれている内容」について答えていると,普通に字数が埋まります。
問題文を読んで,書いて欲しい内容の意図を読み取って,そこから自分の経験やネタのストックからあてはまるものを見つけていきます。
そしてそれを,設問で問われている形で,具体的に記述していくことで,だいたい字数が埋まるようにできている感じなのです。
設問イの最低字数が800字と少なくなったことも大きいと思います。
設問イ,設問ウでそれぞれ別のことを問われることによって,1つ1つの内容について,具体例をいっぱい記述する必要がなくなりました。
基本的に,1つの論文で具体例を2つぐらい考えて,それを設問ア,イ,ウでうまく話がつながるように前振りも含めて書く,というぐらいで,設問イの800字,設問ウの600字は埋まります。
つまり,聞かれている内容がはっきりしていて,書く分量もある程度想定されており,ちょうどいい字数で書き終われるように問題が設計されているようなのです。
ですので,「字数が埋まらない」という時には,書く内容が少なすぎるだけだと考えられます。ですので,問題文で聞かれている内容から具体例としてもう1つ加えるなどして,内容を追加する必要があります。
字数を埋めるために,よけいなことを書いたり,同じことを繰り返し言ったりしても,内容が足りないので不合格,ということになります。
準備論文を書くときには特に,「とにかく字数を埋める」ことよりも,「きっちり内容を満たす」ことを意識して論文を書いてみましょう。書くべきことを書ききる意識で時間制限なしに書くと,字数制限の上限に近い感じになると思います。本番ではそこまで書く必要はありませんが,最低の字数を埋めるぐらいの内容は必須です。
情報処理技術者試験は付け焼き刃が効かないように,そして本来の実力が測りやすいように曖昧さを排除する方向で進化しています。
論文を書くときには,しっかり問題文と設問を読んで,「字数を埋める」のではなく,字数を満たす内容を考えて,それを書ききるようにしましょう。